国内女子ツアー「ニトリレディス」で今季2勝目(通算6勝目)を飾った佐久間朱莉。初開催の難コース・釧路CC鶴居東C(北海道)を制したスウィングと復調の舞台裏を、プロゴルファー・中村修が解説する。

脳への刺激を抑える練習法とパター変更で掴んだ復調のキッカケ

佐久間選手は昨シーズンの年間女王として開幕戦を制し、春先はメルセデス・ランキング1位を快走していました。しかし海外メジャーへのスポット参戦などを重ねるうちに調子を崩し、ここ2~3カ月は苦しい時間を過ごしていました。優勝会見では「上田桃子選手、有村智恵選手といった先輩方からのエールを受けて元気を取り戻した」と話していましたが、ツアーの現場ではどんな取り組みをしていたのでしょうか。帯同する藤山和也トレーナーに話を聞きました。

「この2〜3カ月は海外メジャーなどもあり、ハードなコンディションでの戦いが続きました。スイングにさまざまなエラーが生じていたのですが、パッティングへのアプローチ方法を『NEC軽井沢72』からガラリと変えることにしたんです。具体的には、脳が身体の動きや筋肉へ指令を送るプロセス(運動学習におけるフィードフォワード機構)を見直すことがテーマでした。この取り組みが実を結び、今週のパッティングの冴えにつながってくれたのだと思います」(藤山トレーナー)

その言葉通り、「北海道meijiカップ」で予選落ちを喫した後の直近2試合では、7位タイ、13位タイと着実に復調の兆しを見せ、今大会で見事優勝へとたどり着きました。

藤山トレーナーによると、運動学習におけるフィードフォワード機構の改善にあたっては、特に「ストローク中にフェース向きや体の動きを余計に意識しないこと」を追求したと言います。佐久間選手はパターのシャフトにコインをぶら下げる『コインドリル』に取り組み、テークバックからの切り返しでぶら下がったコインを置き去りにするようにストロークする練習を敢行。これにより、脳に過剰な刺激を入れず、シンプルなテンポだけに集中できるようになりました。

さらに、パター自体もこれまで使用していたミッドマレット型の「DS72」から、ジュニア時代のエースモデルに近い「スコッツデール B63」へと変更していました。脳へのアプローチ(ストロークの意識改革)とギアの変更が見事にかみ合ったことが、最終日の前半に5バーディを奪って一気に首位へ躍り出た最大の要因と言えるでしょう。

難コースを攻略したアップライトなスウィングと右手首のキープ

初開催となった釧路CC鶴居東Cは左ドッグレッグのホールが多く、フェードヒッターの佐久間選手はボールを右ラフへ外す場面も見られました。しかし、彼女はフェードヒッターならではの鋭い入射角でボールを捉え、ラフからでもしっかりとグリーンへ運んでいたのが印象的でした。

画像: テークバックでクラブを立てて上げるのは、スウィングプレーンをアップライトにする意思の表れ

テークバックでクラブを立てて上げるのは、スウィングプレーンをアップライトにする意思の表れ

小柄な佐久間選手が飛距離の出るフェードボールを操るためには、トップを高く取り、スウィングプレーンをアップライトにする必要があります。その意思が、テークバックでクラブをシャープに立てて上げていく動作にハッキリと表れています。

画像: 縦に下ろしながら右手首の角度をキープして振り抜く

縦に下ろしながら右手首の角度をキープして振り抜く

アイアンショットの距離感と方向性を両立させるため、ダウンスウィングでは縦にクラブを下ろしつつ、右手首のタメ(角度)をキープしたまま振り抜いています。これによりフェース面を長くスクエアに保ち、距離に応じたヘッドスピードをコントロールしているのです。このインパクトでは、左手首が甲側に少し折れたままフィニッシュの形に収まるのが特徴です。

周囲からの温かいサポートと科学的なアプローチが佐久間選手を復調へと導き、掴み取った今季2勝目。年間女王争いへ向けて再び弾みをつけた彼女のプレーから、メジャー大会が続く秋の陣も目が離せません。

撮影/大澤進二


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