千葉県・カメリアヒルズカントリークラブで開催された国内女子ツアー「EARTH MONDAMIN CUP」最終日。KLPGAツアー通算8勝を誇る26歳の実力者、そして“キューティフル”の愛称で親しまれるパク・ヒョンギョンが激闘を制し、日本ツアー初の優勝を飾った。前半の不調を跳ね除け、中盤の猛チャージで単独首位を奪うという劇的な展開。勝利の女神が微笑んだのは、迷いを振り切った起死回生の一打だった。
画像: 今季の目標はツアー通算10勝を達成すること。9勝目は日本ツアーで上げることになったパク・ヒョンギョン「早いうちに韓国で10勝目を挙げたいです」

今季の目標はツアー通算10勝を達成すること。9勝目は日本ツアーで上げることになったパク・ヒョンギョン「早いうちに韓国で10勝目を挙げたいです」

ショットの乱れと自信の喪失。苦境からのスタート

画像: 初日は6位タイ、2日目は1位タイ、3日目も1位タイと順調に優勝へと近づいていたパク。しかし3日目は、耐える場面も多かった

初日は6位タイ、2日目は1位タイ、3日目も1位タイと順調に優勝へと近づいていたパク。しかし3日目は、耐える場面も多かった

1番からスタートしたパクだが、序盤は苦しい立ち上がりとなった。2番(324ヤード・パー4)でバーディを先行させるも、続く3番(425ヤード・パー4)でボギー。解説者は「前半はショットが左に行っている」と指摘。さらに彼女の表情については「顔が下を向く場面が多く、グリーン上でもパッティングに自信がなさげな様子がうかがえる」と、本来実力を発揮できていないようだった。その理由は、バッグを担ぐ実父との間に意見の相違があり、親子喧嘩が勃発していたからだった。

「もともとゴルフを始めたのはプロゴルファーの父から、2008年7月31日に『君はゴルファーになれ!』突然言われたことがきっかけでした。今日も父がバッグを担いでくれましたが、プロ出身なので、父の意見もある。なので、例えば8番ではアプローチの距離感が合わず、当然バーディを取れるところで取れなかったりして、9番のティーショットの後も含めて『その分析はどうなのよ?』と、私が一方的に文句を言ってしまうところもありました」(パク・以下同)

転機となった9番グリーン。驚きの歓声と共に蘇った自信

画像: 優勝の鍵となったのは、9番(189ヤード・パー3)

優勝の鍵となったのは、9番(189ヤード・パー3)

重苦しい空気が漂うなか、大きなターニングポイントとなったのは前半の締め9番(189ヤード・パー3)だった。彼女はここで異例とも言えるレーザー距離計を使用した。

「いつもは歩測するけれど距離が遠すぎましたし、同組の阿部未悠選手のラインを踏みそうで歩けなかったから」とその理由を明かした彼女は、「遠いのでボギーでも仕方ない」と腹を括ってパットを放つ。するとまさか、ボールは見事にカップイン。彼女自身も「オー」と感嘆の表情を漏らし、父とも笑顔を交わしたという。この劇的なバーディを沈めたことが、前半の不調を弾き飛ばす瞬間となった。

日本ツアー4度目の挑戦。実力者が証明した驚異の安定感

画像: 優勝会見では、ゴルフを始めたきっかけ、そしてずっとそばで支えてくれる父に感謝の思いを語った

優勝会見では、ゴルフを始めたきっかけ、そしてずっとそばで支えてくれる父に感謝の思いを語った

締めの一打で完全に息を吹き返したパクは、後半に入り、本来の強さを見せつけた。

11番(413ヤード・パー4)で首位タイに並ぶと、14番(544ヤード・パー5)でもバーディを奪い、単独首位へ躍り出た。

日本ツアー参戦はこれで4度目だが、過去3回もすべて15位以内と元々抜群の安定感を誇っていた。

大会直前には、父方の祖母が他界するという悲しみもあった。生前応援してくれていた祖母へ「どんな結果でも受け入れます。最後まで最善を尽くさせてください」と祈って臨んだという。優勝を決めた直後、キャディの父も天を仰ぎ「母さん、ありがとう」と呟いた。

「ファンがたくさん応援してくださり力になった」と語る彼女。天国の祖母と、二人三脚の父と共に掴んだ初優勝は、大会に新たな歴史を刻み込んだ。(文/川野真美)

撮影/岡沢裕行


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