
先週、今季3勝目を挙げたばかりの桑木志帆が、国内公式戦に挑む(撮影/岡沢裕行)
| ホール(Y・Par) | 1(359・4) | 2(176・3) | 3(391・パー4) | 4(542・5) | 5(532・5) | 6(153・3) | 7(370・4) | 8(178・3) | 9(346・4) | 10(174・3) | 11(307・4) | 12(162・3) | 13(383・4) | 14(515・5) | 15(402・4) | 16(185・3) | 17(536・5) | 18(427・4) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 桑木志帆 | ー | 〇 | ー | ー | ー | 〇 | ー | △ | ー | ー | □ | ー | 〇 | 〇 | ー | ー | 〇 | ー |
| 河本結 | 〇 | 〇 | ー | 〇 | ー | ー | ー | 〇 | ー | ー | △ | ー | ー | ー | ー | ー | △ | ー |
| 吉田鈴 | △ | ー | 〇 | 〇 | ー | ー | ー | ー | ー | □ | 〇 | ー | ー | △ | ー | ー | 〇 | △ |
入念な準備と、ギャラリーをどよめかせるダイナミックなスウィング

パッティングは、この練習から始まった
スタートの約1時間前、朝のドライビングレンジ。ショットの一部だけを確認するような仕草は見受けられず、アイアンから上のクラブでは実戦と同じように毎打狙いを定めてアドレスに入る姿が印象的だった。約20分間でショット練習を終え、次は練習グリーンへ移動。そこでは、短い距離でグリーンに刺したティーの間を通す練習を11球。そして、アンジュレーションを確認しながら少し長めのパット後、ティーグラウンド付近にある練習グリーンへ。その後、他選手より一足早くティーグラウンドに向かった。

大勢のギャラリーに囲まれた桑木。写真を撮られることについては「いいショットをしようと思えるので、あまり気にならない」と語る(撮影/岡沢裕行)
大勢のギャラリーが集まるなか、注目の1番(359ヤード・パー4)のティーショットを放つと、ギャラリーからは「すごい飛ぶな」「やっぱり上手い」と歓声が上がった。4番(542ヤード・パー5)では、吉田・河本が2打目を終えてグリーンへ向かっていったが、彼女はグリーン上にいる前の組のプレーが終わるのを待っており、「2オンを狙うのか」という期待の声が。惜しくも2オンにはならず左のラフへ行ってしまったものの、「遠心力がすごい」「すごい体の伸びやな」とギャラリーを唸らせるダイナミックなスウィングを披露した。6番(153ヤード・パー3)では2個目のバーディを奪い、すがすがしい笑顔を見せた。
徹底した「メモ」の確認と、感覚を研ぎ澄ますルーティン

ギャラリーの歓声は「ナイスショット!」という言葉はもちろん、「“やっぱり”すごい」というような、自分の目で見て「強さ」を実感する、納得するような声が多く聞かれた(撮影/岡沢裕行)
ラウンド中、ひときわ印象的だったのが「メモ(ヤーデージブック)」と向き合う姿だ。特に6番や8番のパー3では、ティーショットを打つ前に小田亨キャディと確認を交わし、パット後には時間をかけて詳細なメモを書き込んでいた。前日、「コーチとデータを分析し、ミスの幅が狭くなった」と明かしていたが、この緻密な情報収集と分析こそが、好調を支える絶対的な自信に繋がっていることがわかる光景だった。

ヤーデージブックを確認し、メモする姿が多く見られた
グリーン上での独特なルーティンも目を引いた。真っすぐ前を見て両目を閉じ、両足の裏で傾斜を感じ取ると、片手でピンをなぞるようにラインを読む。ラインを跨いで読むルーティンは、長いパットの場合、ピン方向を向いて2回、反対を向いて2回と、丹念に傾斜を確かめていた。また、バーディを決めたときは小田キャディに笑顔を向けるが、チャンスのパットを外しボギーを叩いた8番では渋い表情でパターを渡すなど、あくまでありのまま、ナチュラルにプレーする姿が彼女の魅力に映った。実際、ホールアウト後の取材の際には、後半で3パットしたことについて「イラっとしたので(笑)、それ以降は気合と集中力で取り返した」と笑う表情が見られ、この人間味が桑木の人気なのかもしれない。

グリーン上での桑木のルーティン
①目を閉じて、傾斜を確認する(左)
②片目を閉じて、片手でピンを上からなぞっていく(右)
飾らない「自然体」の素顔と、ナショナルオープンへの執念

プレーに対する素直な反応が魅力であり、強さの秘密なのかもしれない
7番(370ヤード・パー4)のティーグラウンドでは、おにぎりを頬張りながらリーダーボードを確認する姿があった(この時点では2アンダー8位タイ)。トッププロでありながらどこか親近感を抱かせるこの空気感は、同じく「AIG全英女子オープン」を制覇している渋野日向子と似かよっていた。
「ビールを飲むのは優勝した時だけ。ご褒美です」(桑木)
念入りな確認など確実にスコアを重ねようとする堅実さがあり、実際のショットに対しては素直な感情を見せる。調子を整えようと表情を繕うわけでもなく、実に自然体。これが9ホール帯同したなかで得られた一番の発見だった。
海外のメジャー制覇に加え、国内ツアーでも3勝。メルセデス・ランクでは堂々のトップに立ち、これ以上にない充実したシーズンを送っている桑木志帆。ただその素顔は極めて自然体で、まったく飾り気が見えない。この一面こそ、どんな大舞台やプレッシャーのなかでも、そして流れが悪くなったとしても立て直すことのできる、揺るぎない「強さ」の源なのかもしれない。
