憧れのヒーロー、バッバ・ワトソンとのデッドヒート
最終日を単独首位で迎えたのは、LIVゴルフで「レンジゴーツGC」のキャプテンを務める47歳のバッバ・ワトソン。2018年以来のプロツアー勝利を目指すワトソンを、1打差の2位タイから追うのがコ・タイチーという構図でサンデーバックナインは幕を開けた。
コは出だしから絶好調で、10番までに5つのバーディを奪って一時は単独首位に浮上する。しかし、百戦錬磨のワトソンも意地を見せ、17番でバンカーからの見事なバーディを奪って追いつき、勝負の行方は最終18番(パー5)へ。

優勝が決まった瞬間、天を仰ぐコ・タイチー
プレッシャーのかかる最終ホール。ワトソンはフェアウェイからの第2打を左のLEDスクリーン方向へと大きく曲げてしまい、そこからのアプローチも寄せきれずパー。一方のコは冷静にチャンスを作り、しびれる4フィート(約1.2m)のバーディパットをど真ん中から沈めた。ボールがカップインした直後、コは顔を覆いながら天を仰ぎ、その後、ガッツポーズで喜びをあらわにした。通算19アンダーで、インターナショナルシリーズ初制覇(アジアンツアー通算2勝目)と優勝賞金36万ドル(約5400万円)を手にした。
先週の「日本での惜敗」を乗り越えて掴んだ栄冠
ホールアウト後、コの目には涙が光っていた。 それもそのはず、彼はモロッコへ飛んでくる直前の前週、主戦場の一つである日本ツアー(JGTO)において、プレーオフの末に敗れるというこの上ない悔しさを味わったばかりだったからだ。

ツアー仲間からウォーターシャワーの祝福を受けるコ
「今年は苦しいことも多く、逆境もありました。でも、その全てを通して人間として成長できたと思います。ゴルフは不思議なゲームで、与えてくれることもあれば奪うこともある。先週の悔しさがあったからこそ、今週は自分を信じてプレーすることができました」
そして、子供の頃からの憧れであるワトソンとの一騎打ちを制したことの興奮を隠しきれなかった。
「バッバと一緒にプレーできたのは夢のようでした。小さい頃、彼がマスターズで勝つ姿をテレビで見ていたんです。その彼と5時間も首位を争うなんて、自分の中の子供の部分が飛び跳ねて喜んでいましたよ(笑)。最後の4フィートのパットは、穴がとても小さく見えてラインもわからなかったけれど、直感を信じて打てたのが勝因です」
ワトソンも称賛「彼は素晴らしいキャリアを築く」
惜しくも敗れたワトソンも、この若き香港の星を素直に称えた。

2018年を最後に勝利のないバッバ・ワトソン。最後の最後で勝利を逃した
「私は自分の最高のプレーをしたし、何も悔いはない。タイチが私を1打上回っただけだ。ラウンド後に『子供の頃から見ていました』と言われて少し特別な気持ちになったよ。彼がこのまま成長し続ければ、素晴らしいキャリアを築くことになるだろう」
2023年の杭州アジア大会で香港ゴルフ史上初の金メダルをもたらしたコ・タイチー。日本にルーツを持つ彼のポテンシャルは、アジアンツアーの枠を超え、世界へと羽ばたく可能性を十分に秘めている。
なお、日本勢ではこにしたかのりが健闘。第3ラウンドでボギーフリーの「66」、最終日も「71」でまとめ、通算14アンダーでLIVのエルビス・スマイリー(オーストラリア)らと並び、見事5位タイでフィニッシュしている。
【インターナショナルシリーズ・モロッコ 最終成績】

アジアンツアー2勝目をインターナショナルシリーズ・モロッコで飾ったコ
優勝(-19):コ・タイチー(香港)
2位(-18):バッバ・ワトソン(米国)
3位T(-15):スティーパット・プラティプティエンチャイ(タイ)、ジャズ・ジェーンワタナノンド(タイ)
5位T(-14):こにしたかのり(日本)、エルビス・スマイリー(豪州)、イアン・スナイマン(南ア)、キーラン・ビンセント(ジンバブエ)
写真提供/アジアンツアー
※2026年6月16日13時0分 一部修正いたしました。
