日本のゴルフシューズ市場で絶大な人気を誇り、最も売れているシューズとしての地位を確立しているアディダスの「コードカオス」シリーズ。歩行時の快適さとスウィング時に求められるグリップ力・安定性を両立した、シリーズの第4世代となる待望の最新モデル「CODECHAOS 27」が7月17日に発売された。それに伴い来日した、初代から一貫してデザインを手がけているグローバルチームのフットウェアデザインディレクター、ケリー・キクタ(Kelly Kikuta)氏にインタビューを実施した。記録的な大ヒットの裏側にある日米ゴルファーの好みの違いや、新作に込められた革新的なテクノロジーの秘密について、キクタ氏自身の言葉をもとにその全貌を解き明かす。

日本で大ヒットした理由と、日米ゴルファーの明確な違い

2020年に初代モデルが登場して以来、コードカオスはゴルフシューズの定義を再構築してきた。当時のゴルフシューズは各社似たようなクラシックなルックスが主流だったが、コードカオスは高いパフォーマンスを備えつつ、「なんだこれは!」と驚かれるような全く新しいデザインを提示したとキクタ氏は語る。

なぜ日本をはじめとするアジア市場でこれほどまでに支持されたのか。キクタ氏は、アジアとアメリカにおけるゴルファーの意識の違いを指摘した。

「アジア圏のゴルファーは、シューズの色やシルエット、クロージャーシステムなどを通じて自分自身のスタイルや個性を表現することに非常に意欲的です。対照的に、アメリカ市場のゴルファーはやや保守的で、伝統的で馴染みのあるデザインや履き心地を好む傾向が強いですね」

バスケットボールが好きなキクタ氏にとって、コードカオスはバスケットボールシューズのデザインエッセンスをゴルフに落とし込める唯一のシリーズだという。

「制限なく、型破りな発想でデザインできるからこそモチベーションが上がりますし、それが日本のマーケットで受け入れられていることに大きな喜びを感じています」と笑顔を見せた。

画像: 初代から一貫してデザインを手がけているグローバルチームのフットウェアデザインディレクター、ケリー・キクタ(Kelly Kikuta)氏

初代から一貫してデザインを手がけているグローバルチームのフットウェアデザインディレクター、ケリー・キクタ(Kelly Kikuta)氏

「快適性」と「安定性」のジレンマを克服したアップデート

伝統的なツアーシューズの場合、長年のファンからは前作の良さを残した保守的なアップデートが期待されがちだ。しかし、コードカオスのDNAは「常に進化し、変わること」であり、前作と同じようなものでは逆に期待外れとみなされてしまう。開発にあたっては、歴代モデルに対するユーザーの声を徹底的に分析したという。

「前々作(CODECHAOS 22)は快適性とクッション性が高く評価された一方で、ハードヒットする層からはさらなる安定性が求められました。それを受けて改良した前作(CODECHAOS 25)は剛性を高めましたが、今度は従来からのファンにとって『やや硬い』と感じられる部分が生じてしまったのです」

そこで最新作の「CODECHAOS 27」では、シリーズの代名詞である「快適性」と「クッション性」の奪還を大前提としつつ、スウィング時のパフォーマンスを一切妥協しない構造を目指した。

ミッドソールには足の両側面と足裏を繋ぐ一体型構造を配置し、ヒール周りを包み込みながらつま先にかけて伸びる左右非対称構造の「AXISLOCK(アクシスロック)」を採用。これにより、歩行時には動きを解放して硬さを感じさせず、スウィング時には軸をロックして未体験のトルクを生み出すことに成功した。

画像: 左からCODECHAOS 22、CODECHAOS 25、CODECHAOS 27

左からCODECHAOS 22、CODECHAOS 25、CODECHAOS 27

チームの大反対を押し切った「剥き出しのBOOST」と新素材「TWISTSKIN」

性能面だけでなく、デザイン面でも今作は大きな転換期を迎えた。過去の混沌としたデザインから一転し、より洗練されたクリーンでシンプルなデザインへと方向転換を果たしている。その象徴がミッドソールの構造変化だ。

