「ロングアイアンを狙ったところへ」──飛距離不足を補った精度の高さ
飛距離が出ないゴルファーが、距離の長いタフなコースでどう勝機を見出すのか。砂川の口から語られたのは、極めてシンプルかつ高度な「ショットの精度」だった。
「このコースは距離が長く、セカンドで長いクラブを持つことになります。ロングアイアンを狙ったところにしっかり打てないと厳しいなと思っていたのですが、今週は狙い通りに打てたので良かったです」
飛距離でハンデを抱えながらも、砂川のフェアウェイキープ率は89.286%(全体4位)、パーキープ率は94.444%で大会堂々の第1位を記録。安定したショットと平均パット1.6042(全体6位)というパッティングの冴えが、怪物コース攻略の最大の武器となった。ティーショットで置いていかれても、セカンドのロングアイアンでピンを刺す。その精度の高さこそが、パワー全盛の現代ゴルフに対する彼の鮮やかな解答だった。

ドライバーの正確性、ロングアイアンの精度でツアー初優勝を遂げた砂川公佑(写真は26年前澤杯)
さらに、サンデーバックナインでの激しい優勝争いにおいて、彼の心を救った決定的な一打がある。
「12番(パー4)で、右からの10メートル近いバーディパットが決まってくれて、そこで余裕が生まれました。そこがキーポイントだったと思います」
この価値ある一打には、同じく優勝を争い2位タイに入った大学(大阪学院大学)の先輩・大堀裕次郎も「公佑はすごい良いプレーをしていて、12番で長いパターを入れたりしていた。前週の時から状態が良かった」と感服するほど。先輩ライバルの追撃を断ち切る強烈な一撃となった。
「足がふわふわした」──極限状態のプレッシャーと成長
ロングアイアンの精度と10メートルのパットで首位に立った砂川だったが、初優勝への道のりは決して平坦ではなかった。勝利が目前に迫った終盤、目に見えないプレッシャーが彼を襲う。
「残り4ホールから緊張してきて、足がふわふわしてきました」
極限状態の中で彼が取った行動は、泥臭くも必死なものだった。
「気持ち悪いなと思って、地面を(バタバタと)踏んで、少しでも感覚が戻るようにしていました」
そして迎えた最終18番(パー5)。2打差のリードがあったものの、自分がボギーを叩き、相手がバーディを奪えば一瞬で追いつかれるシチュエーション。ここで逃げずにティーショットをしっかりと振り抜けたことに、彼は「一番の成長を感じた」と胸を張った。
急遽駆けつけた妻の前で掴んだ初優勝
「この18ホールで初優勝が決まるのかと思うと、ワクワクの半面、実際は緊張しました」と語った砂川。
実は前夜のLINEのやり取りを受け、奥様が急遽仕事を特別に休んで、朝会場へと駆けつけてくれていた。最愛の家族が見守る目の前で初優勝のテープを切れたことは、彼にとって何よりの喜びとなった。
次なる目標は、次週「ANAオープン」での2週連続優勝、そして高額賞金大会「ベイカレントクラシック」への出場だ。「今週の芝と北海道の芝は同じような環境なので、いい感触で挑めると思います」。
飛距離の壁を圧倒的な精度で打ち破り、極限のプレッシャーに打ち勝った26歳。彼の快進撃は、まだ始まったばかりだ。
写真/有原裕晶
