政田夢乃はプロ3年目を迎え、待望の初優勝への道を着実に歩んでいる。今季はトップ10入り6回(うちトップ5が3回)と安定した強さを誇る。そして選手たちの通過点となる第1回リランキングを1位で通過し、迎えた「EARTH MONDAMIN CUP」。初日から悪天候に見舞われたものの、1オーバー39位タイと耐え抜いたその姿は、彼女の今季の強さを証明しているように思えた。彼女の真髄に迫るべく、大会2日目、前半9ホール(10番~18番)に帯同した。
画像: 6月26日に行われた第2ラウンドの前半に帯同した(写真は28日のもの、撮影/有原裕晶)

6月26日に行われた第2ラウンドの前半に帯同した(写真は28日のもの、撮影/有原裕晶)

日にち1番(570・5)2番(324・4)3番(425・4)4番(158・3)5番(328・4)6番(436・4)7番(331・4)8番(520・5)9番(189・3)10番(399・4)11番(413・4)12番(383・4)13番(188・3)14番(544・5)15番(171・3)16番(382・4)17番(421・4)18番(517・5)
初日(39位タイ、通算1オーバー)
2日目(予選落ち、通算8オーバー)
政田夢乃のスコア

この日(6月26日)のコースは異様だった。雷雨接近による試合の中断、雨上がりの蒸し暑さに加え、千葉県北西部を震源とする地震まで発生。ゴルフは自然という抗えない状況を前にして、プレーヤーの本質が浮き彫りにされるスポーツなのだと改めて実感する。そして、そんな環境だからこそ、政田夢乃の魅力を再認識させられた。

キャディの熱い鼓舞と揺るがない「静」の集中力

画像: 政田を支えるのは芳賀和希キャディ。ギャラリーをも活気づける大きな声掛けをしている(撮影/有原裕晶)

政田を支えるのは芳賀和希キャディ。ギャラリーをも活気づける大きな声掛けをしている(撮影/有原裕晶)

インスタートの政田は10、11番で連続ボギー。ファンからの温かい声援が少し苦しく感じられた。

しかし、12番の2打目地点で芳賀和希キャディから声がかかる。打つ前の声かけ、ショット直後の「ナイスショー!」、パーパット後の「OK!」と、ギャラリーにまで届く大きな声。熱を帯びた「動」のサポートに対し、政田は周囲の安堵の声に静かに会釈を返した。

画像: 6月26日10時58分、雷雲接近のため競技が一時中断した

6月26日10時58分、雷雲接近のため競技が一時中断した

自然は容赦ない。15番のダブルボギー後、16番を終え、17番の第3打地点(ガードバンカー)に差し掛かった午前10時58分、雷雲接近による競技一時中断のホーンが鳴った。

集中力を欠いてもおかしくない局面だが、政田の表情に変化はない。彼女といえば周囲をときめかせる柔らかな笑顔の印象が強いが、この悪状況下ではマイナスな感情を外に出さない姿勢が目を引いた。笑顔が見られなくとも、その誠実さに心を奪われた。

荒れ狂う天候のなかでの再開と、日を跨ぐ激闘

同日11時41分、政田は17番のガードバンカーからの3打目というタフな状況からプレーを再開。残念ながらこのホールをボギーとする。続く前半最終の18番(517ヤード・パー5)。依然として不安定な天候のなか、ティーショットを振り抜いた背中には、「大丈夫、まだいける!」と熱を帯びた真っすぐな声が飛んだ。

画像: 政田は17番(421ヤード・パー4)、ガードバンカーの3打目から再開

政田は17番(421ヤード・パー4)、ガードバンカーの3打目から再開

政田はこの日、後半の5番ホールまでをなんとか消化。その後サスペンデッドとなり、残りのラウンドは翌々日の28日へと持ち越された。 そして28日、6番ホールから第2ラウンドの残りを再開した政田は、苦しい展開のなかでも同組の佐久間朱莉から冷静に学んでいた。

画像: お互いの健闘を称え合った政田と佐久間(撮影/有原裕晶)

お互いの健闘を称え合った政田と佐久間(撮影/有原裕晶)

「朱莉ちゃんはたぶん最近調子が良くなかったと思うし、本調子は見られていないですけど……。そのなかでも普通に、淡々とプレーする姿が勉強になりました。難しい場所からもパーセーブして、今日(28日)は8番でしっかりバーディを取ってきたり。最後までやり切る姿勢がすごかったです」(政田・以下同)

結果を受け入れる心と誠実な内面

画像: 凛とする姿も美しい政田(撮影/有原裕晶)

凛とする姿も美しい政田(撮影/有原裕晶)

第2ラウンドを終え、予選落ちという結果を受け止めつつ、ホールアウト後に彼女は前を見て語った。

「風が強くてカットラインが読めなかったので、最後まで諦めずにという気持ちで回りました。2日間でバーディ2つはすごく悔しいです。トータルで難しかったですが、初日は耐え切れていたので2日目も同じように回りたかった。でも、久々に雨風のある難しい状況でプレーできたのはいい経験です。予選落ちしたぶん、体も少し休められますし。なんかいい時間でした。難しい9番はバーディで締められて来週につながると思うので、プラスに考えて頑張ります」

画像: 同組の選手のプレーをしっかり見届けていた姿も印象的だった(撮影/有原裕晶)

同組の選手のプレーをしっかり見届けていた姿も印象的だった(撮影/有原裕晶)

柔和な笑顔は彼女特有の魅力だが、過酷な状況下で戦うなかではその精神的な誠実さが際立っていた。同組の佐久間朱莉が見せた「淡々とプレーし最後までやり切る姿」を素直に称え、自らの糧に変えようとする謙虚な眼差し。そして、この状況下で行ったプレーを多側面から語る視野の広さ。

画像: でもやっぱりこの笑顔が見たくなる(撮影/有原裕晶)

でもやっぱりこの笑顔が見たくなる(撮影/有原裕晶)

具体的かつ前向きな言葉で語る姿勢からは、ゴルフという競技に真摯に向き合うアスリートとしての気高さを感じた。手厚いファンサービスも、この「目の前のすべてに嘘をつかない」という誠実さの延長線上にあるのだろう。自然をも受け入れるその深い受容力に、政田夢乃の本質を見た気がした。(文/川野真美)


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