
ハスクバーナ・ブリティッシュマスターズを制したジョー・ディーン
イングランドのシェフィールドで94年に生まれたディーンは、アマチュア時代イングリッシュアマ(全英アマとは別)で優勝するなど地元では有望視される選手だった。
しかし10年前22歳でプロ転向してからは鳴かず飛ばず。下部ツアーのさらに下のミニツアーを転戦しているうちにコロナ禍がやってくる。ゴルフの収入はほとんどない。そこで競技を続ける資金を稼ぐため彼は4年間スーパーマーケットの食料品を配達する仕事を始めた。
「あの仕事は楽しかったですよ。良い友人にも出会えましたし、地に足をつけた生活を送ることができました。コーチから『ゴルフの結果で自分を定義するな』とよくいわれていましたが、成績が悪くても人間性が劣るわけではない、というのを実感しました」
23年末のQスクール(最終予選)で念願のDPワールドツアーの出場権を獲得した。だが24年のはじめまで彼は宅配トラックのハンドルを握り続けた。
「あの生活から抜け出すのは難しかった」と振り返るが、いま思えば「ゴルフを仕事にできるのは本当に素晴らしいこと」に気づかされた。
24年の2月、ケニアオープンで2位に入ったあと配送業を引退した。6月のKLMオープンでも2位に入りポイントランク37位でシードを確定させた。25年は73位と振るわなかったが、今年は全英オープン直前に行われたラストチャンス予選会で貴重なメジャー大会の出場権を獲得した。
勝利の女神となったのはキャディを務めてくれた婚約者エミリーさん。彼女も全国レベルではないものの地域レベルの優秀なゴルファーでプレーヤーの心理をよくわかっている。
「ヤーデージは自分で計測するしラインも自分で読みます。でも彼女が隣にいてくれて、たわいのない会話を交わしてくれることで落ち着いてプレーすることができました」
本戦(全英オープン)では予選落ちに終わったがその週2人は婚姻届を提出した。
5週間後、ブリティッシュマスターズでもエミリーさんがバッグを担ぎ最終日9バーディ、ノーボギーの完璧なゴルフをアシスト。2位グループに3打差をつける圧勝だった。
地元のヒーロー、憧れのファルドからトロフィーを受け取ると「これまでの苦しい時間や努力がついに報われました。本当にうれしい」と言葉を詰まらせたディーン。
優勝賞金は人生最大の51万ユーロ(約9500万円)。トラック運転手時代の時給3千円から2年ちょっとで4日間で1億円近い額を稼ぐようになるとは本人も思ってもいなかった。
写真/Getty Images
【動画】ハスクバーナ・ブリティッシュマスターズ最終日のハイライトをチェック【DPワールドツアー公式YouTube】
Round 4 Highlights | 2026 Husqvarna British Masters
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