「ニチレイレディス」で今季初優勝(通算8勝目)を挙げたイ・ミニョン。最終日に9バーディ、ノーボギーの「63」でプレーし、7ホールに及ぶプレーオフでも6つのバーディを奪いました。計15個のバーディを量産した彼女のスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説します。

2024年以来の通算8勝目を飾った

首位と7打差の24位タイからスタートした最終日。圧巻の9バーディ、ノーボギーでプレーして首位でホールアウトすると、追い上げてきた大出瑞月選手、そして初優勝を狙う吉﨑マーナ選手とのプレーオフに突入しました。1ホール目で吉﨑選手が脱落すると、18番パー5を繰り返すこと7回。そのうちの6ホールでバーディを奪う激闘に終止符を打ち、イ選手が見事に通算8勝目を手にしました。

イ選手は、2017年に国内デビューすると賞金ランク2位となり、いきなりその実力を発揮しました。当時コンビを組んで4勝を挙げた中川桂輔キャディが、今大会では1年ぶりにイ選手のキャディとして帯同し、2人のタッグで5勝目を飾りました。中川キャディは「当時もショットはキレていましたが、今大会ではドライバーも飛んでいましたし、ショットもキレキレ。パッティングもライン読みが正確でした」と、その衰えぬ進化に驚いたと話します。

24年の「マスターズGCレディース」で優勝した際の会見では、「飛ばなくなったので、嫌いだったトレーニングを始めました。ドライバーも変えて飛ぶようになりました」と話して2年ぶりの優勝を手にしていましたが、34歳になった今大会のスタッツを見てみると、ドライバーの平均飛距離は全体の2位(259.167Y)、パーオン率は1位(85.185%)と、抜群のショット力を誇っていました。

中川キャディによると、「ドライバーも飛んでいますが、アイアンも風に強く飛距離が出ていました」といいます。そのクラブを見ると、タイトリストの中空アイアン「T250」を4番からPWまで投入しています。タイトリストツアー担当のケビン原氏によると、ロフト角を1度寝かせているそうですが、フェードヒッターのイ選手にとって「弾道の高さとスピン量、グリーンで止めるための落下角度のバランス」が最もマッチしたモデルと教えてくれました。トレーニングに加えて進化したクラブを取り入れたことで、ベテランの域に入っても第一線で活躍するプレーを見せているのです。

下半身をどっしりと安定させ、体幹をねじる

スウィングは広めのスタンスでどっしりと構え、テークバックでは右ひざを不動にし、左ひざが内側に入る動きも最小限に抑えています。そうすることで体幹がしっかりとねじられ、パワーが溜まっていきます。

画像: やや広めのスタンス幅から両ひざの動きを最小限に抑えてテークバックする

やや広めのスタンス幅から両ひざの動きを最小限に抑えてテークバックする

右脚の内側で溜め込んだパワーを受け止めながら、バックスウィングの終盤でわずかに左へ重心を移動しています。左への重心移動が顕著な選手も多く存在しますが、イ選手の場合はほんの少しの移動です。背中をターゲットに向けたまま左へ重心を移動し、地面をしっかりと踏み込んでいます。

画像: 右足内側でパワーを受け止め、背中がターゲットを向いたまま左は重心移動する

右足内側でパワーを受け止め、背中がターゲットを向いたまま左は重心移動する

ダウンスウィングでは、フェードヒッターらしく骨盤を早い段階で回転させると、その動きに上半身も連動していきます。右ひじを内側に絞るように脇につけて下ろしているので、クラブが被って下りてくることを防いでいます。

そして、ヘッドスピードを上げるためのポイントである「頭が後ろに下がる動き」が見て取れます。これはフォローで両腕が伸びて大きなアークを描くため、そしてヘッドの加速を妨げないためにも必要不可欠な動きです。インパクトからフォローにかけて、頭はアドレス時の右ひざの上にあるようなイメージで振ると、プロのような伸びやかなフォローを描くことができます。

画像: 右ひじを内側に絞りながら下ろし、頭を後ろに下げながら振り抜く

右ひじを内側に絞りながら下ろし、頭を後ろに下げながら振り抜く

今大会をもってツアーは前半戦を終え、第1回目のリランキングが適用されました。QT上位から中盤戦に進めなかった選手と、QT下位から下剋上を果たした選手の明暗が分かれています。QT上位から順当に結果を残して出場権を獲得した政田夢乃や、ルーキーの藤本愛菜、そして川﨑春花選手らに加えて、下剋上を果たした吉澤柚月、吉﨑マーナ選手など、若手やルーキーが初優勝やシード権獲得を目指します。中盤戦以降も、彼女たちが国内ツアーを盛り上げてくれることでしょう。


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