歓声で気付いたイーグルと、研ぎ澄まされたプロの感覚
この日の好発進の大きな原動力となったのが、前半2番ホール(パー4)での鮮やかなイーグルだ。公式記録では108ヤードからのイーグルとされているが、ハウエルIII本人は会見で「残り90ヤード、少しフォローの風という絶好の状況から60度のウェッジで放った一打だった」と語っている。風などを計算に入れたプロの「実質的なプレー距離」の感覚の鋭さがうかがえる。
彼自身が「パーフェクトな距離だった」と振り返る完璧なシチュエーションだったが、結末は本人の予想を少し裏切るものだった。
「ボールが消えた時はグリーンをオーバーしたかと思ったが、歓声で入ったと気づいた」と、驚きと喜びが入り交じるその瞬間の心境を明かしている。「こういうことはそう頻繁には起きないからね」と謙遜するが、この会心の一撃が初日のラウンドに大きな勢いをもたらした。
難コースを丸裸にするベテランの分析力と、リーグ屈指の「リカバリー率」
彼の好発進は決してフロックではない。それを客観的に裏付けるのが、今季彼が残している圧倒的なスタッツだ。グリーンを外した際のリカバリー能力を示す「スクランブリング(リカバリー率)」ではリーグ1位(73.13%)を誇り、ラウンド中にボギーを叩かない「ボギーフリーラウンド」の達成回数も7回でリーグトップタイに立っている。
派手な飛距離で魅せるデシャンボーに対し、ハウエルIIIは緻密な戦略とリカバリーでスコアを作る。今年の舞台であるアシアドCCについて、彼は「昨年よりも距離が短く、ポジション重視のゴルフが求められる。グリーンは大きく傾斜も強いため、フェアウェイを外すと60フィートからの難しい2パットか、厄介なチップショットが残る」と非常に論理的な警戒を口にしている。
この的確なコース分析と持ち前のリカバリー能力が見事に噛み合ったからこそ、難コースでの首位発進に繋がったのだ。
最強のチームメイトにして最大の障壁
リーダーボードの最上段にデシャンボーの名前があることについて記者から問われたハウエルIIIは、ウィットに富んだジョークで会場を沸かせた。

会見場で饒舌に話すチャールズ・ハウエルIII
「チームとしては素晴らしいが、個人としてはひどいことだ。一番下にいてほしかったよ」
昨年の「LIVゴルフ・コリア」でも最終盤までデシャンボーと優勝を争い、結果的に2位に終わっている。当時の熾烈な優勝争いについて話題にするかと質問されると、「彼からよくいじられる」と苦笑いしつつも、「彼は本当に素晴らしいキャプテンであり、我々全員のモチベーションを高めてくれる」と全幅の信頼を寄せている。
今大会、クラッシャーズGCは急遽リザーブのトラビス・スミスが代役を務める緊急事態の中での戦いを強いられている。しかし、デシャンボーとハウエルIIIの二人が揃って「65」をマークして牽引したことで、チームは後続に3打差をつけて見事に単独首位に立っている。
個人戦のタイトル奪取と、クラッシャーズGCとしてのチーム戦連覇の両方に、大きな期待が懸かる週末となりそうだ。
写真/LIVゴルフ
