
「富士フイルム・スタジオアリス」は思い入れの強い試合。開幕を前に抱く率直な思いを聞かせてもらった
「もう1年」の驚きと、一番強いリベンジへの思い

練習日、本当にずっと練習し続けていた中村心
初優勝を目前にしてカップに蹴られた18番のパット、そして張り詰めた緊張のなか迎えたプレーオフでの敗退。劇的な幕切れから1年、因縁の大会を迎えるにあたり、会場に入った中村は「『懐かしいな』っていうよりは『え、もう1年経ったんだ』という感じのほうが大きい」と率直な思いを口にする。
練習ラウンドでは昨年の攻め方を思い出しつつも、「天候も違うと思うので、今年は今年っていう感じで切り替えて頑張っていけたら」と、過去に囚われすぎずに前を見据えている。
とはいえ、この大会にかける思いは人一倍強い。「一番思い入れが強い大会なのでリベンジができたら一番いい」と静かに闘志を燃やす。その強い思いは、座る間も惜しんで黙々とクラブを振り続ける彼女の練習姿にもはっきりと表れていた。

打席から離れる姿を見て「そろそろ練習を終えるのかな」と思ったのだが、最後は練習グリーンへ。結局17時を知らせる鐘が鳴った後、しばらくしてからこの日の練習を終えた
6キロ減のルーキーイヤーを経て覚えた「休む勇気」

プロアマ日の練習グリーンでは、中村の笑顔が!「緑が好きすぎてずっと着ちゃう」と、昨日の緑パンツに続き、緑ウェアで現れた
一番近くで彼女を支える母・佳世さんは、「思いが強くなりすぎて空回りするといけないので、プレッシャーはかけないようにしています」と自然体を貫く。それほど中村のゴルフに対する向き合い方には、誰の目にも留まる胸を打つひたむきさがあり、時に自身を極限まで追い込んでしまう危うさも孕んでいる。「ちっちゃい頃から根がすごい負けず嫌い」と佳世さんが評するとおり、ルーキーとして挑んだ昨シーズンは、手の抜きどころがわからず毎試合全力で駆け抜けた結果、体重が6キロも落ちてしまったという。
その反省から、今年はあえて練習量を少し減らし、体を休ませる時間を自ら設けるようになった。母が「もうそろそろ休んだら?」と心配しても練習をやめなかった彼女が、過酷なツアーを戦い抜くための「休む勇気」を覚えたことは、プロとして確かな成長の証だ。
課題を克服し、再びレギュラーツアーの主戦場へ

プロアマ・10番(380ヤード・パー4)のティーショットを終え、2打目へ。キャディから「ナイス」と声をかけられていた
そんな彼女に鍵となりそうなホールを問うと、インコースの終盤を挙げ、「16番(185ヤード・パー3)あたりの池が絡むちょっと難しいショートホールをうまくパーで耐えられたら、いい流れで最後にこれるかな」と勝負所を冷静に分析してくれた。
今季前半戦はステップ・アップ・ツアーが主戦場となるが、「推薦を頂いた(レギュラーの)試合でしっかりと成績を残して、中盤戦から昨年みたいにレギュラーツアーでずっと戦っていけたら」と目標は明確だ。
「とりあえず笑顔でいることが大事。それができるようにサポートできたら」と母は優しく微笑む。
激動のルーキーイヤーを越え、戦い方を知った中村心。あの日の悔しさを最高の笑顔に変えるため、万全の準備を整えて明日のティーイングエリアに立つ。

