韓国・釜山のアシアドCC(7024ヤード・パー70)で開催されている「LIVゴルフ・コリア」。第2ラウンドを終え、リーダーボードの上位では熾烈な個人タイトルの争いが繰り広げられている。しかし、過酷な難コースを攻略し上位に立つトッププロたちの口から共通して語られるのは、個人のスコア以上に「チーム」に対する並々ならぬ熱意と、組織への帰属意識である。LIVゴルフ最大の特徴であるチームフォーマットが、極限のプレッシャーの中で選手たちにいかなるメンタル的支柱と原動力を与えているのか。その舞台裏に迫る。

チームスポーツの熱狂を信じるキャプテンの猛チャージ

第2ラウンドで「63(7アンダー)」という圧巻のスコアを叩き出し、通算8アンダーで個人の単独首位に浮上したのは、約1カ月前に「スマッシュGC」からリブランドした新チーム「OKGC」のキャプテン、テーラー・グーチだ。彼の猛チャージに牽引され、OKGCはチームスコアを通算14アンダーまで伸ばし、見事にチームリーダーボードでも単独首位に立っている。

画像: 2日目を「63」でラウンドし、一気に首位に浮上したテーラー・グーチ

2日目を「63」でラウンドし、一気に首位に浮上したテーラー・グーチ

この日、神懸かり的なパッティングでバーディを量産した彼は、好調の要因と同時に、チームスポーツが持つ根源的な魅力について熱弁を振るった。

「ファンが自分のチームを応援する熱狂を見るのは素晴らしい。それがスポーツを偉大にする要素だ。チームスポーツは世界で最高のものであり、チームゴルフの素晴らしさを強調できるのは最高だ」

自身もブルライディング(ロデオ)チームのオーナーを務め、スポーツビジネスにおける組織運営の妙を熟知しているグーチ。彼にとって、チームへの帰属意識とファンが共有する熱狂は、スポーツの醍醐味そのものである。キャプテンとしての責任感が、個人のパフォーマンスを極限まで引き上げている好例と言えるだろう。

最強のライバルであり、最高のチームメイト

そのOKGCをわずか1打差の通算13アンダー(単独2位)で猛追しているのが、強豪「クラッシャーズ GC」である。このチームは、個人戦とチーム戦が同居するLIVゴルフ特有の複雑な関係性と、強固な組織力を体現している。

画像: クラッシャーズGCのキャプテンであるブライソン・デシャンボー(左)とチャールズ・ハウエルIII(右)

クラッシャーズGCのキャプテンであるブライソン・デシャンボー(左)とチャールズ・ハウエルIII(右)

第2ラウンドを終え、キャプテンのブライソン・デシャンボーが通算7アンダーで個人単独2位、ベテランのチャールズ・ハウエルIIIが通算5アンダーで個人3位タイにつけている。同じチームの頼もしい仲間でありながら、同時に個人タイトルを奪い合う最大の障壁でもある2人。ハウエルIIIは、上位でデシャンボーとスコアを競い合う状況について、ウィットに富んだ本音をこぼしている。

「チームとしては素晴らしいが、個人としてはひどいことだ。チームとしては彼が上にいるのは嬉しいが、個人としては一番下にいてほしい」

そう冗談めかして笑いながらも、彼は「彼は本当に素晴らしいキャプテンであり、我々全員のモチベーションを高めてくれる」と、リーダーへの全幅の信頼を口にする。チームの大黒柱2人が個人戦で激しく火花を散らすことが、結果としてチーム全体を首位争いへと押し上げる強力なシナジーを生み出しているのだ。

絶対的支柱の不在を埋める「代役」の献身

通算5アンダーでチーム単独4位につけている「ハイフライヤーズGC」の躍進も、チームの絆を象徴するドラマである。現在、同チームは絶対的キャプテンであるフィル・ミケルソンが家族の健康問題により長期離脱中という、組織的な危機にある。しかし、本来は特定のチームに属さない「ワイルドカード」であるスコット・ビンセントが、その代役としてチームを支え、自身も通算5アンダーで個人3位タイという見事な成績を残している。

画像: フィル・ミケルソンの代役としてハイフライヤーズGCに参画しているスコット・ビンセント

フィル・ミケルソンの代役としてハイフライヤーズGCに参画しているスコット・ビンセント

急遽チームに加わったビンセントは、現在の満たされた心境を次のように語る。

「LIVでプレーできること自体が信じられないほど素晴らしいが、選手たちが私の参加を望み、歓迎してくれるチームでプレーできることはさらに素晴らしい。彼らの中に溶け込めていることが最高だ」

さらに、不在のミケルソンに代わってキャメロン・トリンゲールやブレンダン・スティールといったベテラン選手たちがチームを牽引している状況にも触れ、「彼らがチーム内でリーダーシップの役割を果たしているのを見るのは素晴らしい」と称賛を惜しまない。代役という立場を超え、チームの勝利に貢献しようとする彼の献身的な姿勢と、残されたメンバーの結束力が、上位争いの大きな原動力となっている。

ホームの誇りを背負う地元選手の躍動

そして、チーム戦の熱気を誰よりも肌で感じているのが、地元・韓国のファンを熱狂させている「コリアンGC」のムン・ドヨプだ。同チームは第2ラウンドを終えて通算イーブンパーで7位タイにつけており、ムン自身も通算4アンダーで個人8位タイと堂々たる健闘を見せている。

画像: 現在KPGA(韓国プロゴルフ)ツアーのポイントリーダーであるムン・ドヨプ。次戦の「LIVゴルフ・アンダルシア」もコリアンGCの一員として戦うことが決まっている

現在KPGA(韓国プロゴルフ)ツアーのポイントリーダーであるムン・ドヨプ。次戦の「LIVゴルフ・アンダルシア」もコリアンGCの一員として戦うことが決まっている

彼は「ホームグラウンドでLIVゴルフの初戦を迎えられたことは本当に光栄だ。ファンのおかげで緊張が和らぎ、より快適にプレーできた」と、大声援がもたらすメンタル面での絶大なプラス効果を口にする。

「自分が勝つなんて想像もしていなかったが、もし勝てたらこの一週間は間違いなく魔法のようなものになるだろう。LIVゴルフに出場しシートを得られたことは非常に幸運だったが、すべての巨人たちと肩を並べてプレーできたことは思い出深い一週間になる」

個人タイトルの栄誉と、仲間と共に分かち合うチームの勝利。週末のLIVゴルフ・コリアでは、限界までスコアを削り合うトッププロたちの洗練された個人技だけでなく、それぞれのチームの誇りと絆を胸に戦う、深く熱いドラマから目が離せない。

写真/LIVゴルフ


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