LIVゴルフ・ヴァージニアの最終日、熱狂のピークは団体戦の結末に用意されていた。通算49アンダーで並んだ「4Aces GC」と「Fireballs GC」による、チームのプライドを懸けたプレーオフ。激闘の末、4Acesのアンソニー・キムとトーマス・デトリーが勝利を収め、チームに今季3勝目をもたらした。その立役者となったのは、12年以上のブランクを経て2024年にゴルフ界へ電撃復帰を果たした男、アンソニー・キムだった。自らを「おじさん」と自嘲する彼が魅せた熟練の技と精神的成長は、見る者の胸を熱くさせるドラマに満ちていた。

復帰後ベストの「62」! 驚異のスタッツと最終ホールの勝負強さ

最終日のアンソニー・キムは、まさに「ゾーン」に入っていた。ボギーフリーの完璧なラウンドを展開し、10アンダーの「62」というビッグスコアを叩き出したのだ。10アンダーは、彼がLIVゴルフに復帰して以来、自己ベストの猛チャージであった。

最終日の彼がいかに神がかり的だったかは、データを見れば一目瞭然だ。この日のパット数は出場選手中で最少となる、わずか「24パット」。また、このラウンドで彼が叩き出した「ストロークス・ゲインド(+8.38)」は、LIVゴルフで歴代10位に入る記録であり、彼自身のLIVキャリアでも最高のパフォーマンスだった。

前日までの彼は、短いパットを幾度となく外し、深いフラストレーションを溜め込んでいた。しかし、最終日は別人のようにパットが冴え渡った。首位のFireballsを1打差で追う極限のプレッシャーの中、本戦の最終ホールで絶対に決めなければならないクラッチパット(バーディパット)をねじ込み、プレーオフへの望みをつないだ。かつて世界を魅了した天才的なタッチと土壇場での勝負強さが、完全に戻ってきたことを証明する瞬間だった。

元世界王者からの信頼と、プレーオフでの「熟練の5W」

画像: チーム戦で優勝を飾った「4Aces」のメンバー。左からダスティン・ジョンソン、トーマス・ピータース、トーマス・デトリー、アンソニー・キム(提供/LIVゴルフ)

チーム戦で優勝を飾った「4Aces」のメンバー。左からダスティン・ジョンソン、トーマス・ピータース、トーマス・デトリー、アンソニー・キム(提供/LIVゴルフ)

彼をプレーオフの舞台へと送り出したチームのキャプテン、ダスティン・ジョンソン(DJ)は、その決断について「とても簡単な決断だった。(キムとデトリーの)2人が今日最高のスコアを出したし、私は疲れていたからね」と笑いを交えて語っている。さらにDJはキムのプレーを振り返り、「彼がポジションを外した時でも、見事なピッチショットを打ってパットを沈めていた。あれこそが素晴らしいスコアを出す戦い方だ」と、その熟練のリカバリーを大絶賛した。

その信頼に応えるように、キムはプレーオフの18番ホールで魅せる。濡れた深いラフからピンまで残り235ヤードのセカンドショット。彼は5Wを振り抜き、ボールを手前から見事に転がし上げて、ピンそば10フィートの絶好の位置につけたのだ。圧倒的なパワーで空気を切り裂く若手たちとは異なる、熟練のマネジメントだった。

【動画】熟練の技で深いラフから5Wで10フィートまで寄せるアンソニー・キム【LIVゴルフ公式X】

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「他の3人のようには飛ばせないし、僕はもう40歳で体もボロボロだからね。手前に落として転がし上げるのが僕の目標だったんだ」

己の現在の限界を冷静に見極め、最も確率の高いルートを選択する。それは、若い頃の彼にはなかった円熟味だった。

「2010年の自分ならここにいなかった」ファンと共鳴する精神的成長

栄光と挫折、そして長い空白の時間を経て、彼は心身ともに大きく変わった。

「もし2010年の自分なら、今日ここ(チーム優勝の場)にいなかったかもしれない。僕は、今の自分のほうが好きだ」

会見でファンからのサポートについて問われた際、彼は感慨深げにこう語った。

「ゴルフファンだけでなく、ゴルフ以外の場所で『自分自身の問題(苦難)』と戦っている人々からこれほどのサポートを受けられるなんて、本当に驚くべきことだ。私がただゴルフをしようとしているだけで、これほど多くの人に影響を与えられるなんて信じられないよ」

身体はボロボロかもしれない。かつてのような圧倒的な飛距離もないかもしれない。しかし、幾多の困難を乗り越えて帰ってきた「今のアンソニー・キム」には、どんな逆境にも動じない確かな強さがある。究極の5Wが描き出した弾道は、彼の完全復活を告げる、最高に美しい放物線だった。


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