オフトレからの成果で飛距離が20Y伸びた
2位に5打差をつける圧勝劇となった今季初優勝で、菅沼選手は進化した姿を見せつけました。同会場で開催された昨年の試合を間近で見ていた私にとっても、その飛距離の違いは明確であり、彼女にとって大きなアドバンテージになっていました。
3戦目の「Vポイント×SMBCレディス」では「自分でもビックリするくらい飛んでいる」と本人から聞いてはいましたが、今大会のスタッツを見ると3日間の平均飛距離は263Yで穴井詩、山路晶、渡邉彩香に次いで4位と飛ばし屋に変身しています。それでいてFWキープ率は73.8%と高く、パーオン率では2位とショット力をキープしたまま飛距離を伸ばしたことが大きな武器になっていました。

「NTTドコモビジネスレディス」で、2位の荒木優奈に5打差をつけて圧勝で今季初優勝を飾った菅沼菜々
今大会でコンビを組んだ川口大二キャディは、「ここまで調子は良かったのですが、なかなか噛み合わず結果につながっていませんでした。でも今週はグリーン上でラインがよく見えていたことでショットとパットが噛み合い、最高の結果となりました」と教えてくれました。
川口キャディは菅沼選手と数多く組んできましたが、昨年の同会場での大会(当時はパナソニックオープンレディース)では別の選手のキャディを務めていました。しかし、自身の担当選手のホールアウト後、後片付けを済ませてから、最終組でプレーする菅沼選手を応援に駆けつけていたのです。
私がその姿を見つけて話しかけると、彼は「苦しんだ時期(24年にシード権を手放したこと)を近くで見ていたので、このまま優勝してほしいです」と語り、祈るようにプレーを見守りながら歩いていました。その直後、菅沼選手は最終18番のパー3で左に外しつつも、難しいアプローチを寄せてパーをセーブし、2位に1打差で逃げ切り見事な復活優勝を遂げました。
あの劇的な復活優勝から1年後、今度は川口キャディとのコンビで連覇を果たしたことは、私にとっても非常に感慨深い出来事でした。

1年前は別の選手とコンビを組んで劇的な勝利を見守っていた川口大二キャディ(左)とのコンビで連覇を達成
筋トレの成果はドライバーの飛距離にだけ表れていたわけではありません。15番パー5のラフから7Wでグリーンを捉えた2打目や、最終18番パー3で吹いていたアゲンストの風を考慮し打った5番アイアンでの高さを抑えたショット。こういった風やラフの抵抗がかかる場面でも、体が浮き上がらずにしっかりとしたインパクトでボールをコントロールできていました。
チェックポイントは頭の上下と左へ傾き過ぎないこと
頭の上下やトップで体がターゲット方向に傾き過ぎないようにすることなどチェックポイントはあるようですが、トップでのシャフトの向きや形に囚われることなく、目の前の一打に集中できていることで持ち前のショット力に磨きがかかっています。
ボールを左に置くドライバーでは頭を右に置き右肩も下がるアドレスが一般的ですが、ボールをカット軌道で捉えたいフェードヒッターはボールを上から見る傾向があります。

手元を高く上げるアップライトなトップだが、ターゲット方向に傾き過ぎないようチェックしているという
菅沼選手はトップでしっかりと左に加重し、地面を踏み込んで切り返すことで頭がアドレスの位置に戻ると同時に手元が下りてきています。トップから回転を入れる前に手元を下ろす動きの後に下半身が回転することで胸は右を向き、骨盤はアドレスの位置に戻り上半身と下半身の捻転差が作られています。

左足に加重したまま踏み込みながら腕を脱力し切り返しでクラブをプレーンに乗せる
ダウンスウィングで骨盤はしっかりとターンし頭はより右に動きビハインド・ザ・ボールの形を作り、ロスなくボールにエネルギーを伝えています。
切り返しから頭が左に突っ込んでしまうと、捻転差も作れなくなりますし、ボールが左につかまり過ぎる原因にもなりますので、インパクトではビハインド・ザ・ボールを意識することが大切です。

手元を下ろしたら一気に回転力を上げ左へ振り抜く
オフから取り組み続ける筋トレは、常に上位で戦える、そして複数回優勝できる基盤になることでしょう。
サラリーマンと競技ゴルファーなど、どちらも頑張る二刀流が輝きを放つ時代。プロゴルファーでありながら「自称・アイドルゴルファー」を公言してファンを魅了し続ける菅沼選手が、今後どのような活躍を見せてくれるのか、引き続き注目していきましょう。
写真/岡沢裕行、姉崎正

