
プレーオフ決着となった「LIVゴルフ・コリア」。勝者のホアキン・ニーマンはLIVゴルフ8勝目を飾った
重圧を「愛する」王者の強靭なメンタル
最終日は、トルクGCを率いるニーマンと、OKGCのキャプテンであるテーラー・グーチによる一騎打ちとなった。両者一歩も譲らない展開のなか、追うグーチが16番で約28フィート(約8.5メートル)の長いバーディパットを執念でねじ込み、首位のニーマンに追いつく。通算12アンダーで並んだ2人の決着は、プレーオフへと持ち越された。
【動画・16分半】テーラー・グーチ、ニーマンに追いついた16番バーディパットは11:46~【LIVゴルフ公式YouTube】
FULL HIGHLIGHTS | LIV Golf Korea Round 4 | 2026
youtu.be勝負の分かれ目となったサンデーバックナイン。一瞬の油断が命取りになる状況で、常に相手のスコアと自分のショットを天秤にかけるヒリヒリとした戦いが続いた。ニーマンはラウンド後、「すべてのホールがマッチプレーのようだった」とその重圧を振り返る。
決してサイボーグのように冷静だったわけではない。ラウンド直後の会見で「嘘はつかない。かなり緊張していたし、今も少し心拍数が上がっていて震えている」と明かすほど、極度の緊張状態にあったのだ。
この重圧は、彼自身が作り出したものでもあった。昨年5勝を挙げる無双状態を見せたニーマンだが、今季は優勝争いに絡みながらも勝ちきれない日々が続いていた。「2025年を振り返ると、勝つのはとても簡単だった。でも今年は勝ちたいと強く思いすぎて、少し無理をしていた」と、今季の精神的な葛藤を明かしている。焦りが生んだプレッシャーの壁を、彼はついに乗り越えたのだ。
彼にとってその重圧は決してネガティブなものではない。「子供の頃から夢見ていた最高の感覚であり、その重圧を愛している」と笑顔で語り、重圧から逃げるのではなく、自ら進んでその痺れるような感覚を味わい尽くした。さらに彼は、ゴルフという競技の不確実性についてこう語っている。
「あるホールでトラブルになっても、次のホールで英雄的なショットが打てるかもしれない。何が起こるか分からないという挑戦に対して、100%のコミットメントを与え、ただ物事に身を任せること。それが最高の気分なんだ」
手が震えるほどのプレッシャーを受け入れ、不確実性に100%コミットするこの強靭なメンタリティこそが、プレーオフを制し、LIVゴルフ史上最多となる個人通算8勝目を引き寄せた最大の原動力である。
勝負を決めた「3ヤード」の違いと完璧なギャップウェッジ
この日のハイライトは、プレーオフ1ホール目(18番ホール)のセカンドショットだった。完璧なアプローチでピンそば約1.8メートル(6フィート)にピタリとつけ、バーディをもぎ取ったあの一打には、試合を通じた周到な伏線があった。
【動画】ホアキン・ニーマン、プレーオフの全ショット【LIVゴルフ公式X】
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x.com実はニーマン、本戦の12番と14番で「残り135ヤード」の状況から、ピッチングウェッジか52度(ギャップウェッジ)かで迷った末に52度を選択し、右に外すミスを繰り返していた。 そして迎えた72ホール目の18番。またしても同じ「135ヤード」が残ったが、ここで相棒のキャディ、ディエゴが「また52度を打てばいい」と力強く背中を押してくれた。その言葉を信じて振り抜いた52度は、見事にピンハイ(ピンの真横)を捉える素晴らしいショットとなった。
直後のプレーオフ。緊迫した場面で、ボールは本戦の時よりもわずかに「3ヤード前」にあった。このたった3ヤードの違いが、彼から一切の迷いを消し去った。「3ヤード前だったから、完璧なギャップウェッジの距離だった」と本人が語る通り、研ぎ澄まされた距離感で振り抜かれた一打は、ピンに絡む最高のアプローチとなったのである。
公式記録では150ヤードからのショットと記されているが、選手本人が感じていたリアルなプレーイングディスタンスと、極限状態でミスを乗り越えさせてくれたキャディとの強い絆が、この劇的な勝利を生み出したのだ。微細な距離の違いを読み切り、自らの技術を信じて振り抜く。ホアキン・ニーマンが見せたのは、まさに超一流の「考えるゴルフ」の神髄であった。
写真/LIVゴルフ

