普通に打つと「左ひっかけ」、警戒すると「右プッシュ」
GD 今日の作業はユーティリティ(以下、UT)の「リシャフト」ですね。フェアウェイウッド(以下、FW)と同様に、なかなか「これだ」というシャフトに出合えない難題アイテムです。
今井 シャフトメーカーからUT専用のカスタムシャフトも販売されていますが、ドライバーほど種類が豊富ではありません。限られた選択肢の中から最適なスペックを見つけ出し、さらに手を加えるチューニング作業が必要になります。
GD 今日使用するのはグラファイトデザインの「ツアーAD U65(S)」ですか。
今井 このシャフトは球が上がりやすく、つかまりやすい比較的やさしい人気のモデルです。
GD リシャフト前も同じツアーADの「55(S)」でしたから、単なる重量アップですか?
今井 もう少し目的は複雑です。一番の課題は「28度(6UT)のひっかけを抑えたい」というご相談でした。
GD ロフトの大きいUTは、どうしても左にひっかけやすくなります。
今井 今回のご依頼者も普通に打つとひっかけてしまうため、スウィングで調整しながら打っていたそうです。しかし、ひっかけを警戒しすぎると今度は右に逃げてしまい、非常に扱いづらいクラブになっていました。
GD それをリシャフトで解決できるのでしょうか?
今井 左へのミスを防ぐ策として、「シャフトを重くする」「シャフトを右下から挿してライ角をフラットにする」「先端をチップカットしてシャフトの動き(遊び)を抑える」という3つのアプローチがあります。今回はこれらをすべて施します。
GD シャフトを右下から挿してライ角をフラットにすると、連動してフェースが開き、ロフトも立ちますよね?
今井 その通りです。28度のUTがひっかけやすいのはロフト角の多さが影響しているため、「ひっかかる」というより「つかまり過ぎている」状態だと思います。

シャフトをホーゼルの右下から挿すと、ライ角はフラット、フェースはオープン、ロフトは立ちます。ホーゼルの内径を少し広めて、効果がしっかり出るよう調整しました
GD ヘッドを替えるという選択肢もあると思うのですが、依頼者はこのUT(プロギア 16RS)に強い思い入れがあるようですね。
今井 色々なクラブを試してみたものの、最終的に「やっぱりこれが一番いい」と手放せないそうです。2016年モデルですが、フェースが被っておらずネック周りの作り込みも素晴らしいので、このヘッドで何とか解決したいということです。

通常はネックとシャフトを仮止めし固定しますが、今回は「右下挿し」の効果が出るようフリーで重力接着をしました
GD シャフトを重くする狙いはどこにあるのですか?
今井 スウィング軌道の安定です。軽いクラブは手打ちになりやすく、切り返しで手元が暴れがちですが、適度な重さを持たせることで手元の動きが落ち着きます。
GD 「振り切れる範囲で最も重いクラブが良い」と言われるのも、そうした理由ですね。では、チップカットの目的は?
今井 FWやUTは、番手ごとに0.5インチずつチップカットしてフローさせるのが基本です。本来、5UTよりも6UTは0.5インチ多く先端をカットしますが、リシャフト前の6UTは1インチカットされた状態でした。
GD ということは、5UTが0.5インチカット、4UTがノーカットというセッティングだったわけですね。
今井 そうですね。このクラブは「メーカーカスタム」で4UT・5UT・6UTの3本を同時に購入されたため、そのようなセッティングになっていたのだと思います。
GD それを今回は、6UTを1.5インチ、5UTを1インチチップカットすると。
今井 現在バッグに入れていない4UTも、戻す際に0.5インチカットすれば綺麗な重量、硬さの流れを作れます。
GD チップカットによる効果は大きいですか?
今井 十分あると思います。番手が下がるとヘッド重量も重くなりますが、今回のヘッドは実測値で5UTが245g、6UTが251gでした。
GD 5UTに対して6UTはプラス6g。今までより0.5インチ分多くチップカットすることで先端の余分な動きを抑えるわけですね。
今井 メーカー推奨のチップカット上限である1.5インチ以内に収めているので、シャフト本来の性能を損なわずに先端の暴れを抑えられます。もちろん理論上の計算なので実際の振り心地の確認は不可欠ですが、同じツアーADの「55(S)」から「65(S)」への変更と相まって、ご要望通りの「ひっかけないUT」に仕上がるはずです。
GD 組み上がったクラブの仕上がりはいかがですか?
今井 バランスは5UT・6UTともに「D-0」で揃えました。調整用に5UTへ1g、6UTへ2gのウェイトを加えましたが、4g以下の調整だったのでヘッドへの影響はありません。
リシャフト前のロフトの実測値は(5UT)26.5度、(6UT)29度でしたが、シャフトを右下から挿したことで(5UT)25.1度、(6UT)28.2度となり、ほぼ表示ロフト通りになりました。ライ角もフラットになり、フェース角もオープン4度になったので、左ひっかけの防御は施せたと思います。

「右下挿し」の結果、ロフトは1度立ち、フェースはオープン4度、ライ角もフラットになりました。「左ひっかけ」が抑えられるよう組みあげました
GD まさに完璧な仕上がりですね!
今井 市販の既製品ではここまで細かく調整することはまずありません。しかし、チューニングを施せば自分のスウィングや癖にぴったり合わせることができます。
「ツアークオリティのクラブ工房(ゴルファーズラウンジ by tantanto.)」では、お悩みに応じた最適なチューニングをご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

クラブの挙動を安定させる狙いで、リシャフト前よりもチップカット量を0.5インチ増やしました。最後にセルの出っ張りを整えて作業は終了です
ツアークオリティのクラブ工房からのお知らせ
東京・赤坂の「ツアークオリティのクラブ工房(ゴルファーズラウンジ by tantanto.)」では、ウェイト調整などの軽微な作業から他店で断られた特殊加工、本格的なリシャフトまで幅広く対応しています。「工房は敷居が高い…」と感じている方も、ぜひお気軽にお越しください!
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料金:6,000円〜(1本・税込)
※組み直し作業、長さ・ライ角・ロフト・バランスなどの各種調整込み。
※グリップ代別途(再利用可能な場合は無料対応)。選定シャフトにより料金が異なる場合があります。
【フィッティング料金】
料金:5,000円(40分・税込)
※キャンペーンご利用者限定の特別料金
※フィッティング後にシャフトを発注するため、作業は別日となります。
【工房へのアクセス・ご利用方法】
所在地:東京都港区赤坂2-13-18 コリンズ33 B1F(バーディ赤坂24内)
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