大会直前のクラブ変更と「毎週のように変える」飽くなき試行錯誤
その答えの一つが、勝利や過去の実績に甘んじることなく道具を変え続ける「現状維持を拒む姿勢」にある。岩田は今大会の開幕直前にも、大きなクラブセッティングの変更に踏み切っていた。

今週、岩田が手にしているドライバーは「GTS2」だった
「ちょっと曲がりが出ていた」という理由で、ドライバーをタイトリスト「GTS2 ドライバー」へ今週スイッチ。6月の「BMW日本ゴルフツアー選手権」で優勝した際も大会直前にドライバーを代えていたが、その後も「韓国で替えたり、ANAオープンで替えたり、先週替えたり、で、また今週替えました」と明かす通り、ほぼ毎試合のようにドライバーを探し続けて試行錯誤を重ねていたのだ。
さらに、飛びすぎていた3番ウッドも1〜2カ月ほど前に「GTS2 フェアウェイメタル」へと変更。こだわりはウェッジにも及び、58度のウェッジ「ボーケイ プロトタイプ」についてメーカー担当者や専門家に相談し、「刺さりにくいから」と今週からグースネック仕様へと変更して実戦に臨んでいた。微細な感覚のズレを見逃さず、大会直前であっても貪欲にアップデートを重ねる姿勢こそが衰え知らずの強さを支えている。
ミズノアイアン変更と「シャフトはテストもしない」割り切り
一方で、プロ特有の潔い「割り切り」も持ち合わせているのが岩田ならではの魅力だ。

ミズノプロ S-1は「かっこいいから(笑)」選んだという
長年愛用したアイアンを「ミズノプロ S-1 アイアン」に変更した理由を問われると、「かっこいいから(笑)」とニヤリ。「他のマッスルバックよりもスピンが入ってくれる」とプレーヤーとしての研ぎ澄まされた感性を覗かせる。
しかし、シャフト類に関しては「正直、シャフトとかよく分からなくて。もうテストもしたくないんで、このままです」とグラファイトデザインの「ツアーAD PT」から変更しないとキッパリ。こだわるべきヘッド形状やスピン性能にはとことん執着しつつ、感覚が定まっているシャフトは絶対に変えないという、実戦主義のスタンスが明確に表れている。
初代王者になっても「悔しさ7倍」、果てなき高みへ
今回の勝利でポイントランキング上位に浮上したことで、目標として掲げるDPワールドツアー(欧州)への挑戦や、米国Qスクール突破も現実味を帯びてきた。かつてPGAツアー(米ツアー)で揉まれた苦しい時期について問われても、「アメリカの苦しい時間は、もう本当に覚えてないです。楽しかったなってしか、今は思ってないです」と振り返る。
45歳にして海外へ再挑戦するモチベーションは「単純に上手くなりたいっていうのと、海外でやりたい、ただそれだけ」。現状に決して満足することなく、純粋に「上手くなりたい」と渇望する岩田寛。果てなき探求心とともに、ベテランの進化はまだまだ止まらない。
写真/有原裕晶
