「第二のイ・ボミ」として期待が高まる韓国の“キューティフル”
昨年の「ワールドレディスサロンパスカップ」に初参戦した彼女は、初日を5位タイでスタートし、最終順位を8位タイで終えてその存在感を強く印象づけました。その際に感じたのは、日本の深いラフと硬く速いグリーンへの対応力の高さであり、韓国ツアーですでに8勝を挙げているという前評判通りのゴルフ力を示していました。当時から「本格的に日本ツアーに参戦すれば、どの選手にとっても強敵になるに違いない」と感じたことを覚えています。
当時、韓国ツアーに詳しい記者仲間に聞くと、愛くるしい表情の豊かさに加え、持ち前の強さも併せ持つことから「キューティフル」という愛称で呼ばれていると教えてくれました。日本で一世を風靡したイ・ボミ選手の跡を継ぐ、新たなヒロインになる可能性を感じました。

「EARTH MONDAMIN CUP」で日本ツアー初優勝を飾ったパク・ヒョンギョン
当時、もう一つ感じたのは、アスリートらしい厚みのある体型と、安定したスウィングから伝わる体幹の強さでした。ショット力に加えてショートゲームにも隙がないという、完成されたプレースタイルです。
今大会の最終日を中継で見ていて、前半は決して本調子とは言えないプレーという印象を抱きました。しかし、持ち前のショートゲームでスコアを崩さずにターンすると、打ち上げで距離のある難関11番(413ヤード・パー4)でUTを握って一閃。ピンそば1mにピタリとつけるスーパーショットを見せました。まさに、パク選手がラウンド中に抜群の修正力を発揮した瞬間でした。
左サイドでブレーキをかけ、ヘッドにエネルギーを移行する
彼女のスウィングを見てみると、両ひじを緩めたアドレスは、力み防止の観点でとても参考になります。ヘッドをやや遠くに上げながら始動しますが、グリップエンドがおへそを向いたまま体と同調しています。

両ひじを緩めてアドレスし、ヘッドを遠くに上げながらテークバックする
適度にコックを使いながら背中をターゲットに向けた深いトップを作り、そこからブランコを漕ぐ際のようにしゃがみ込んで切り返します。そうすることで股関節の角度が深くなり、伸び上がる動きを抑制しつつ、ダウンスウィングで手元が下りてくるスペースをしっかりと確保しているのです。

深いトップからしゃがみ込みながら切り返すことで、手元が下りてくるスペースを確保する
しゃがみ込むような動きで重心を下げてから回転が入ることで、クラブはアウトから入らずにスウィングプレーンに乗ってきます。下半身リードでクラブを引っ張りつつも、インパクトでは左ひざを伸ばしきっていません。縦の地面反力を多く使うタイプではないものの、左ひざを外に流さずに左サイドでしっかりブレーキをかけ、クラブを効率よく加速させていることが見て取れます。

インパクトで左ひざを伸ばさず、左サイドでブレーキをかけることでクラブへ力を伝達し、ヘッドを加速させる
シンプルなドローボールの修正法
前半のパク選手は、想定よりもドロー回転が強く左に曲がっていました。ドローを打つためには、クラブはターゲットに対してインサイドアウト軌道で入り、フェースの向きはターゲットよりも右を向いた状態でインパクトしなければなりません。打ち出しから左に曲がる弾道になってしまうのは、インサイドアウト軌道に対してフェースがターゲット(あるいはさらに左)を向いてインパクトしてしまっているからです。
修正方法はいくつも考えられますが、最もシンプルな方法は「ボール位置を少し右に置く」ことです。こうすると、フェースがターゲットよりも右を向いた状態でインパクトしやすくなり、出球を右に修正することが可能になります。 同じドローボールヒッターのイ・ボミ選手も以前、「頭を右に動かしてスウェイしてしまうと、インサイドアウト軌道が強くなりフックボールが出るため、頭を動かしすぎないように軸を意識する」と話していました。そういった“自分なりの修正方法”を持っていることが、スコアメイクに役立つのは言うまでもありません。
優勝会見で本格的な日本ツアー参戦について問われると、「もう少し時間をかけて考える」と語ったパク選手。日本の上位選手がこぞって米ツアーに参戦し、空洞化の懸念もある中で、彼女のような新たなスターの誕生は、間違いなくツアーを活性化させる起爆剤になることでしょう。
写真/岡沢裕行
