悪天候のため3日間54ホールの短縮競技となった「資生堂・JALレディスオープン」。例年の戸塚CC西コースではなく、東コース(6487ヤード・パー72)で開催された今大会は、最終日まで伸ばし合いの展開となった。そして史上最多の7名によるプレーオフの末、栄冠を手にしたのはルーキーの倉林紅だった。

スタートからの連続ボギーで気持ちがリセットできた

昨年にプロテストを合格。そしてQTを首位通過という史上2人目の快挙を成し遂げた倉林紅は、また新たな記録と共に初優勝を達成した。それは史上最多となる7名でのプレーオフを勝ち取り、さらに宮城県勢として初となる優勝者となった。

2日目終了時点で、首位と3打差に10人が並ぶ大混戦。その中に倉林も加わっていた。

「初日は自分のできることをしようと思っていました。8割くらいは納得のいくプレーができました。2日目は順位とかではなく、昨日の自分よりも良いプレーをしたいという気持ちでした」

優勝も狙える順位からスタートを切った倉林だが、1番と2番を連続ボギーとつまずいてしまう。

しかし、この一時的な後退が優勝に近づくきっかけになっていた。

「最初はボギーが先行してしまったんですが、逆に優勝の意識ではなく、自分のプレーに意識を戻せたのが結果的に良かったのかなと思います」

画像: エイムポイントを使ってラインを読む倉林

エイムポイントを使ってラインを読む倉林

この意識のリセットが功を奏し、残り16ホールで7つのバーディを奪取。自身にとって今大会最小スコアとなる、「67」でホールアウトした。

腹を決め、迷わずにクラブを振った

正規の18ホールを終えた時点で、倉林を含めた通算12アンダーに7名が並び、プレーオフへもつれ込んだ。

1ホール目は3人と4人に振り分けてスタートした。倉林は前多愛、神谷桃歌との3名グループに入った。

1打目を左に曲げ、2打目が木に当たりバンカーへ。倉林にとって最大のピンチを迎えた場面だった。

「高校を卒業した後にトーナメントに出場させていただく機会が増えて、難しいコースセッティングの時にバンカーに入る確率が増えてしまって。ふとした時に苦手意識が始まって、気づいたら半イップスみたいになって」

ホームランしてしまうことが多くなり恐怖心に襲われることもあった。しかし、様々なウェッジを試すといった試行錯誤を経て緩和された。

「ホームランしても良いから絶対に緩んじゃうのはやめようと。あと今日の朝に練習した30Yの距離だったので、しっかりと振り抜けました」

腹を決めて放たれたショットがピン側に寄り、見事にパーセーブで切り抜けた。

1ホール目で菅楓華が脱落し、6名で2ホール目へ突入した。2ホール目はピンまで残り115Yの2打目を48度で狙った。しかし、ピン右横4mに着弾した。バンカーショットに続き、また壁が立ちはだかった。

「自分が決めなきゃいけないと思っていました。正規の18番と同じような距離だったので、あとは打ち切るだけだなと」

ロングパットも気持ちを込めて打ち切り、見事にカップに吸い込まれた。その瞬間、倉林は笑みを浮かべながら拳を握った。

ロングパットを捩じ込み、拳を握った

“ルーキーイヤーで優勝する”と掲げた目標を達成した倉林は、「自分のプレーを通して夢や感動を与えられるようなプレーヤーになりたいです」と、今後の展望を口にして、力強く締め括った。

不調だったフェアウェイウッドを新調した

バンカーショットやパットといった小技を光らせ、優勝を手にした倉林。ショットでも新たな武器を携えて、今大会に挑んでいた。

それは3Wと5W(2024年発売)に新調していたこと。これまでは一世代前の物を使っていた。

「サントリーレディスあたりから納得の行く球が出なくて。毎週、色んなフェアウェイウッドを変えながらやっていたんですけど、今週やっと良い物に巡り会えて。

ずっと左のミスが多かったんですけど、それを消すことができて攻めたショットができました」

画像: 2024年発売のヨネックス「E-ZONE GT」の3Wと5W

2024年発売のヨネックス「E-ZONE GT」の3Wと5W

細かなチューニングもされており、3Wヘッドにはつかまりやすくするために、2カ所に鉛を貼っている。

また振り心地を整えるために、シャフトを中調子の「レクシス カイザ-M」から先中調子の「レクシス カイザ-F」にチェンジした。

画像: シャフトは「レクシス カイザ-F」

シャフトは「レクシス カイザ-F」

優勝の裏には心強いクラブの存在もあった。
倉林の今後の活躍に目が離せない。(文/井上尚)

撮影/岡沢裕行


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