スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化できる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎氏に、LPGAツアー「スタンダード ポートランドクラシック」で、ツアー通算10勝目を挙げたジーノ・ティティクルのスウィングを解説してもらった。

こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回はLPGAツアー「スタンダード ポートランドクラシック」で、ツアー通算10勝目を挙げたジーノ・ティティクル(以下ティティクル)の正面からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。

画像: 2025年ホンダLPGAタイランド 最終日にて撮影(撮影/姉崎正)

2025年ホンダLPGAタイランド 最終日にて撮影(撮影/姉崎正)

以前にティティクルのスウィングを分析させていただいた時は後方からのスウィング解析でしたが、今回は正面からのスウィング解析になります。

ティティクルのスウィングの特徴である以下に焦点を当てます。

「トップにかけて胸と同じく頭も右を向く」

そして、この動きがどのように「リバースピボット」のエラーを防いでいるのか、その違いも交えながら解説させていただきます。

トップにかけて胸と同じく頭も右を向く

まずはアドレスとトップを比較してみましょう。ティティクルのスウィングの特徴の1つに「トップにかけて胸と同じく頭も右を向く」点があります。「Head Sway」(以下・頭の位置)は頭がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか? の距離を表します(マイナスは右、プラスは左)。

ティティクルのトップでの頭の位置はマイナス6.7cmとなっており、サンバイザーの向きを見てもアドレス時より明らかに右を向いていることが分かります。

スポーツボックスAIが独自で調査した、トップでの頭の位置のLPGAツアーレンジは、マイナス1.0cm~マイナス6.1cmですので、ティティクルはLPGAツアー選手の中でも頭が右を向くタイプであることがわかります。

画像: 画像①アドレスとトップの比較/ほとんど動かない骨盤に比べて、頭はかなり右を向いている

画像①アドレスとトップの比較/ほとんど動かない骨盤に比べて、頭はかなり右を向いている

頭と胸が右に向く一方で、骨盤の位置は安定しています。「Pelvis Sway」(以下・骨盤の位置)は、骨盤がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか? の距離を表します(マイナスは右、プラスは左)。

ティティクルのトップでの骨盤の位置はマイナス1.1cmで、頭と比較すると骨盤の位置はアドレスに近い位置を保っています。骨盤まで右に動いてしまうと「スウェイ」となるので再現性が低下しますが、ティティクルの骨盤の位置は安定しています。

頭を右に向ける利点は、バックスウィングの胸の回転が入りやすくなることと「リバースピボット」のエラーを防げる点にあります。

頭の残し過ぎは、リバースピボットにつながりやすい

次は、「リバースピボット」のアマチュアとティティクルのトップを3Dアバターで比較してみましょう。
※「リバースピボット」とは、左足に重心が残り、胸が過度に反ってしまうスウィングエラーのこと

頭の位置を比較すると、アマチュアのマイナス2.8cmに対してティティクルはマイナス6.7cmと、ティティクルのほうが頭が右へ動いて(向いて)いますが、それ以上に胸の反り方に大きな違いがあります。

「Chest Bend」(以下・胸の屈曲)は、胸が真っすぐの状態に対して前後にどれだけ曲がったか? の屈曲角度を表します(マイナスは胸が後ろに反っている状態、プラスは前にかがんでいる状態)。

この胸の屈曲のデータを比較しますと、アマチュアはマイナス18度と大きく後ろに反っているのに対して、ティティクルはプラス5度と胸がわずかに前にかがんでいます。

画像: 画像②トップでの3Dアバター比較/左のアマチュアは頭が動いていない反面、胸は後ろに反っているリバースピボットになっている

画像②トップでの3Dアバター比較/左のアマチュアは頭が動いていない反面、胸は後ろに反っているリバースピボットになっている

スポーツボックスAIでは、トップの時点でマイナス10度以上の胸の反りは「リバースピボット」であり、腰痛につながるリスクがあると分析しています。それでは、この「リバースピボット」を減らすにはどうすれば良いか? ここで有効なのが、ティティクルのように「頭を右に向ける」ことです。

ここで「胸の屈曲」について、もう少し詳しく解説します。画像③の左は胸が反っている状態で、右の画像は胸が前にかがんでいる状態になります。胸が反っている状態の時は頭がターゲット側に傾いて、胸がかがんでいる時は頭がターゲットと逆に動いています。

画像: 画像③胸の屈曲の解説/胸の屈曲が変わると、頭の位置にも変化がある

画像③胸の屈曲の解説/胸の屈曲が変わると、頭の位置にも変化がある

3Dアバターのアマチュアのように、頭の位置があまり変わらない反面、頭が骨盤の中心より左足寄りにある状態ではリバースピボットになりやすいですが、ティティクルのように頭が右を向き、頭が骨盤の中心より右足寄りにある状態では、リバースピボットは起きにくくなります。リバースピボットにお悩みの方は、ティティクルのようにトップで頭や胸を右に向けてみて下さい。

今回はジーノ・ティティクルの正面からのドライバースウィングを解説させていただきました。優勝したティティクルを筆頭に、トップ5のうち4人がタイ勢とタイの選手が気を吐いた今大会でした。日本勢はもちろんですが、タイ勢の台頭にも注目ですね!


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