「カオスの象徴だったミッドソールのラップ構造を取り払い、シリーズで初めて『BOOST(ブースト)』フォームを剥き出しにする提案をした時は、チームから大反対されましたね。『ラップ=コードカオス』というイメージが定着していたため、グローバルチームからは『本当に大丈夫か? デザインも変わるし、ブーストを剥き出しにしたらブレブレになってしまうのでは』と強い懸念を示されました」

それでも「今回は新しいチャプター(章)を作るターニングポイントになる」という直感があり、チームを説得して押し通したとキクタ氏は振り返る。

画像: シリーズ初の「剥き出しBOOST」

シリーズ初の「剥き出しBOOST」

そして今作におけるもう一つの大きな挑戦が、フットウェアとして初採用となる新開発のアッパー素材「TWISTSKIN(ツイストスキン)」である。キクタ氏はこの画期的な素材のメカニズムを次のように熱弁する。

「本来、ポリウレタンのように伸縮性の高い素材は重く、夏のウェアなどでは重量が負担になってしまいます。そこで、伸びない素材をツイストさせて伸ばすことで、少ない素材で軽量性を保ちながらストレッチ性を持たせるという『アパレルの発想』をシューズに応用したんです」

ツイストスキンによって、ゆとりや順応性を高めたい部分は優しく伸ばしつつ、スウィング中の横揺れなど伸びを抑えなければいけない箇所はしっかりとホールドしてくれる。この新素材は今後のアディダスゴルフを牽引するテクノロジーとして、将来のプロダクトにも引き継がれていく予定だという。

画像: しなやかなのに強いアッパー素材「TWISTSKIN」

しなやかなのに強いアッパー素材「TWISTSKIN」

アマチュアゴルファーのピンチを救う機能性

日本のアマチュアゴルファーが最もスコアを崩しやすいタイミングと言えるのが、「上がり3ホールでの足の疲労」や「雨の日の深いラフ」といったピンチの状況だ。このような場面で「CODECHAOS 27」がどのように助けになるのかという問いに対し、キクタ氏は明確なメリットを挙げてくれた。

まず疲労という点に関しては、「シューズ全体のデザイン、アウトソールからミッドソールのブーストテクノロジー、そしてツイストスキンなどにより、足に対する負担は一般的なシューズよりも大きく軽減されるよう設計しています。快適な履き心地によって、後半になっても疲れにくいと実感していただけるはずです」と自信を見せる。

また、濡れたコンディションや泥などの悪条件に関しては、「スパイクレスシューズの弱点である目詰まりに対して、この『TWISTGRIP(ツイストグリップ)』というテクノロジーが効果を発揮します」と力を込める。

「さまざまな芝や土、砂でも高いグリップ力を発揮するのはもちろんですが、歩くたびにソールが屈曲することで、詰まった泥や葉っぱが自然とリリースされる(落ちる)ように設計されています。従来のスパイクレスは芝が挟まりっぱなしになり、画鋲のように飛び出て滑ってしまうことがありましたが、ツイストグリップは目詰まりしづらいため、常に高いグリップ力をキープできます」

さらに今作のツイストグリップは、従来モデル比でグリップ機能を20%拡大しており、まさに地面を喰らうモンスター級のグリップ力を備えている。

画像: 目詰まりしづらく常に高いグリップ力を保てる「TWISTGRIP」

目詰まりしづらく常に高いグリップ力を保てる「TWISTGRIP」

常に変化し続けることこそがコードカオスのDNAだと語るキクタ氏。「CODECHAOS 27」は、これまでの常識を再び覆し、機能とデザインの両面でゴルフシューズの新たな基準を打ち立てた。その妥協なき進化と未体験のパフォーマンスを、ぜひコースで体感してほしい。

写真/森浩輔


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