57歳の桑原克典が、スコア「57」で自身初となるエージシュート(自分の年齢以下のスコアで回ること)を達成した。
画像: 神戸GCでエージシュートを達成した桑原克典

神戸GCでエージシュートを達成した桑原克典

桑原克典といえば、1992年にプロ転向し、95年にツアー初優勝。98年には「日本プロゴルフマッチプレー選手権」を制してメジャーチャンピオンとなり、その後11年連続で賞金シードを守り抜くなど、長年にわたり一線級で活躍してきた実力者だ。

そんな桑原がメモリアルな快挙を成し遂げた舞台は、日本最古のゴルフコース「神戸ゴルフ倶楽部」。

神戸ゴルフ倶楽部は1903年、イギリス人貿易商アーサー・ヘスケス・グルームが兵庫県の六甲山上に手作りで創設した、日本のゴルフ発祥の地である。この歴史的なコースでの達成について、桑原は「まるで日本のゴルフの神様から祝福されているようでした」と深い感慨を口にする。

「123年の歴史を誇る日本最古のゴルフ場・神戸ゴルフ倶楽部で、僕の人生初のエージシュートを達成できたことは本当に特別な意味があります。(ゴルフ人生の物語でいえば)すべての伏線が回収されたような感動があり、すごくハッピーです」(桑原、以下同)

メジャー級に過酷な「手作りの難コース」を克服

神戸ゴルフ倶楽部の18ホールは、パー4が7ホール、パー3が11ホールのパー61で構成されている。パー4は最長で396ヤードあり、パー3も平均約182ヤード(バックティー)としっかりとした距離がある。

重機のない時代に人力で造られたコースゆえにグリーンは非常に小さく、ひとたびグリーンを外せば「天国と地獄ほどの違いがある」と桑原が語るほど、凶暴なラフが生い茂る。

「パーの数こそ少ないですが、普段プレーしたことがないほどの深いラフや独特の芝質があります。海外メジャーに行くと日本人選手がなかなかスコアを出せなかったりしますが、それに近いストイックなコンディションでした。実は前日が初めてのプレーだったのですが、熊笹からのショットなど慣れない環境に苦しみ、スコアは9オーバーだったんです」

友人たちと臨んだ2日連続のラウンド。前日の反省を完璧に修正した桑原は、2日目に“ほぼノーミス”という圧巻のプレーを展開する。7バーディ、1ボギー、1ダブルボギーの「57(4アンダー)」というビッグスコアを叩き出したのだ。

「パー61に対して4アンダーの『57』ですから、『プロなら出せるんじゃないの?』と思われるかもしれません。しかし、実際に神戸ゴルフ倶楽部をプレーしたことのある方なら、これがどれほど大変な記録か分かっていただけると思います」

エージシュートは「ゴルフがくれる最高のギフト」

そして桑原は、57歳にして達成したエージシュートを「ゴルフ自体が我々にプレゼントしてくれるもの」と表現する。

「初めてホールインワンを達成したり、初めて80を切ったり。ゴルフをしていると『一歩ステージが上がったな』という感覚を味わえるものですが、エージシュートは年齢とともに体力や飛距離が衰えてくるゴルファーに対する、すごく大きなギフトだと思うんです。60代、70代になって、ゴルフのすべてをやり尽くしてきたような人でも、また『人生で初めて』の感動を味わうことができる。それだけの魅力があります」

エージシュートの達成には、長年培った技術だけでなく、健康な体、年齢を重ねてもゴルフを続けられる環境や素晴らしい仲間など、いくつもの条件が揃うことが必要とされる。それだけに、多くのゴルファーにとって永遠の憧れであり目標なのだ。

桑原は自身が味わったこの感動を多くの人に体験してもらいたいと、さっそく仲間のプロたちに声をかけ、同倶楽部での「エージシュート・チャレンジ」を企画しているという。

奇しくも2026年は、創設者アーサー・ヘスケス・グルーム氏が日本のゴルフ界への多大な貢献をたたえられ、「日本ゴルフ殿堂」入りを果たした記念すべき年でもある。あらゆる運命の糸に導かれるようにして生まれた、桑原克典のドラマチックなエージシュートだった。


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