
12年ぶり3勝目を挙げた藤本佳則(撮影/有原裕晶)
「関西人なので関西オープンはぜひ取りたいタイトルだった」

2位の大堀裕次郎に抱きしめられる藤本(撮影/有原裕晶)
最後まで笑みを絶やさなかった。
藤本は最終18番で4メートルのバーディパットがカップに3センチ届かなかったが、事実上のウィニングパットをタップインで沈めた。右手でボールを拾うと、そのままキャップのつばを軽くつまんでギャラリーの拍手と声援に応えた。
1組後の最終組のホールアウトを待つことなく優勝決定。大阪の明るい日差しの中でツアー仲間からのウォーターシャワーを気持ちよさそうに浴びた。
優勝インタビューでも涙はなく終始笑顔だった。
「本当に10何年勝っていなかったので、もう勝てないんかなって思っている自分もいたりしたんですけど、ゴルフが好きでアカンときもずっと頑張ってこれた結果が、今日優勝できたかなと思います。やっぱり関西人(奈良県出身)なんでね、この関西オープンはぜひ取りたいタイトルでもあったので、優勝できてよかったと思います」
首位に1打差からスタートし、2、3番の連続バーディで波に乗った。8番で5メートルのバーディパットを決めて混戦からじわりと抜け出し、12、13番の連続バーディで優勝へ大きく接近。17番で左奥から4メートルのスライスラインを読み切って優勝を揺るぎないものにした。
「最終日は自分のできることだけしっかりできるようにと思って臨みました。今はほんまに実感していないというか、やっと勝てたというのはありますけど、そんなに感動することもなく、意外と冷静です」
ウィニングショットにはドライバーを振り切り、持ち球のフェードで左サイドの池の上から回してフェアウェイをとらえた18番のティーショットを挙げた。
「あそこまで攻める人おらんでしょ、ドライバーで。自信があるというか自分のスウィングができたらフェアウェイとらえられるやろって。この緊張した場面でアングルで風で、そこでフェアウェイにいったのはひとつ成長したと思いますね」
「優勝できるとは思っていなかった」

左肩と左の親指を故障し「優勝できるとは思っていなかった」という藤本(撮影/有原裕晶)
ルーキーだった2012年に「JGTOツアー選手権」で初優勝。翌年「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Central 2013」で2勝目。順風満帆なプロ人生だったが、2020-2021年シーズンに相次ぐ故障で獲得賞金0円。この年にシード落ちしてから苦しい時期を過ごしてきた。
「(故障個所は)左肩と左の親指です。痛いのにずっと試合に出ていて、ゴルフもパラパラになった。成績が出ていないときの選手はしんどいメンタルに入ると思いますし、レギュラーで戦っていたのが、下部ツアーで毎週試合をやっている自分もふがいなかったです」
復調の兆しは2025年になってからだった。「ISPS HANDA 夏に爆発」で6年ぶりの予選通過を果たすと、ACNツアーで賞金ランク14位となり、今季の前半戦出場権を獲得。今大会は復活への階段を上がり始めた矢先のうれしい優勝となった。
「やっとレギュラーで戦えるかなというところまで戻ってきた感じはありましたけど、優勝できるとは思っていなかったですね」
次なる目標には少し控えめな言葉を選んだ。
「そんなスケジュールではなかったので、どうしていいか分からないです。やっとゆっくり落ち着けるんじゃないですか。キャディさんもおらんしね。シードからですね」
「ビリケン」の愛称で親しまれた快男児が再びレギュラーツアーの舞台を盛り上げる。
