今週開催されるDPワールドツアー「アムジェン アイルランドオープン」は、異例の緊張感と熱気に包まれている。開催地である「ドンベッグ(トランプ・インターナショナル・ゴルフリンクス)」に、現職の米大統領が訪れる予定となっているからだ。スポーツと政治が交錯するこの象徴的な舞台(コース名でわかるようにドナルド・トランプ米大統領の所有コース)が選ばれ、大統領来場という世界的ニュースの舞台となった背景には、ローリー・マキロイの知られざる「一言」があった。

「実は近所のパパ友」──開催地決定の舞台裏

PGAツアーとDPワールドツアー(欧州ツアー)を股にかけるトップスター、ローリー・マキロイ。彼は2016年、そして昨年(2025年)の最終18番ホールで奇跡的なイーグルを奪って劇的な逆転劇を演じた本大会のディフェンディングチャンピオンでもある。ドナルド・トランプ米大統領とは過去にもラウンドを重ね、サウジアラビア(PIF)への強い影響力を踏まえて「PGAツアーとLIVゴルフの和平の橋渡し役になり得る」と語っていた深い縁もある。

そんなマキロイに記者が「ドンベッグ開催に一枚噛んでいるというのは本当か?」と問うと、あっさりとその事実を認めた。

「エリック(トランプ大統領の次男)と私は家がとても近くてね。子供たちが同じ学校に通っているから、学校の行事で時々顔を合わせる関係なんだ」

マキロイはトランプ・ファミリーと「近所のパパ友」であったことを明かした。そして、その個人的な繋がりが、今回のトーナメント誘致へと繋がっていく。

「DPワールドツアーから『ドンベッグはアイルランドオープンに適していると思うか?』と相談を受けたんだ。私は『自分はそこでプレーしたことはないが、素晴らしいコースで宿泊施設も整っていると聞いている。それに、この地域(アイルランド西海岸)では2019年のラヒンチ以来、久しく大会が開催されていない。だから絶対に良いことだと思う』と伝えたよ」

【動画】マキロイが「見事な『モダン・リンクス』」と称賛する「ドンベッグ」【DPワールドツアー公式X】

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マキロイのこの強力な後押しが、ドンベッグでの開催を決定づける大きな要因となった。

トランプ大統領来場への思いと厳戒態勢

画像: ニューヨーク州にあるベスページで開催された25年ライダーカップにも足を運んだドナルド・トランプ米大統領(写真/PGAオブ・アメリカ)

ニューヨーク州にあるベスページで開催された25年ライダーカップにも足を運んだドナルド・トランプ米大統領(写真/PGAオブ・アメリカ)

しかし、現職の米大統領がトーナメント会場を訪れるとなれば、単なるゴルフイベントでは済まされない。エリアの封鎖やシークレットサービスによる厳重な警備など、ロジスティクス上の大きな課題が発生する。週末のプレー中に大統領が到着すれば、試合が一時中断される可能性すらあるという。

それでも、マキロイは動じることなく、この前代未聞の状況を前向きに捉えている。

「現職の米大統領がどこかを訪問するとなれば、安全確保のためのプロトコル(手順)が必要になるのは当然だ。少しプレーの妨げになるか? もちろんそうだろう。でも、決められたルールに従い、プレー再開の時が来たら、また自分のゴルフに集中するだけだよ」

さらに彼は、大統領の来場が大会にもたらすプラスの側面を強調した。

「大統領が少しでもゴルフを見に来てくれるのは、私たち全員にとって喜ばしいことであり、光栄なことだ。大統領の存在によってアイルランドオープンは真の国際的イベントとなり、より多くの注目と視線が集まる。それは、大会にとって間違いなくプラスになるはずだ」

地元レジェンド・ハリントンが語る「コースの進化と地域経済効果」

現職米大統領の来場やトランプ氏の所有コースでの開催には政治的な議論がつきまとうが、地元アイルランドの英雄パドレイグ・ハリントンは、ゴルフと地域社会の観点からこの開催を高く評価している。

2002年の開設当時、設計者のグレッグ・ノーマンと開場記念マッチを戦ったハリントンは、コースの変遷についてこう振り返る。

「当初は荒削りでクレイジーなリンクスだったが、トランプ氏が所有して以降、見事なトーナメントコースへと進化・洗練された」

さらに、政治的な喧騒を超えた地域へのインパクトについて、「政治的には複雑な面もあるが、ゴルフと地元コミュニティの観点から見れば、トランプ氏はコースや地域経済、雇用に素晴らしい貢献をしている。世界中の注目がこの地に集まることは、言うまでもない好事だ」と語り、地元レジェンドとして明確な支持を表明した。

ナショナルオープンへの情熱とゴルフ界の未来

スター選手の何気ない「パパ友」としての繋がりが、現職大統領来場という世界的なニュースを生み出した。

厳戒態勢の中で行われるアイルランドオープンだが、マキロイはオーガスタナショナルGCのフレッド・リドリー会長に対して「アイルランドオープンをはじめとする歴史あるナショナルオープンの覇者には、マスターズの出場権が与えられるべきだ」と直接交渉を行っていることを明かしている。

単なる一選手の願望ではなく、母国のファンや家族の前で勝ち取ったアイルランドオープンへの愛着、そしてゴルフ界の未来を見据えて最高権威へと働きかける彼の言葉には、圧倒的な政治力と発言の重みが宿っている。

大歓声と大注目、そして上空を舞うであろう大統領専用ヘリの轟音の中で、ディフェンディングチャンピオン・マキロイがどのようなプレーを見せるのか。今週末のドンベッグから目が離せない。


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