
先週の「NTTドコモビジネスレディス」に続き、好成績を残せるか(撮影/姉﨑正)
ミスが怖い…。思い通りに振れなかった序盤戦
「最初のほうは、自分のゴルフができなくて……」(六車・以下同)
初日前日にそう振り返った六車の言葉には、当時の焦りが滲んでいた。今季は開幕戦からまさかの4週連続予選落ち。ショットの精度が上がらず、アプローチも迷いながら打っていたという。
「試合で上手くいかなかった一打が自分の中に残り、ミスを気にして上手く振れなくなっていました」
ひとつの失敗を引きずり、結果ばかりが気になってしまう。真面目だからこそ陥ってしまった、ネガティブ思考の悪循環だった。
照井キャディの言葉で気づいた「自信の作り方」

照井浩二キャディに苦しさを打ち明けた六車日那乃(「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」2日目、撮影/大澤進二)
空気が変わり始めたのは、5戦目の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」だ。初日に今季初の予選通過を果たしたものの、最終日は「82」を叩き56位タイに沈んだ。取材中、自ら「大崩れしてしまった」と苦笑いで切り出すほど、当時のメンタルは限界に達していた。
だが、この試合でバッグを担いだ照井浩二キャディにこぼした本音が、ターニングポイントになる。
「やりたいことが、やり切れていない」
試合まっただの中で苦しさを打ち明けた六車に、照井キャディは伝えた。「できたことをノートに書き残して、自信にするといいよ」と。
足りない部分探しをしていた彼女の心に、このストレートな言葉が胸に染み入った。
アドバイスを受け、六車はさっそく「できたことノート」をつけ始めた。お姉さんが偶然買ってきてくれたという、可愛らしいトイプードルの表紙のノート。そこには、背伸びしない彼女のリアルな手応えが日々書き込まれていく。
「左足上がりのライで、うまく左に振り抜けた!」 「苦手な景色だったけど、いい感じに振れた!」
一言一言が形として刻まれていくと「意外と自分にもできていることがあるんだな」と気づいたという。そう語る声は弾んでいる。
「1日1個は必ずある。そう思えたら、毎週いいところが少しずつ増えていく感覚がありました」
新たな相棒と臨むメジャー。ノートを胸に躍動

「富士フイルム」の次戦「KTTバンテリンレディス」では47位タイに入り、徐々に調子を取り戻していった六車(撮影/姉﨑正)
お気に入りのノートに「できた」の文字が増えるにつれ、本来の思い切りの良さが戻ってきた。
宮崎晃一キャディと臨んだ6戦目の「KKT杯バンテリンレディス」で47位タイに入ると、直近の「NTTドコモビジネスレディス」では、同い年の長谷川夏大キャディとタッグを組み、自己ベストの8アンダーを叩き出し15位タイに食い込んだ。「特に最終日はショットがすごく安定していて、パットも本当に入っていたんです」と、プレーが心地よく噛み合い始めている。
「『できた』を増やしたいから、積極的に自分の思ったように振っていこうと思えるようになりました」
失敗を恐れて縮こまっていた姿は、もうどこにもない。
そして迎えた今週のメジャー初日。
「試合では大胆なプレーを。色々と引きずらずに振り抜いて、納得する1打をずっと打ち続けられたらいいなと思います」
その言葉通り、新たにタッグを組んだ湯本開史キャディとともに、ノートに書き溜めた小さな自信を胸に大舞台に挑んでいく。

スタートホールは1番(360ヤード・パー4)にて。メジャーは湯本開史キャディと挑む。この笑顔でプレーを終えるのを見守りたい(撮影/姉﨑正)
