
ショットの調子を取り戻した吉田鈴(撮影/有原裕晶)
ルーキーとして戦い抜いた昨年。「1年間ツアーを戦い抜いたなかで、いろいろな経験をして、難しい局面でアプローチの引き出しが必要と思うようになりました」と、オフシーズンにはウェッジの練習に時間を割いた。ツアーで戦える技術を身につけ、開幕からの実戦経験もかみ合い、ツアー2年目の今季は6月の「ヨネックスレディス」で初優勝、8月の「CAT Ladies」ではツアー2勝目を達成。同大会時点でのリカバリー率は4位(昨年31位)、サンドセーブ率は11位(昨年16位)と、技術の進化はスタッツにもはっきりと表れていた。
だが、9月のメジャー「日本女子プロゴルフ選手権」「日本女子オープン」を前に、「もうひとつ上のステージで勝つにはどうすればいいか?」と模索を始める。飛距離を伸ばす取り組みか、アイアンの精度を高めることか、パッティングを磨くか……。小柄な体格で飛距離を伸ばすには限界がある。
選んだのは、ウェッジの引き出しをさらに増やし精度を高める道だった。

「ウェッジのコントロールが私の生命線」という吉田
14本のクラブセッティングはドライバー、FW3本、UT2本、アイアン5本、ウェッジ2本(50度・58度)、パター。飛距離による2打目のハンディをFWやUTで補う吉田にとって、安易に1本抜いてウェッジを3本に増やすのは難しい。「ウェッジのコントロールが、私は生命線になってくると思うので、2本しか入れてないです 」とウェッジ2本を貫くことを選択した。
しかし、3本あればロフトの違いやバウンスの形状の違いなどでバリエーションを増やせるが、50度と58度の2本で引き出しを増やすには技術だけでなく精度を上げるための体力までも必要になる。新しい技術への取り組みともともと練習量が多い吉田がさらなる練習を重ねた結果、アプローチのスウィングに微妙なずれが生じ、持ち味だった「しなやかさ」を失ってしまった。
アプローチのずれはドライバーや長いクラブのスウィングにも影響。「日本女子オープン」のようなタフなコースセッティングでは小さなミスでも大きな乱れとなり、優勝後初の予選落ちを喫する。その前週の体調不良(棄権)とも重なり「ダブルパンチ」に見舞われた。
「合わないものを取り入れてしまったのかも。元に戻っただけなので、進化はしてないという感じです」と語るが、「やらなきゃよかったとは思っていません」と冷静だ。アプローチの進化を求めた試行錯誤を一度リセットし元に戻したことが、2日目の5バーディ・ノーボギー(67)という安定感に結びついた。
進化を求めての試行錯誤。冷静に自己分析し、また次へ進む。進化の途中にある吉田鈴はこの1カ月の取り組みも強さに変えて、新しく生まれ変わっていく。
