
最近のゴルフクラブ、高額化している理由は?(写真はイメージ)
メーカーやショップを応援する気持ちで!
みんゴル取材班(以下、み):いまやドライバーは10万円越え、アイアンも1本3万円近くが当たり前です。もちろん、すべての物価が上がっているのは承知していますが最近のクラブは「ちょっといいかな」と思ってもなかなか手が出ません。
宮城:ドライバーでいえば一番コストがかかるのはヘッドです。昔はフルチタンで仕入れ価格が100ドル前後だったのが、いまの複合ヘッドは300ドルくらいになっています。
み:ヘッドの仕入れだけで5万円もかかるのですか。10年くらい前にピンの「G30」の新品を5万円くらいで買いました。その当時と比べてずいぶん高く感じます。そもそもヘッドがそこまで高くなったのはなぜですか?
宮城:すべてのコストが上がっているからです。最近のヘッドは開発費をかけているし、フルチタンからカーボン複合になってパーツが増えたので、その分金型のコストが増えています。材料費もチタンよりもカーボンのほうが高価格です。そしてコストアップの最大の要因は人件費です。ご承知の通りヘッドはほとんど中国のメーカーで製造されています。昔は人件費が安かったからです。ところが最近は自動車や半導体などきれいでサラリーのいい工場にワーカーが流れるようになり、ゴルフクラブのように汚くてうるさいことが多い、いわゆる”3K”の工場は賃金を上げないと人が集まらなくなりました。その次の要因は輸送費です。ヘッドは中国から船便で送られていますがコンテナ料金がめちゃめちゃ高くなっています。外ブラだと為替相場の影響もあります。
み:新型コロナのときに流通網がストップしてグリップが足りなくなったこともありましたね。
宮城:グリップは今年の4月からまた値上がりました。シャフトもいまは純正でもある程度お金をかけて作るようになっているので10万円で売っても大して利益が残りません。アイアンも鍛造の金型代が高騰している上に、スチールシャフトも海外から入ってくるものはどんどん上がっているので1本3万円でも儲けすぎているとはいえません。あとは国内の配送料もばかにできません。ウチみたいに規模の小さいところだとドライバー1本送るのに3000円くらいかかります。送料無料が当たり前になっているので、これを吸収するのは大変です。
み:なるほど。ショップでもマークダウン品は別として店頭での値引きはほとんどなくなりました。昔はいろんなショップを回って値引率を比較したものですが。
宮城:昔は物によって下手をすれば45%で仕入れできたりしました。今は掛け率が上がって、そこから20%も値引いたらお店の利益は微々たるもの。フィッティングして1万円くらいの儲けでは、家賃や給料の支払いもあるのでやっていけません。
み:今回の中東の戦争で今後ますます物不足や値上がりが懸念されます。クラブもいまのうちに買っておいたほうがいいですか?
宮城:ヘッドやシャフトのカーボン、グリップの合成ゴムやエラストマーは石油製品なのでパーツ不足や仕入れ価格上昇の可能性はあります。すでに組み立てに必要なシンナーも手に入りにくく、手に入っても倍以上の値段になっています。戦争が終わって供給が安定するようになっても一度上がった値段は下がらず、今後も撤退するメーカーが出てくるかもしれません。値上がりしているのがクラブだけじゃありません。メーカーやショップを応援するつもりでコスト負担を受け容れてもらえるとありがたいですね。
