リアルとバーチャルが融合する「特設アリーナ」でのチーム戦
WTGLは、5チーム(各5名)によるマッチプレー形式の団体戦。全試合がフロリダ州パームビーチガーデンズに特設された「SoFiセンター」で行われる。
このアリーナには、巨大なシミュレーター(スクリーンゾーン)と、油圧式でホールごとに傾斜や向きが自在に変化する「トランスフォーミンググリーン(人工芝ゾーン)」が設置されており、バーチャルとリアルのゴルフを融合させた新感覚のプレーが展開される。
1200〜1500席のコンパクトな観客席では大音量の音楽が流れ、ファンが自由に声援やブーイングを送る「スタジアムスポーツ」のような熱狂的な雰囲気が包み込む。全選手がマイクを着用するため、キャディがいない中で選手同士がラインを読み合い、サポートし合う生々しい会話がすべて観客に届けられるのも大きな魅力だ。
試合は1試合につき各チーム3名が出場し、約2時間で15ホールを消化するスピーディーな設計となっている。
独特な試合方式と「ハンマー」ルール、そして過酷なプレッシャー
各試合は2つのセッションに分けて行われる。
● トリプルス(最初の9ホール):各チーム3名によるオルタネートショット(交代打ち)形式。
● シングルス(後半の6ホール):1対1のマッチプレー形式。各選手が2ホールずつプレーする。
スコアは、ストローク数の少ないチームがそのホールを勝利し「1ポイント」を獲得。同点(タイ)の場合はポイントの持ち越しはなく、両チーム0ポイントとなる。15ホールを終えて合計ポイントが多いチームの勝利となる(同点の場合は、15番ホールのグリーン位置をそのまま使用し、25〜50ヤードからのアプローチ対決で決着をつける)。
さらに、戦略を左右するのが独自の「ハンマー」ルールだ。各チームは試合開始時に「3つのハンマー」を所持しており、これを使用するとそのホールの勝利ポイントが「+1」される(1ホールにつき各チーム1回のみ使用可能)。
一見エンタメ要素が強く見えるが、競技としては極めてシビアだ。「40秒のショットクロック」制限では、男子TGLの試合でタイガー・ウッズが時間超過によりリーグ初の「1打ペナルティ」を受けるハプニングも起きた。また、タイガーが「打っては交代で待つ間に体が冷えてしまう」と語り、マックス・ホーマが「一打ごとにデータが可視化され脳が消耗する」と吐露したように、独特の進行リズムと精神的プレッシャーはWTGLの女子選手たちにとっても大きな壁となるだろう。
超大物オーナー陣の参入と、世界最高峰のチーム構成

いつも一緒にいる岩井ツインズだが、今回はチームが分かれる
WTGLの背景には、世界的なプロスポーツ界を動かす大物オーナーたちの存在がある。ボストンコモンゴルフにはリバプールFCやレッドソックスを保有する「フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)」が就き、ロサンゼルスゴルフクラブ(LA)にはテニス界のレジェンドであるセリーナ&ビーナス・ウィリアムズ姉妹が出資。ニューヨークゴルフクラブはMLBメッツのオーナーであるスティーブ・コーエン氏が所有するなど、商業的にも破格のスケールを誇る。
参加する全25名の陣容も発表され、リディア・コー、ブルック・ヘンダーソン、レキシー・トンプソンらメジャー覇者や世界ランク上位者が集結した。
日本から参戦する3選手の実力と所属チームは以下の通りだ。
● 笹生優花(アトランタドライブGC):全米女子オープン2勝を誇るメジャー覇者。世界7位のチャーリー・ハルや13位のミンジー・リーらと最強の布陣を敷く。
● 岩井千怜(ボストンコモンゴルフ / 世界ランク35位):JLPGA通算8勝。メジャー覇者セリーヌ・ブティエら実力者と共闘する。
● 岩井明愛(ロサンゼルスゴルフクラブ / 世界ランク23位):JLPGA通算6勝。LPGAレジェンドのミッシェル・ウィ・ウェストも参画するLAでプレーする。
岩井姉妹は別チームに所属することになり、注目の姉妹対決が期待される。明愛が「妹の千怜と対戦する日が待ちきれません。絶対に勝ちたいです」と語れば、千怜も「普段はお互いに支え合っていますが、別チームになるのでもちろん勝ちたいです」と闘志を燃やす。
また、笹生は「ローリー・マキロイのファンだったので、彼が創設に尽力した環境でプレーできるのを楽しみにしている」と期待を口にしている。
これまでのゴルフの常識を覆すエンターテインメント性と競技性を併せ持つ「WTGL」。超大物資本と世界最高峰の選手たちが織りなす熱狂のマッチプレーから、目が離せない。

