「甘えは許されない」宍戸をさらに過酷にする4つの変更点

昨年同様、さらなる進化を遂げた宍戸ヒルズ(写真は練習日)
ツアー最高峰の舞台に相応しく、今年の宍戸ヒルズはさらなる進化を遂げた。ツアーディレクターの小山俊一氏が明かしたコースコンディションは、グリーンスピード12フィート、コンパクションは山中式で24(ファームネスメーター220)と、メジャーに相応しい高速・高硬度な仕上がりだ。
今年、選手たちの前に立ちはだかる大きな変更点は4つある。
第一に、フェアウェイの外側にあったセミラフを完全に撤廃したことだ。フェアウェイ自体の幅は広がったものの、一歩外れれば、100mmの芝がしっかりと立った深いラフが待ち受ける仕組みだ。
第二に、3番ホール(パー3)の右側に傾斜を新設し、ミスショットがそのままクリークへ転がり落ちやすくなった点だ。そして第三に、8番ホールに新設されたバックティーである。距離が34ヤード伸びて490ヤードのパー4となったため、全体の総距離は7431ヤード(パー70)という驚異的なタフさへと変貌した。
極めつきは、最終18番ホールの仕様変更だ。これまではグリーン左や奥に外した球がホスピタリティテントにかかったため、救済対象としてグリーン近くの良い位置からドロップして打つことができた。しかし、小山ディレクターは「最後の一瞬でその甘えが許されるのはよろしくない」と判断し、テントの位置を大きく移動させた。
これにより、奥に外した場合は、出席した昨年の覇者・蟬川泰果曰く「100点満点のロブショットを打たなければ寄らない」、極限のシチュエーションが完成した。
なお、ギャラリーサービスとして、今年から一定の条件のもと「全ホールでの写真・動画撮影」が可能となる嬉しいニュースも発表された。
「出るからには勝つ」覇者・蟬川泰果が燃やす、5年シードと世界への執念

2026年日本プロゴルフ選手権大会 最終日の蟬川(撮影/岡沢裕行)
この過酷なセッティングに対し、唯一のディフェンディングチャンピオンとして挑むのが蟬川泰果だ。直近では予選落ちを3度経験するなど苦しいシーズンを送っているが、会見場での表情に曇りはないように見える。
朝もジムで筋力維持のトレーニングを行い、明日へのモチベーションを高めていた。 実際に練習ラウンドで18ホールを回った蟬川は、新設された8番ホールについて「これまでは左の木を気にせず打てていたが、今年は刻んでもフェアウェイキープしても左の木が気になってきますね。できることなら距離を伸ばさずにそのままにしておいて欲しかった(笑)」と本音を漏らしつつも、「ロングパットの距離感やアプローチの精度が求められる。自分の課題を乗り越えるチャンス」と前を向く。
自身の戦略としては、1番から6番ホールまでで確実にバーディの貯金を作り、その他のホールを耐え抜くメリハリを掲げる。さらに、テントが移動した18番についても「奥に行きすぎると本当に寄せられない。セカンドでのつける位置を徹底的に計算する必要がある」と、決意を新たにした。
2連覇がかかる今大会への意気込みは「ロッカー室に入ったとき、自分のパネルや歴代覇者の専用ロッカーがあることに大きな喜びを感じた。最近は良い結果を残せていないが、出るからには勝ちたい」と言葉に力を込める。
そのモチベーションの原動力となっているのが、メジャー優勝者に与えられる「5年シード」の重みだ。「職場が5年間絶対に確保できる安心感は、何物にも代えがたい。昨年、プレーオフで決着をつけた瞬間も、真っ先に頭に浮かんだのは5年シードのことだった」と明かす。
さらに、優勝者が手にするPGAツアー「Baycurrent Classic Presented by LEXUS」への出場権についても、「昨年は悔しい終わり方をしたため、またあの舞台へ挑戦してリベンジしたい」と、世界への挑戦権に向けて闘志の炎を燃やしている。
大雨によるプロアマ戦中止という波乱の幕開けとなった今大会だが、雨上がりの空の下には、「一切の甘えを許さない」究極のセッティングへと変貌を遂げた宍戸ヒルズが静かに牙を研いで待ち受けている。
蟬川が前人未到の大会連覇を果たし、再び世界への切符を掴み取るのか。それとも、この難攻不落の要塞を攻略する新たな王者が誕生するのか。選手たちの真価が問われる“日本一決定戦”——。4日間の激闘が、いよいよ幕を開ける。

