
ゴルフ5レディスでツアー初優勝を飾った福田萌維(撮影/岡沢裕行)
木戸愛との3ホールのプレーオフを制す

優勝を決め、木戸愛とハグする福田(撮影/岡沢裕行)
「あぁー、入った~」
プレーオフ3ホール目、ピン手前5メートルからのバーディパットがカップへと消えた瞬間、福田の心に浮かんだのはそんな驚きと安堵だった。「めぐみ(木戸愛)さんも強い選手なので、早く終わりたいという気持ちがありました。バーディで追われたらいいな、でも欲を出さずに目の前の一打に集中してプレーしていました」と、劇的な死闘を振り返る。
自身初の最終日最終組。2位と2打差、11アンダーの単独首位でスタートした福田は、前半から快進撃を見せた。2番、3番で連続バーディを奪うと、5番から怒濤の3連続バーディ。「前半はチャンスを逃さずというゴルフができていて、いつもは前半苦しむゴルフだけど、前半からいい出だしで頭のなかでも余裕がありました」とハーフ「31」をマークし、大混戦をリードした。10番でもバーディを奪い、16番を終えて2位の木戸を2打リードしていた。
しかし、終盤にトラブルが待っていた。17番パー4の2打目、つま先下がりの深いラフから放ったショットは左にひっかかり、レッドペナルティエリアへ。
「残り3ホールはやらかしてしまうかもという恐れはありました。17番のセカンドショットでそれが来てしまって」というピンチで、1罰打。それでも「いままでにミスは経験していたので、17番のミスはいい意味のミスで、焦りもありませんでした」と、4打目でグリーンに乗せ、2パットのダブルボギーで耐えた。この日、前半に「30」をマークして猛追していた木戸と15アンダーで並び、勝負はプレーオフへともつれ込む。
プレーオフ1、2ホール目は両者パー。そしてピン位置を右サイドから中央に変え、ティーイングエリアを30ヤードほど前に出した3ホール目、木戸がショットを乱すなか、福田は「リズムだけを意識」してドライバーを振り抜きフェアウェイセンターへ。2打目をピン手前5メートルに乗せ、悲願のウィニングパットをねじ込んだ。
野球と陸上でスウィングの基礎ができた

野球のバッティングがスウィングスピードにつながっているという福田(撮影/岡沢裕行)
2006年生まれ、和歌山県出身の20歳。和歌山県出身のプロが女子ツアーを制するのは初めての快挙だ。「小林浩美会長から和歌山県初と言われて、ああ、そうだったと思い出しました。和歌山はジュニア人口がまだ少ないけど、私の優勝がきっかけでゴルフを始めてくれる子どもたちが増えてくれたらうれしいです」と、地元への想いを口にする。
その身体能力のベースにあるのは、異色のスポーツ経歴だ。兄の影響で小学6年まで軟式野球のチームに所属。「ゴルフは止まっているボールなので最初は難しかったです。でも飛距離だったりスウィングのスピードはバッティングから来ていると思います」と笑う。中学では陸上部に入り、110メートルハードルで汗を流した。「コロナ禍になって野球はできないので陸上部に入って体を強くしました」といい、これが現在の体幹を形作った。
中1の終わりにプロを志し、高校は和歌山から宮崎の日章学園へ進学。「週5でハーフ、毎日違うコースでラウンドできる」という最高の環境で腕を磨いた。そこには、お母さんのように見守ってくれた顧問の先生や、高校の1年先輩で先にプロの道へ進んだ菅楓華や荒木優奈(荒木はプロテスト同期)といった偉大な手本がいた。「優奈さんも一年目で優勝、近くにいい手本のふたりがいました」と背中を追い、プロ2年目の今年、ついに先輩たちと同じ頂点へとたどり着いた。
将来は海外ツアーへの挑戦も視野に入れている。「緊張感のある組だったり、もっと失敗して、優勝したときにいいミスや経験を語りたい。海外に興味があり、来週(日本女子プロ)は(海外)メジャー優勝の選手がたくさん出場するので、いい選手と一緒に回って強くなりたいです」と先を見据える。不運やミスを全て成長の糧に変える20歳の新星が、女子ゴルフ界に新たな風を吹き込む。
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