「スタンレーレディスホンダ」が9日、静岡県の東名CCで開幕。ツアー11年目・29歳の蛭田みな美が、4バーディ1ボギーの「69」、3アンダー11位タイとまずまずのスタートを切った。
画像: スタンレー初日、3アンダー11位の蛭田みな美(撮影/青木慶太)

スタンレー初日、3アンダー11位の蛭田みな美(撮影/青木慶太)

今季は開幕から「明治安田レディス」まで19試合中10回の予選落ちと苦しい前半戦が続いていたが、翌週の「大東建託・いい部屋ネットレディス」から前週の「日本女子オープン」まで9試合連続予選通過中。その間の「CAT Ladies」では6位、難セッティングの「ソニー日本女子プロ選手権」では10位と、トップ10にも2度入り、今大会も好調をキープしている。

今季前半のどん底から、一気にV字回復を果たした蛭田。予選落ちが続いていたころと予選通過中のいま。一体、何が変わったのか?

質問に対して「う~ん」と少し悩みながら笑顔で答えた。

「特別なことはしてないんですけど……そのころは試合だと思いすぎちゃっていい球を打たなきゃとかミスしないようにとか、そんな気持ちでプレーしてました。最近は、もう『練習だからどこ行ってもいいや』みたいに、試合中でもその感覚でプレーしています。そういう気楽な気持ちでやり始めてからゴルフが良くなったと思います」

前半戦は「結果を出さなければ」「失敗したらどうしよう」とプレッシャーに縛られ、体がカチコチに縮こまっていたという。

「どうせ練習だと思えればパターも外してもいいし、ショットも思い切り打てるじゃないですか」

コースの背景や視界に入った悪いイメージに影響されないゴルフを徹底。練習場で一打を打つようなマインドでクラブを振れるようになった。開き直ったことで縛られていた体が軽やかになり、手打ち気味だったスウィングからよどみが消え、ブレない弾道が復活した。

アイアンの球筋を元に戻した

メンタルの切り替えに加え、技術的にも大きな「原点回帰」があった。

「そうだ、もうひとつありました! アイアンをフェードに直したから良くなってきたのかも(笑)」

以前は長いクラブをドロー、アイアンをフェードと打ち分けていた蛭田。しかし「球筋をドローに統一したほうがゴルフって簡単なんじゃないか」と考え、すべてのショットをドローに変えていたことがよくなかった。これが結果的にアイアンでの取りこぼしにつながっていた。

「アイアンを元のフェードに戻したんですよ(笑)。やっぱり自分のなかでは、長いクラブはドロー、アイアンはフェードのほうがハマってたみたいで。アイアンの弾道を戻したことでチャンスにつくようになって、ドライバーも安心して打てるようになりました」

攻めの組み立てを元のドロー&フェードに戻したことで、ショット全体の精度が急上昇。ドライバーの安心感とアイアンのチャンスメイクがかみ合う好循環が生まれていった。

スタッツが証明する「最も大たたきしないゴルフ」への変貌

この意識と技術の変化は、スタッツにもはっきりと表れている。

低迷していた「明治安田レディス」終了時までと、現在のスタッツを比較するとその差は一目瞭然だ。

●パーオン率: 65.1111%(43位) → 67.9233%(31位)
●パーセーブ率: 80.3333%(77位) → 83.6640%(49位)
●リカバリー率: 58.5987%(76位) → 61.4433%(53位)
●サンドセーブ率: 41.5094%(48位) → 45.8824%(34位)
●平均ストローク: 73.3400(77位) → 72.3218(51位)

ショット精度の向上でパーオン率が大きく跳ね上がっただけでなく、アプローチとバンカーショットの粘り強さが大幅にアップ。1ラウンドあたり1打以上のストロークが改善された。

さらに、特筆すべきは「ダブルボギー率」だ。JLPGAのデータは毎週書き換えられるため明治安田レディス時点での過去データにはさかのぼれないものの、現在は0.5291%で1位。ツアーで最も大たたきをしない安定感のあるゴルフへチェンジした。

シード復活へ、今週も予選通過目指す

明治安田レディス時点で73位に沈んでいたメルセデス・ランキングは、一気に43位まで急浮上。9週で30位もジャンプアップした。

昨年は53位で50位以内のシード権を逃して悔しさを味わったが、後半戦のV字回復によって「復活シード」の獲得は目前まで迫っている。

「アップダウンがあって山登りみたいで少し疲れるコースね(笑)」と微笑みながら、表情は明るくエネルギーに満ちあふれている。本来ののびのびとしたスウィングと笑顔を取り戻した蛭田みな美が、今週も予選通過を継続してさらなる上位進出を目指す。


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