混戦を抜け出し、劇的なプレーオフへ
一昨年以来の開催となった岐阜県の「ゴルフ5カントリーみずなみコース」は、ドッグレッグや適度なアップダウンを備えたタフなコースですが、降雨の影響でグリーンが柔らかくなり、最終日もスコアを伸ばし合う激しい展開となりました。前半から大きく伸ばした上位陣の中で、混戦を鮮やかに抜け出したのが福田萌維選手でした。しかし、初優勝の壁を越えるのは決して容易ではありませんでした。
後半に入り、チャンスを作りながらも決め切れずにホールを消化していくと、2打リードで迎えた最難関の17番(414ヤード・パー4)で試練が訪れます。2打目をグリーン左のレッドペナルティエリアに入れてダブルボギーを叩き、木戸愛選手とのプレーオフへと突入したのです。
プレーオフは、打ち下ろしで右ドッグレッグの18番(371ヤード・パー4)にて行われました。両者ともにティーショットで苦しみ、ラフからの2打目を余儀なくされる厳しい展開。しかし、3ホール目でしっかりとフェアウェイを捉え、見事なバーディを奪った福田選手が、劇的な形でツアー初優勝を手にしました。
名キャディも認める「芯の強さ」と修正力
優勝会見で福田選手は、コンビを組んだ古賀雄二キャディについて「優勝争いの中でもまったく動じていなくていつも通り。気持ちの面でもすごく落ち着かせてくれるキャディさんです」と語り、絶大な信頼を寄せていました。
テレサ・ルー選手、渋野日向子選手、吉田優利選手、小祝さくら選手などの優勝をサポートしてきた古賀キャディは、福田選手について「礼儀正しいですし、まだ若いのにすごくしっかりしています。自分の考え、芯をきちんと持っていますね」と評します。
勝負のポイントとなった17番の2打目や、18番で左に曲げたショットについて尋ねると、「前週もクラブが下から入りすぎて、ラフから上手く打てていなかったようです。『ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会』もラフが深いはずなので、そこを修正しながら練習ラウンドから取り組んでいました」と明かしてくれました。
古賀キャディのSNSに練習日の様子が掲載されていたので、ご本人の解説とともに紹介します。
「アプローチはとても上手くクラブを立てて入れてきますが、ラフからのショットやドライバーで下から入るクセがありました。そこでスティックを持って当たらないように振ることで、下から入り過ぎないように取り組んでいました」(古賀)
カバーを被せたアライメントスティックを、ダウンスウィングでヘッドが正しい軌道より下がるとスティックに当たる位置で古賀キャディが保持します。試打画像ではスティックに当たってしまう場面もありましたが、国内メジャーを見据えてこのドリルをコースで実践し、悪いクセを改善したことこそが、初優勝へ漕ぎ着けた大きな要因だったのです。

ヘッド軌道を修正するドリル(古賀雄二キャディのInstagramから引用)
ドローヒッター特有のミスを防ぐスウィング構造
福田選手のスウィングを見てみると、オーソドックスなスクエアグリップで握り、スッと立ったバランスの良いアドレスを形作っています。テークバックの始動で手元をややインサイドに引きながら、頭よりも低いトップを作ります。手元の位置が低く奥行きのあるトップの形は、力強いドローヒッターによく見られる特徴です。

ややインサイドに上げながら奥行きのあるトップを作る
切り返しからは、低い手元の位置からインサイド寄りに入射角の浅いヘッド軌道でインパクトへ向かいます。ここでボールに対してアッパー軌道の度合いが強くなり、いわゆる「下から入る」状態になると、インサイドアウト軌道が強まりフェースが閉じて当たりやすくなるため、左へのミスの原因となってしまいます。

インサイドから手元を低く下ろすドローヒッター
そこでアライメントスティックを用いたドリルを行うことで、極端なインサイドアウト軌道や過度なアッパー軌道を未然に防ぎ、ドローの曲がり幅をシャープにコントロールすることに成功しています。
巧みなパッティング技術とブレない芯の強さから、「シーズンを通して上位で戦える選手」と古賀キャディも太鼓判を押す福田萌維選手。残るシーズンでのさらなる活躍が非常に楽しみです。
写真/姉崎正
