LIVゴルフへの登竜門として、世界中の猛者たちが集結したアジアンツアー「インターナショナルシリーズ・ジャパン」。千葉県のカレドニアン・ゴルフクラブ(パー71)を舞台に繰り広げられた4日間のサバイバル戦は、オーストラリアのトラビス・スミスが通算15アンダーで逆転優勝を飾る劇的な幕切れとなった。しかし、この大会の主役は決して勝者だけではない。LIV切符という「世界への扉」をこじ開けようと死闘を演じた日本人選手たちの4日間には、確かな手応えと、世界で勝ち切るための明確な課題が刻まれていた。熱狂に包まれた4日間を振り返る。
画像: 最終18番をイーグルで逆転したトラビス・スミスが優勝した(撮影/岡沢裕行)

最終18番をイーグルで逆転したトラビス・スミスが優勝した(撮影/岡沢裕行)

嵐の予感と日本勢の躍動(初日・2日目)

画像: 3日目まで首位を守ったキム・ホンテク。首位と3打差の5位に終わった(撮影/岡沢裕行)

3日目まで首位を守ったキム・ホンテク。首位と3打差の5位に終わった(撮影/岡沢裕行)

大会は初日、韓国のキム・ホンテクがティーショットの精度を武器に7アンダー「64」を叩き出し、単独首位発進を決めるロケットスタートで幕を開けた。日本勢も負けじと、生源寺龍憲が「66」で4位タイにつけ、大岩龍一らが圧倒的な地の利を活かして上位に食らいつく。

そして2日目、日本のファンを熱狂させたのが日本ツアー賞金王・今平周吾の猛チャージだった。6番(パー5)でラフから鮮やかなチップインイーグルを奪うと、最終18番でも8メートルのパットをねじ込み、この日2つ目のイーグル。悪い流れを断ち切る「耐える力」と精緻なショートゲームで「65」をマークし、首位と1打差の2位タイへと急浮上した。パットに苦しみながらも「完璧なドライバー」で「65」を叩き出した蟬川泰果らも加わり、リーダーボードは日本人選手がひしめく大混戦となった。

荒れ狂う風と「新米パパ対決」(3日目)

画像: 3日目は我慢のゴルフで「71」のイーブンパーで回り、首位タイで最終日を迎えた今平周吾(撮影/岡沢裕行)

3日目は我慢のゴルフで「71」のイーブンパーで回り、首位タイで最終日を迎えた今平周吾(撮影/岡沢裕行)

ムービングデーとなる3日目は、テキサス並みの強風が吹き荒れる我慢比べの展開となった。スコアを崩す選手が続出する中、今平周吾は5番で池ポチャのダブルボギーを叩きながらも、卓越したマネジメント力でイーブンパー「71」にまとめ上げる。

終わってみれば、通算10アンダーで今平とキム・ホンテクが首位タイに並ぶ展開に。奇しくも、生後7カ月の愛息の前でVを誓う今平と、二人目の子供が生まれたばかりで不安を抱えながら戦うキムという、日韓トッププロによる「パパ対決」の構図ができあがり、最終日のドラマ性を一気に高めた。

木下稜介の神がかった「63」と、立ちはだかる世界の壁(最終日)

そして迎えた最終日。首位発進の今平は、勝負のバックナインで思うようにパットを決めきれず、1アンダー「70」。通算11アンダーの7位タイで無念の逆転負けを喫した。

画像: 最終18番。慎重にグリーンを読む木下稜介(撮影/岡沢裕行)

最終18番。慎重にグリーンを読む木下稜介(撮影/岡沢裕行)

しかし、日本のファンを最も熱狂させたのは、少し離れた位置からスタートした木下稜介だった。前半を「33」で折り返すと、後半も怒涛のバーディラッシュを披露。15番で惜しくもパットを外した悔しさをバネに、上がり16番から18番を3連続バーディで締めくくる執念を見せつけた。

フィールド屈指のビッグスコア「63」を叩き出し、通算14アンダーでホールアウト。優勝したスミスにわずか1打及ばず2位タイに終わったが、海外の猛者たちを大いに脅かす圧巻のプレーだった。試合後、木下は「優勝したら視野が広がるなと思っていた分、悔しいですが、日本ツアーの開幕前に良い弾みになった」と、世界を見据えるからこその悔しさと手応えを口にした。

選手たちの胸に刻まれた「世界と戦うワクワク感」

画像: 昨年の国内賞金ランク2位の生源寺龍憲(右)と蟬川泰果(左)という実力者もトップ10に入った(撮影/岡沢裕行)

昨年の国内賞金ランク2位の生源寺龍憲(右)と蟬川泰果(左)という実力者もトップ10に入った(撮影/岡沢裕行)

今大会、日本勢は木下の2位タイを筆頭に、今平、生源寺、蟬川が7位タイに食い込むなど、世界で戦うポテンシャルの高さを遺憾なく発揮した。

一方で、逆転優勝に届かなかった今平や蟬川はともに「パッティング」を敗因に挙げた。「1メートルのチャンスを外したりもったいないミスもあった。優勝するためにはパッティングが1番重要になってくる」と蟬川が語ったように、グリーン上での勝負強さこそが「世界で勝ち切るための最後の壁」であることが浮き彫りになった。

それでも、選手たちが得たものは途方もなく大きい。通算10アンダーの12位タイでフィニッシュした浅地洋佑は、今年主戦場としているLIVゴルフについて「来年の出場確約がないため、今週の結果には全く満足していない」と悔しさを滲ませつつも、こう語った。

「右見たらジョン・ラーム、左を見ればデシャンボー、前を見ればガルシアと自分にプラスになる要素しかないので出場したいです。プロ1年目の気持ちを持ってワクワクしながらプレーできたので、もう一度(来年も)あそこでプレーしたいですね」

スミスの優勝で幕を閉じたインターナショナルシリーズ・ジャパンだが、日本人選手たちが切り開く「世界への挑戦」は、ここからさらに熱を帯びていく。


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