国内女子ツアーの最高峰である公式戦「日本女子オープンゴルフ選手権」の第2ラウンドが終了。今年のコースセッティングはトッププロでさえ飲み込まれる難易度の高さだった。しかしこの過酷なサバイバルを生き残り、予選を通過した廣吉優梨菜と岩永杏奈の2人のアマチュア。だが、2人はこの結果に満足することなく、黙々と最終調整に取り組み決勝ラウンドへと向かった。
画像: 注目のアマチュア、廣吉優梨菜(左)と岩永杏奈(右)が国内公式戦の決勝ラウンドに挑む(撮影/岡沢裕行)

注目のアマチュア、廣吉優梨菜(左)と岩永杏奈(右)が国内公式戦の決勝ラウンドに挑む(撮影/岡沢裕行)

トッププロも大苦戦の難セッティング

今季メルセデス・ランキング3位につける菅楓華が通算9オーバーと大苦戦。実際、予選を突破した全62名のうち38名がオーバーパーという事実が、その極限の難易度を物語っている。

この過酷な状況下で、予選通過を果たしたアマチュアは22名のうち3名で、一人は初日に首位タイに立った荒木七海。2日目は「74」としたものの、初日のアドバンテージが残り、通算2アンダーで週末に進んだ。ここに追いついてきたのが、日本女子オープンローアマと日本ジュニアのタイトルホルダーという圧倒的な地力を誇る廣吉優梨菜と岩永杏奈であり、それぞれ通算3オーバー(39位タイ)と1オーバー(25位タイ)というスコアで耐え抜いた。

廣吉優梨菜・午前スタートを活かした修正力

画像: 「ショットの感覚がかみ合わなかった」という反省点を修正できるか?(撮影/岡沢裕行)

「ショットの感覚がかみ合わなかった」という反省点を修正できるか?(撮影/岡沢裕行)

初日を1オーバーとした廣吉は、2日目を7時44分に10番から午前組でスタートし12時過ぎにホールアウト。2日目も2オーバーと耐え抜き予選通過を果たした。

この結果でも「コースが難しく対応しきれなかった」と反省を口にした彼女は、午前スタートにより得た練習時間を使い、明日からの決勝ラウンドに向けコーチとの緻密な修正を行っていた。

画像: クラブごとに修正点を確認しながら、丁寧に練習していた廣吉

クラブごとに修正点を確認しながら、丁寧に練習していた廣吉

練習には約1時間30分を費やし、しまいにはスタッフから「球拾いを始めていいですか?」と言われていたほどだが、本人の体感では「30分だった」とのこと。その集中力で取り組んだのは、最大の課題であった「短いアイアンやウェッジがピンに絡まず、左に行ってしまった。上げたときに『左にいきそう』感じていた」という違和感を払拭する練習だ。

画像: お互いが抱いているイメージを言語化し合い、時間をかけて擦り合わせていた廣吉と高武コーチ(撮影/岡沢裕行)。 【左下】修正前の見え方のイメージ、【右下】修正後の見え方(シャフトとリーディングエッジが重なる見え方)

お互いが抱いているイメージを言語化し合い、時間をかけて擦り合わせていた廣吉と高武コーチ(撮影/岡沢裕行)。
【左下】修正前の見え方のイメージ、【右下】修正後の見え方(シャフトとリーディングエッジが重なる見え方)

本人のフィーリングをもとに、高武大輔コーチ兼帯同キャディとフェースの向きを細かくチェック。さらにウッドのショットについては「右手がねじれているから、手先の感覚をもっと大事にするように」との的確なアドバイスを受け、自身の持つ感覚と客観的な見え方のズレを徹底的にすり合わせた。最終的には「シャフトとリーディングエッジが後方から見たときに重なるイメージ」という共通の答えにたどり着いていた。

岩永杏奈・午後遅くのホールアウト。尽きない向上心

画像: 穏やかな口調とは裏腹に、攻める姿勢が先行しやすいという岩永(撮影/岡沢裕行)

穏やかな口調とは裏腹に、攻める姿勢が先行しやすいという岩永(撮影/岡沢裕行)

廣吉とは対照的に、11時42分に1番からスタート。タフなコースと夕刻まで格闘し16時過ぎにホールアウトしたのが岩永だ。初日はイーブンパー、2日目は1オーバーで通過したが、彼女の強さは事前の緻密なマネジメントと、結果に甘んじない貪欲さにあった。

開幕前から「地元でよく知っているコース。この強みを生かしたい」と語り、10番や15番といったグリーンの幅の狭さによる距離感が難しいホールを的確に警戒して臨んでいた。第2ラウンドは出だしから3連続バーディという見事なプレーを見せるなど、オーバーパーではありつつ難易度を考えると見事なプレーともいえる内容だったが、口を突いて出たのは「連続バーディの後にスコアを落として悔しい」という強い反省だった。

画像: 彼女の強気な姿勢を、横で慎重に確認しながらサポートしていた石川キャディ(撮影/岡沢裕行)

彼女の強気な姿勢を、横で慎重に確認しながらサポートしていた石川キャディ(撮影/岡沢裕行)

彼女同様、支える陣営も決して妥協を許さない。母は「(難しいけど)他の選手を見るとちゃんとスコアが出るコース。気持ちを切り替えてボギーをなくしながら攻めてほしい」とさらに高いレベルを要求し、石川善裕キャディも「おっとり見えて、実はどんどん攻めたいタイプ」という彼女のアグレッシブな面を冷静に指摘しながら、マネジメントをサポートし支えている。

画像: 決勝ラウンドに向けて岩永が確認したのは、「アドレス」だ

決勝ラウンドに向けて岩永が確認したのは、「アドレス」だ

ホールアウトから間もなくすると、「パターの大きなミスはなかった。初日からアドレスの向きのズレが続いている。それだけ確認して明日に向けて頑張りたい」と足早に練習場へと向かっていった。

彼女たちの共通点は明確だ。それはプロでも苦戦する難易度のなかで「予選通過」という第一関門を突破した結果に決して満足せず、自分の課題を明確に言語化し、すぐに修正へと取り組む姿勢である。最強アマ2人の飽くなき向上心が、公式戦という大舞台の決勝ラウンドで、さらなる旋風を巻き起こすかもしれない。


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