国内女子ツアー「EARTH MONDAMIN CUP」の第2ラウンドは、過酷な1日となった。天候は曇り時々雨、気温26.3℃。南南西から風速5.0m/sの強風が吹き荒れ、雷雲接近による2度の中断を挟むなど、選手たちの集中力が試されるコンディションだった。そんなタフな状況下でもスコアを伸ばし順位を上げたのが、稲垣那奈子と大出瑞月だ。2人とも自身のプレーについて冷静に分析できていた。
画像: 悪天候により競技が2度中断。この一時的な休息は、選手たちのメンタルにどう影響したのか?

悪天候により競技が2度中断。この一時的な休息は、選手たちのメンタルにどう影響したのか?

画像: 耐えるだけでなく、スコアを伸ばした稲垣那奈子(右)と大出瑞月(左)

耐えるだけでなく、スコアを伸ばした稲垣那奈子(右)と大出瑞月(左)

「積極的に情報を共有」し、悪天候をも味方につけた稲垣那奈子

画像: 初日・2日目ともに5バーディ3ボギーで回り、順調にスコアを伸ばしている稲垣那奈子

初日・2日目ともに5バーディ3ボギーで回り、順調にスコアを伸ばしている稲垣那奈子

初日と同じスティンプメーター13、そして、ファームネスメーターは259から266とやや柔らかくなったものの、硬く速いグリーンと強風の難条件の中、2つ伸ばして通算4アンダーの暫定2位タイでホールアウトしたのが稲垣那奈子だ。出だしの2、3番で連続バーディの好発進。強風の影響で3つのボギーを叩くも、8番のバーディで前半をイーブンパーで折り返す。後半は14番でバーディ、16番では残り116ヤードからの第2打をPWでピン横1mにつけるスーパーショットでバーディを奪い、見事に展開をコントロールした。

好スコアの理由として挙げたのは以下の点。耐えるだけでなく「どう生かすか」という思考が結果をもたらした。

画像: フォローの風は「むしろ助かっていた」と語った稲垣

フォローの風は「むしろ助かっていた」と語った稲垣

●ブレないアイアンショット: 前日から好調を維持するアイアンを武器に、風の中でもブレの少ないプレーを継続した。

●風を計算した弾道コントロール: 考慮すべき要素が多いなか、抑えるショットだけでなくあえて風にぶつけることで、自分が打つ高い球にプラスの作用をもたらした。

●キャディとの連携と思考の整理: 積極的に声に出してキャディと情報を共有。アドレスに入る際は「やるべきことを一つ」と思考をシンプルに絞り込んだ。

画像: 稲垣とペアを組んだのは小畑貴宏キャディ

稲垣とペアを組んだのは小畑貴宏キャディ

「余計なことはしない」大出瑞月のシンプルゴルフ

画像: 1オーバーの39位タイから暫定6位タイに浮上した大出瑞月(写真は26年「ニチレイレディス」撮影/大澤進二)

1オーバーの39位タイから暫定6位タイに浮上した大出瑞月(写真は26年「ニチレイレディス」撮影/大澤進二)

一方、初日を1オーバーで耐え、2日目は5バーディ2ボギーで16ホールを消化し、暫定6位タイに浮上した大出は、過酷な状況を独自のスタイルで切り抜けていた。この日を「いい感じでした」と一言で振り返った大出は、15mの長いパットがたまたま入る幸運に助けられたと語った。しかしさらに深掘りしていくと、彼女のスッキリとした思考がスコアメイクの要となっていたようだ。

●守りに入らない自然体なプレー: 崩れる可能性があるコンディションに対して「守ってばかりいると、かえって悪い方向へ行く(コースが守らせてくれない)」と分析。あえて無理に攻めることも過度に守ることもせず、強風に対しても風向きを考慮したアドレスを意識するくらい。普段通りのプレーを徹底した。
*同組の大山志保については「めちゃくちゃ風にぶつけていくタイプ。『あれができたら楽だなぁ』って(笑)。達人みたいなゴルフでした」(大出)

●メモを持たない情報整理: 「情報がありすぎると迷う」ため、一昨年の終盤から自身ではコースメモを持たず、距離などの必要な情報のみを帯同キャディに確認するスタイルをとっている。

●迷いのない決断力: 取り入れる情報を意図的に削ぎ落とし、「ここに打つ」と決めたら迷わずスウィングする。

一見対照的なプレースタイルを持つ2人だが、「決め切る」という点では共通している。過酷な状況下においては情報量が多くなる。そんなときは、周囲の状況に惑わされない「ブレない心」が、結果に直結するようだ。

15:30にサスペンデッドが決定し、明日(6月27日)は中止で日曜日から試合再開予定となった。大会の進行予定も崩れるなか、悪条件に屈することなく己のプレースタイルを貫き通せるのは誰か。コースセッティングを担当した茂木宏美氏の「中途半端に攻めてはいけない。メリハリが追求される」という言葉の意味を真に理解し、決断をプレーで体現できる選手が求められている。(文/川野真美)


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