年齢は単なる数字だという。アダム・スコットにはその言葉がよく当てはまる。46歳にして20代の選手と渡り合いトップ30の地位をキープしているのだから頭が下がる。先日は世界ゴルフ殿堂入り候補にノミネートされた。現役バリバリの選手が候補になるのは珍しい。年齢を重ねても衰えない秘訣はあるのだろうか? スコットが中高年ゴルファーに送るエールをお伝えしよう。

「年齢を重ねるとさまざまなことが変わってきます。少しでも若さを維持するために食生活を見直したり、トレーニングを欠かさないようにしたり。そういったことは意識しています」

同じ46歳のジャスティン・ローズはラウンド後、体をケアするためにカプセル式の赤色光ベッド(細胞を活性化させる)や有酸素運動のためのバイク、ヒーリング用の浴槽などを備えた改造RV車を帯同。彼いわく「移動式ヘルスセンター」で体調を管理している。

いっぽうスコットには秘密兵器があるわけではない。

「若い頃に比べて疲れが取れにくくなったのは感じます。だから自分の体と相談して無理せず翌日に備えています。大事なのは毎日なにかを続けることです」

彼にとっては「動きやすい体を維持する」ことがテーマ。

「若い選手には『そんなのハードじゃない』と言われるかもしれませんが、自分としては結構きついトレーニングをやっていますよ。自宅にいる時は90分かけてしっかりと追い込みますが、ツアー大会中や移動中は疲労を残さないよう45分から1時間程度に抑える。メリハリをつけて週に4回以上はジムで汗を流しています」

画像: 大会前恒例のジュニアイベント『Future Golfers Seminar 2026』ではウォーミングアップの際に「君たちよりだいぶ歳を取っているし長距離移動後だからしっかりアップをさせてね」とエクスキューズ。ただアップで放った弾道にも感嘆の声が上がった

大会前恒例のジュニアイベント『Future Golfers Seminar 2026』ではウォーミングアップの際に「君たちよりだいぶ歳を取っているし長距離移動後だからしっかりアップをさせてね」とエクスキューズ。ただアップで放った弾道にも感嘆の声が上がった

では同世代、あるいはその上の世代のゴルファーになにか有益なアドバイスは?

「ゴルフは体がいかに動くか、英語でいうと『モビリティ・オブ・ザ・ボディ』がとても重要です。年を取れば動き(モビリティ)や柔軟性が低下します。僕がお勧めしたいのは、一日24時間のうち15分でもいいので毎日身体を動かすことです。レジスタンスバンド(チューブ)を使った運動やゴルフ特有の動き、ストレッチを取り入れるだけで十分。重いウェイトを挙げて筋肉を大きくしようとしなくていいんです」

彼によるとスウィングをいじったり技術的な何かを変えるより「動きやすい体をキープすること」の方が重要。

「1日15分の運動を続ければコースでの結果も上がるはずです」

画像: 温和な、しかし真剣な眼差しでインタビューに応えるアダム・スコット

温和な、しかし真剣な眼差しでインタビューに応えるアダム・スコット

最近のスコットはメジャー連続出場100回を超え、28年マスターズで106回に到達することが確定している。だが、どこに行ってもその話題をされ「凄い」といわれることはやや「居心地が悪い」のだとか。

「確かに長い間メジャーで戦い続けるのは運と実力が必要です。そういった意味で大きな誇りを感じています。でもただ参加するだけでは意味がありません。回数が成功の尺度になるのかどうか疑問です。僕は勝つためにプレーしているんですから」

「だから来年は回数ではなく優勝という結果で評価されたい。皆さんの視点を(回数ではなく勝つことに)方向転換させたいと思っています」

スコットほどの領域になると、優勝とそうでない時の差はほんのわずかな紙一重。不調の波に直面した時、彼は『This too shall pass(これもまた過ぎ去る)』という言葉を心に刻むという。「どんな悪い時期も永遠には続かない。投げ出さずに準備を続ければ必ず結果はついてくる」と語る通り、メンタルの平穏も彼の強さの源だ。

メジャー2勝目に向けては「アプローチとパターの浮き沈みをなくすこと。ロングゲームはこのままでいけると思っています」。

そういうとスコットは大きく頷いた。

写真/圓岡紀夫


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