2026年7月3日、四日市カンツリー倶楽部にて幕を閉じた「第110回日本アマチュアゴルフ選手権 Presented by カープレミア」。圧倒的なスコア(通算17アンダー)で頂点に立った王者、キム・ミンスの陰で、ひそかに「最後」の戦いを終えた大学4年生たちがいた。結果という数字だけでは語れない、彼らのリアルな思いを聞いた。
画像: 【左】隅内雅人【右】小林匠

【左】隅内雅人【右】小林匠

小林匠(大阪学院大学):優勝しか見ていなかった

画像: 昨年の「日本アマチュアゴルフ選手権」では3位に入るなど、結果を残している

昨年の「日本アマチュアゴルフ選手権」では3位に入るなど、結果を残している

通算4アンダーの15位タイで最後の日本アマを終えた小林匠(こばやし・たくみ/大阪学院大学)は、開口一番「もったいないゴルフ。ずっと苦しい展開だった」と語った。

自身のプレーへの評価は「30点」と極めて厳しい。初日は4アンダー、2日目は7アンダーと首位を射程圏に捉える絶好のスタートを切っていた。しかし、3日目の出だしの1番ホールでボギーを叩いた瞬間、彼の中で「張り詰めていたものが一気に切れた」と話す。後半にかけてパットが届かない、「思っているより少し弱いので、最後に切れて外していた」場面が増え、3日目と最終日は連日30パットを超えた。

崩れたメンタルを立て直せなかった背景には、彼の覚悟があった。

「今回は学生最後でポイントも関係ない。本当に優勝しか見ていなかったんです」(小林)

普段であれば、スコアを落としても別の目標を設定して耐えることができる。しかし、今大会に向けられた「目指すは頂点のみ」というその純粋すぎる情熱が、苦しさを生んでしまった。それでも5回目の出場となった今大会を通じて「昔よりはミスの幅が減り、耐えるゴルフが少しずつできるようになってはいる」と成長も実感している。

次なる目標はQT(クォリファイングトーナメント)だ。

「今回のように心が折れてしまってはQTでは勝ち抜けない。自分を立て直すための明確なモチベーションを見つけたい」

不退転の覚悟で挑んだ敗戦を糧に、目指すはレギュラーツアー出場と賞金王。そして松山英樹のように世界へ羽ばたくことだ。小林のプロの世界を目指す新たな挑戦が、この悔しさから幕を開ける。

隅内雅人(日本大学):自信がないなかで

画像: 誕生日(10月24日、さそり座)が同じ2人で挑んだ

誕生日(10月24日、さそり座)が同じ2人で挑んだ

一方、通算3アンダーの18位タイでフィニッシュした隅内雅人は、最終日、「日本オープン」の最終予選出場権が得られる10位以内を目標にスタートした。前半の3番・5番で2アンダー伸ばし、チャンスとなる7番・8番・9番に突入した。そこで「ラフに入れたくない気持ちが先行し、攻めきれなかった」と、スコアを落とすことを恐れ消極的なマネジメントになったことに悔しさをにじませた。

実はここ半年間、取り柄でもある“自信”を失っていた。さらに過去の日本アマでも予選落ちが多く、大会への苦手意識もあったという。そんな彼を傍で支えたのは、「洗濯とか何でもやってくれるから(笑)」という理由で初めてキャディに抜擢された、後輩の伊豆田怜央(いずた・れお、3年)だ。

伊豆田によると、隅内は試合中はミスをしても感情を乱さず、ひたむきにプレーに集中していたという。後輩は微妙な距離のパットを沈める先輩の勝負強さに感嘆していたのだ。しかし一方で、隅内から風の読みを尋ねられた伊豆田が「はい!」と勢いよく賛同したものの実は逆の風が吹いており、「全部『はい』じゃん!」と隅内から突っ込まれるという場面があったそう。伊豆田のそんな受け止め力と愛嬌は「最後の日本アマ」という舞台を和ませ、重圧の中で戦う隅内の心の支えとなったことだろう。

今大会に対し「3日目・最終日は今後につながる内容。久しぶりに気持ちよかったんです」と、最後には表情を和ませた隅内。

「今年はなんといってもQT。特別に何かに取り組むでもなく、自信のなさから来るミスを減らせば自ずと結果はついてくるはずです」

どん底を知る彼の視線は、残りの学生タイトル、そしてプロの世界へと真っすぐに向けられている。

文/川野真美

*2026年7月3日19時52分一部修正いたしました。


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