国内女子ツアー「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で記録尽くしの今季初優勝(ツアー通算3勝目)を飾った安田祐香。3日間抜群にキレていたショットとパットについて、プロゴルファーの中村修が解説する。

アニカ越えを達成した二つの秘訣

スウェーデン出身でLPGAツアー通算72勝を誇るアニカ・ソレンスタム選手が保持していた36ホール最少ストローク(通算18アンダー)を「通算19アンダー」で塗り替えると、最終日の前半に訪れた試練を耐え抜き、8番ホールからの4連続バーディで後続を突き放しました。

終わってみれば、3日間競技の最多バーディ数(旧記録:アニカ・ソレンスタム 24個/安田:26個)と、同大会のトーナメントレコード(旧記録:原江里菜 通算21アンダー/安田:通算23アンダー)の双方を更新する記録尽くしの勝利となりました。前週の「北海道meijiカップ」(3位)での惜敗から学び、取り組んだことは何だったのでしょうか。大西翔太コーチに話を聞きました。

「取り組んだことは2つです。ドライバーが右に抜けていたので、拳2個分左に振り抜くこと。もう1つはアイアンで距離感を合わせる練習を徹底して行いました。安田選手はトップの形やスウィングに意識が向きがちなので、ドライバーでは振り抜く方向、アイアンでは距離感に集中するなど、やるべきことを明確にしました」(大西コーチ)

スウィングの形は人それぞれです。ラウンド中はスウィングの動きに意識を向けることよりも、ボールを狙ったターゲットへ運ぶことが大切になります。そして「標高が高く、いつもより半番手は飛ぶ」という軽井沢ならではの環境下では、「距離感を合わせる」というアジャストも欠かせません。

また、私が注目したのは「パッティング」です。素振りは左手を下に握るクロスハンドで行いますが、打つときは順手に持ち替えています。その理由を大西コーチに聞くと、「インパクト前後で左手首が折れないようにするため」と教えてくれました。

画像: クロスハンドで素振りをし、順手で打つ

クロスハンドで素振りをし、順手で打つ

ストローク中に左手首が手のひら側や甲側に折れてしまうと、プレッシャーがかかる場面ほどフェース向きやスピードコントロールが不安定になりがちです。ルーティンにクロスハンドの素振りを取り入れることで、繊細な手の動きに頼らず大きな筋肉を使えるようになり、安定したストロークを実現していたのです。

軸ブレなし! 体幹でボールを押し込むシンプル・スウィング

安田選手のスウィングをひと言で表すと、余計な動きが入らないシンプルなスウィングです。アドレスでは左腕が下、右腕が上にある形を作り、そのままテークバックを始動していきます。そうすることで、体の正面に手元をキープできています。

画像: 左腕が下、右腕を上に構えたアドレスの通りに上げていく

左腕が下、右腕を上に構えたアドレスの通りに上げていく

トップからの切り返しでは、肩のラインを開かずに手元を下ろしてから回転が入っていることが見て取れます。腕やクラブが振り遅れることなく、胸の正面を保ったままダウンスウィングへ向かっています。

画像: 手元を下ろしてから回転を入れる

手元を下ろしてから回転を入れる

体の線は細めですが、軸にブレがなく、インパクトではボールをしっかり押し込む体幹の強さも感じられます。上半身と下半身をバランスよく使うスウィングで、体への負担が少ない優れたフォームと言えます。

画像: 上半身と下半身をバランスよく使っており、体への負担が少ないスウィング

上半身と下半身をバランスよく使っており、体への負担が少ないスウィング

安田選手をはじめ、青木瀬令奈選手や中村心選手ら多くの実力派を指導する大西コーチ。選手個々の課題を明確にし、勝利へ導く「チーム大西」の今後の活躍にも大いに期待が高まります。

写真/大澤進二


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