現在開催中の国内女子ツアー「EARTH MONDAMIN CUP」。主催者推薦選考会を通過し、本戦出場を決めた10名のうち、大荒れの天候下で予選通過を果たしたのはわずか2名だった。一人はプロ3年目の清本美波。そしてもう一人が、プロ2年目の手束雅だ(通算3オーバー、45位タイ)。今季はステップ・アップ・ツアーで6試合に出場している手束だが、レギュラーツアーへの参戦は今大会が初となる。昨年のQT(クォリファイングトーナメント)で実力を出し切れず悔しい思いをした彼女にとって、この大舞台は自身の現在地を測る重要な試合。連日の雨と強風、サスペンデッドが相次ぐ過酷なコンディションのなか、なぜ手束はスコアをまとめ、この狭き門を突破できたのか。その最大の理由は、過酷な状況すらも「楽しむ」というポジティブな精神力にあった。
画像: 崩れる可能性がある悪状況下で、「予選通過」という目標をしっかり達成した手束雅(撮影/有原裕晶)

崩れる可能性がある悪状況下で、「予選通過」という目標をしっかり達成した手束雅(撮影/有原裕晶)

親友キャディと作り上げた「風雨すらも楽しむ」空間

今回、手束のバッグを担いだのは、ジュニア時代から切磋琢磨してきた同級生の大西菜生キャディだ。

大西が手束のキャディを務めるのは今回が初となる。大西はラウンド中の手束の様子について、「雨や風といった悪天候でさえも楽しんでプレーしていた」と振り返る。

ショットの前は互いの意見を交わし合いながらも、歩いている間はプライベートの他愛もない話をして、この場を心から楽しんでいた。気心の知れた親友のサポートによるリラックスした空気感が、今季初のレギュラーツアーという大舞台での過度な緊張や、悪天候によるストレスを見事に中和していたのだ。

確かな技術の向上と、折れない心

画像: 苦手なショットに対して向き合ってきた努力が、今大会で実った(撮影/有原裕晶)

苦手なショットに対して向き合ってきた努力が、今大会で実った(撮影/有原裕晶)

もちろん、精神論だけで乗り切れるほどツアーのセッティングは甘くない。

手束自身、この1年で技術とメンタルを確実なものにしていた。長いラフや雨を含んだ重い芝、バンカー越えのシビアなピンポジションに対しても、コーチと取り組んできた技術が実を結び、果敢に狙っていくことができたと話す。

「今までは深いラフに行くと十分に球を上げることができなかったんです。でもこの悪条件下のなかで、練習してきた成果を発揮することができました。バンカー越えの場面でも、ピンを狙って攻めていけた。昨年に比べて成長した部分です」(手束・以下同)

さらに昨年のレギュラーツアー参戦経験を糧に、ボギーを打っても引きずることなく、気持ちの切り替えができていることを実感した。大西キャディも、微妙な距離のパーパットをいくつも沈め、最後まで諦めずに戦い抜いた手束を絶賛していた。

ルーキーイヤーからの成長を十分に感じる一方で、レギュラーツアーに出場し続けているベテランの精神力は圧倒的だった。同組でラウンドした木戸愛のプレーについて、「私だったら悩んでしまうところでも、(木戸さんは)決め打ちできていた。さすがだなと思いました」と、長年の経験値から発揮されるティーショットやグリーン上での迷いのなさに感服した。

画像: 悪天候による情報量の多さに惑わされず、“決め切る”強さを見せた木戸愛(撮影/有原裕晶)

悪天候による情報量の多さに惑わされず、“決め切る”強さを見せた木戸愛(撮影/有原裕晶)

不測の事態も受け入れる逞しさ

天候不良による度重なるスケジュール変更に対しても、手束はプロになってからはそういった状況にも臨機応変に対応できるようになったと動じる様子を見せなかった。イレギュラーな事態を冷静に受け入れ、与えられた目の前の1打に集中する。「まずは予選通過」という目標を掲げながらも、何よりこの場を楽しむという純粋な思いが、大荒れの天候下で彼女を輝かせたのである。

「最終ラウンドまで一つでも順位を上げられるように頑張りたい」と語った手束。残念ながら同志の支えはなくなってしまうが(予備日は都合が合わず、ハウスキャディとラウンドする)、決勝ラウンドでも彼女らしいアグレッシブなプレーに期待したい。

文/川野真美


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