鈴木愛とのデッドヒートを制し今季2勝目
2日目に9バーディ・ノーボギーでコースレコードの「63」を叩き出し、1ラウンド18パットというツアー最少記録も更新した鈴木愛選手。そして、同じく2日目を7バーディ・ノーボギーの「65」でプレーした高橋彩華選手。凄まじいスコアを叩き出した両者が、首位に並んで迎えた一騎打ちの最終日となりました。
最終日も、バーディを取っては取り返し、厳しいパーパットも決め合うという、まるで足を止めての殴り合いのような展開で前半をターン。後半に入り、11番で高橋選手がバーディを奪って再び単独首位に立つと、続く13番でもバーディを決めて鈴木選手を突き放し、勝負の流れを引き寄せます。両者とも最後まで集中力を切らさないなか、この日5バーディ・1ボギーの「68」で回った高橋選手が、鈴木選手を1打差で振り切って見事に今季2勝目を飾りました。
昨年までの高橋選手は、ショットメーカーでありながらも、バーディ合戦よりスコアが伸び悩むタフなコンディションで強さを発揮するタイプでした。しかし今季は、手元の動きもヘッドの軌道も非常にスムーズ。安定したストロークでことごとくパットを決めるその様子に、昨年までとは一皮むけた彼女の強さを再認識しました。
パーオン率とリカバリー率で1位を獲得し、メルセデスランキング5位というキャリアハイで終えた昨季から、さらにウェッジの精度とパッティングの向上に取り組んだオフの成果が存分に発揮されています。
中継を見ていても、以前よりフィニッシュでバランスを崩すことが少なくなったことに気がつきます。父・剛さんによると「トップでの“間”を意識している」とのこと。この意識によって動き出しのタイミングが整い、クラブの最下点(ローポイント)が安定したことで、出球の方向性や距離感にも好影響が出ています。

ドローヒッターであってもインサイドアウト軌道は3度程度で曲がり幅の少ないドローを打つ
また、スウィングプレーンが少しアップライトな軌道になっているように感じましたが、高橋選手のトレーナーを務める相楽氏も同意見でした。ドローボール(インサイドアウト軌道)であれフェードボール(アウトサイドイン軌道)であれ、スウィングプレーンがフラットになりすぎると、ターゲットラインと実際のクラブ軌道とのズレが大きくなってしまいます。

手元を下ろしてから回転を入れることで手元が降りて来るスペースを確保する
フラフープでイメージしてみましょう。ターゲットラインに対してクラブ軌道を表すフラフープを地面と垂直に立てて置くと、クラブ軌道は真っすぐになります。しかし、これを手前に倒していくと、地面へと向かう右側の円弧は、倒せば倒すほどインサイドからの軌道が強くなります。
ターゲットラインとクラブ軌道とのズレが大きいほど、ボールの曲がり幅も大きくなります。そのため、ドローボールであれば目標より大きく右に、フラフープを左に向けたアウトサイドイン軌道のフェードボールであれば大きく左に打ち出す必要が生じます。このとき、フェース向きが少しでも左を向きすぎると、引っかけのミスに直結してしまうのです。
そこでスウィングプレーンの角度を少しアップライトにしてあげれば、ターゲットラインとクラブ軌道のズレが減り、曲がり幅を抑えることができます。そのためには、体の重心位置を高く保つことがコツになります。
逆に大きく曲げたい場合は、ボールから遠くに立ってスウィングプレーンをフラットにすれば、ターゲットラインに対してクラブ軌道のズレが大きくなり、ボールを曲げやすくなります。ただし、もともとつかまりやすいショートアイアンやウェッジでは出球が左に出やすくなるため、注意が必要です。

フィニッシュでバランスを崩さなくなったことも好ショットにつながっている
高橋選手にはパットコーチはいますが、スウィングやマネジメント全般を指導する専属コーチはいません。そこで父・剛さんが、スウィング、計測器のデータ、プレーのスタッツなどゴルフのあらゆる面で広い知見を持ち、チームの要となる存在になっています。
5月25日付けのロレックスランキング75位以内という全米女子オープンの出場資格がまだ確定していないことから、彼女は優勝の余韻に浸る間もなく、最終便で最終予選の会場となる千葉県へと向かいました。そして翌日に行われた36ホールの過酷な予選を見事に3位で終え、自力で本戦への出場資格をゲットしてみせたのです。
年間3勝の目標、そして海外メジャーへの挑戦。複数回優勝を果たし、さらなる高みを目指す高橋選手の快進撃は、まだまだ続きそうです。
撮影/岡沢裕行
