
リビエラCCの18番はグリーンに向かって上り坂となっており、「男子以上に、断崖絶壁に向かって高い球を打っていくような感覚」と週刊ゴルフダイジェスト6月16日号でレックス倉本は語る(写真/USGA)
地元LAでの大舞台! ママさんゴルファーのリアルと頼もしいプロ意識

ママさんゴルファーとして地元で開催されるメジャー大会に出場するアリソン・リー(写真は24年AIG女子オープン、撮影/姉崎正)
今大会、地元ファンの熱い視線を集めているのがアリソン・リーだ。カリフォルニア州バレンシア出身のリーにとって、ロサンゼルスでのメジャー開催は非常に特別であり、多くの友人や家族の前でプレーできることを喜んでいる。彼女にとってはもちろん、女子ゴルフ界にとってもロサンゼルスでメジャー大会が開催されるのは史上初の出来事だ。
地の利を活かした入念な準備も怠らない。男子プロが同じコースで戦った大会(ジェネシス招待)を参考にしつつ、直前にはPGAツアー選手のマーベリック・マクネリらと一緒にプレーをしてコース攻略のヒントを得ている。インタビューでは「今は(プロアイスホッケーの)キングスも(NBAの)レイカーズも敗退してしまったから、LAのファンは予定が空いているはず。見に来ない言い訳はできないわよ」とジョークを交え、強気に観戦を呼びかけた。
そんなプロとしての顔の裏で、現在は一人の母親としても奮闘中だ。少し前まで睡眠不足に悩まされていたそうだが、「息子のリーヴァイ君の睡眠リズムが先週から劇的に改善し、自分の生活も楽になった」と明かす姿は、世のママたちと全く同じである。
今大会は、コースから40〜90分離れた実家に滞在し、両親や親戚のサポートを受けながら休息を確保。さらに、早朝のティータイムに備え、コース近くのAirbnbに滞在するミーガン・カンの部屋に泊めてもらうバックアッププランも用意するなど、ママさんゴルファーならではの過密スケジュールを周囲の温かい協力で乗り越えている。
特技は「眉毛の糸脱毛」!? ルーキー離れした強靭なメンタルの名門大生

メーガ・ガネ(写真提供/オーガスタ女子アマ)
次世代のスターとして注目されるのが、2025年に全米女子アマチュアを制し、スタンフォード大でNCAA(全米大学体育協会)のチームタイトルを獲得したメーガ・ガネだ。来週には大学を卒業予定で、今大会でプロデビューを果たす彼女だが、実は大学で意外な特技が話題になっていた。
自分で「眉毛の糸脱毛(スレッディング)」をしていることが友人たちに知れ渡り、リクエストに応えてチームメイトの眉毛を無償で整えてあげていたという、なんともお茶目なエピソードを持っている。スタンフォード大を拠点に練習しているリディア・コーからは「あなたの眉毛は怖くて触れないけど、私の眉毛はやってほしい」と冗談を言われる仲だ。もちろんゴルフの面でも、リディアから「プロフェッショナルであるということは、目に見えない小さなディテールの積み重ねであり、経験、成熟、良いチームに恵まれることなど、ゴルフ以外のすべてが重要だ」と教えられ、偉大な先輩から心構えをしっかり吸収している。
さらなる魅力は、そのプロ向きの図太いメンタルにある。今年、「オーガスタナショナル女子アマチュア」で予選落ちを喫した際も、「大舞台で失敗したらどうなるのかと思っていたけれど、答えは『何も起きない(人生は普通に続く)』だった」と語り、すぐに猛練習を再開してNCAAで大活躍を見せた。17歳だった5年前(2021年)の全米女子オープン(優勝は笹生優花)では初日首位スタートを切り、最終的に14位タイでローアマを獲得している。「当時の自分に声をかけるなら『最高の日はまだこれからやってくるよ』と伝えたい」と、大学4年間での精神的な成長を振り返る彼女。ルーキーらしからぬ切り替えの早さと強靭なメンタルが、今後の飛躍を予感させる。
「休む勇気」の裏にある隠れた努力。トップ選手のホンネと哲学

元世界ランク1位だが、メジャー優勝はまだないジーノ・ティティクル(写真は25年ホンダLPGAタイランド、撮影/姉崎正)
世界ランク2位のジーノ・ティティクルにも、可愛らしいホンネがある。コーチからアプローチ練習の楽しさを説かれても、「退屈。パターのほうが同じことを繰り返せて好き」と本音を漏らす、独自のリズムを持った女性だ。
そんな彼女が憧れるのが、世界ランク1位のネリー・コルダ。ティティクルは、コルダがトーナメント週には練習場で少し打つだけで帰宅する姿にインスパイアされているという。「過度な練習で体を休めないことは、メリットよりもデメリットになる」と学び、リラックスの重要性を実感していると語る。
もちろん、ティティクル自身も単にサボっているわけではない。コルダから学んだ「大会週に休む」という哲学を実践するため、試合のないオフの週にはダラスのホームコースで「一番後ろのティー(バックティー)」からラウンドし、メジャーの長距離設定に備えたハードな準備を自分に課しているのだ。このオンとオフの切り替えのメリハリこそが彼女の強さの秘密であり、トップ選手の「休む勇気」は私たちの日々の生活にも通じる見事な哲学である。

左からアリソン・リー、ジーノ・ティティクル、メーガ・ガネ
厳しいメジャーのセッティングに挑む選手たちも、それぞれに人間味あふれるストーリーを抱えている。彼女たちの背景を知ることで、リーダーボードを見るのがより一層楽しくなるはずだ。リビエラCCで輝く世界のトッププロ、そして日本のヒロインたちに、ぜひ温かい声援を送りたい。
