地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房がオススメするカスタムクラブを週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

連載108回目は、先週も登場した「ヴォクス ゴルフ オブ アメリカ」の佐々木さんがオススメするカスタムクラブをご紹介。今回はパワービルト「ATLAS WEDGE」がオススメとのこと。

佐々木さんが特徴を語る

「今回おすすめするクラブは、パワービルトの『ATLAS WEDGE(アトラス ウェッジ)』です。ロフト展開は50度から2度刻みで60度まで幅広く用意されていますが、今回メインとしてご紹介するのは56度モデルです。全体のバウンス設計としては、50度が8度、58度が10度となっており、それ以外の番手は基本的に使いやすい12度という構成になっています。このウェッジの最大の注目ポイントは、トウのトップブレード側にしっかりと重量を配分し、重心位置を高く設定している点にあります。この高重心設計のおかげで、インパクト時の上下のブレに強くなるだけでなく、非常に高いスピン性能を発揮し、プロの弾道のように『低く打ち出してピタッと止まる』理想的なアプローチを可能にしています。また、ソール後方が絶妙に削り落とされているため、フェースを開いたときにも地面に対する据わりが非常に良く、アドレス時の安心感が抜群です。ロブショットなど、ボールを高く上げる必要がある難しいシチュエーションでもクラブが跳ねにくいため、引き出しの多い多彩なアプローチの選択肢を持つことができます」

画像: パワービルト「ATLAS WEDGE」×ダイナミックゴールド

パワービルト「ATLAS WEDGE」×ダイナミックゴールド

「さらに、画像を見ていただくと分かるように、フェースの端から端までしっかりと溝が刻まれた『フルフェース溝(フルスコアライン)』仕様になっている点も見逃せません。スクエアに構えて打つ通常のショットではトウ側まで使う場面はあまりありませんが、打点がどうしても不安定になりがちなバンカーショットや、ボールがすっぽり埋まってしまった深いラフ、あるいは逆に芝の上にぽっかり浮いているようなシチュエーションにおいて、この全面の溝が絶大な効果を発揮します。フェースを大きく開いて打つ際にもスピン性能を落とさず、雨の日のミスヒット時でもキャリーや距離感のブレを最小限に抑えてくれます。このように打点が左右上下にぶれやすいアマチュアゴルファーにこそ、どんなライからでも助けてくれるこの安心感をぜひ体感していただきたいと思っています」

堀越プロに印象を聞いた

「今回試打を行うのは、1979年のマスターズ覇者ファジー・ゼラーらが愛用した名門、パワービルトの復活を象徴する『ATLAS WEDGE』です 。まず目を引くのは、クラシックかつクリーンなクロームサテン仕上げの美しさですね 。日本製S20C軟鉄鍛造による精密な造形は、それだけで打感の良さを予感させます。設計面で注目したいのは、フェース全体に配されたフルフェース溝と、ソールトウ部分の重量を落としトップブレードトウ側に比重を置いた高重心設計です。この工夫によって、高いスピン性能を発揮してくれそうです。また、ヒールやトウ、バックエッジにリリーフ(削り)を入れたソール設計は、フェースの開閉がしやすく、あらゆるライに対応できる汎用性の高さを感じさせます」

画像: 試打者/ほりこし・よしかず。試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

試打者/ほりこし・よしかず。試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

実際に試打を開始!

「実際に打ってみて驚いたのは、その極上の打感とスピンの利き方です。日本製S20C軟鉄を使用しているだけあって、ボールがフェースに吸い付くような軟らかい手応えが手に伝わります。フルフェース溝とトウ重心設計の相乗効果は絶大で、多少打点がバラついてもスピン量が落ちず、弾道が非常に安定しています。フェアウェイからのクリーンなショットはもちろん、深いラフやバンカーからフェースを開いて打つ際も、ソールが跳ねすぎず、かつ突っかかりもしません。まさに『抜ける』という感覚がピッタリで、状況を選ばず多彩なショットを打てる自信を与えてくれます」

総評

画像: 堀越プロが“実戦主義”というパワービルト「ATLAS WEDGE」

堀越プロが“実戦主義”というパワービルト「ATLAS WEDGE」

「パワービルトの『ATLAS WEDGE』は、伝統の美学と現代のテクノロジーが完璧に融合した、まさに実戦主義のウェッジと言えます。50度から60度まで2度刻みで用意された幅広いロフト展開は、昨今のストロングロフト化したアイアンセットとの繋がりを緻密に作りやすく、スコアメイクに直結する理想的なセッティングを可能にしてくれると思います。特筆すべきは、本格的な鍛造ウェッジらしい『操る楽しさ』を追求しながらも、絶妙な重心設計によって『オートマチックにスピンがかかる安心感』を共存させている点です。これにより、シビアなライに直面しても、道具が助けてくれるという精神的な余裕も生まれていると思います。100年を超えるブランドの重みを感じさせつつも、最新のコースセッティングを攻略するために不可欠な高い機能性を誇っています。かつての名門を知るベテランゴルファーには懐かしく、若い世代には新鮮な驚きを与える、まさに時代を超えたウェッジと言えるでしょう」

THANKS/クレアゴルフフィールド

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