千葉県・東急セブンハンドレッドクラブ(6717ヤード・パー72)で国内女子ツアー「富士通レディース」の2日目が行われた。今季第2戦の「台湾ホンハイレディース」で、ツアー通算2勝目を早々に上げ、存在感を示した菅楓華。その後も出場28試合に対しトップ10入りは14回と、実力を発揮し続け、メルセデス・ランキングでは5位につけている。プロ3年目にしてこの強さ。何が彼女を躍進させているのか。今大会の初日、桑木志帆、永井花奈とのラウンドに帯同し観察してみると、オンとオフを明確に切り替える、彼女ならではのプレースタイルが見えてきた。
画像: 菅楓華の初日の前半9ホールに密着

菅楓華の初日の前半9ホールに密着

日にち1番(542・5)2番(377・4)3番(391・4)4番(164/156)5番(363・4)6番(390・4)7番(522・5)8番(213/193)9番(383・4)10番(533・5)11番(405・4)12番(402・4)13番(173/160・3)14番(381・4)15番(374・4)16番(515/450・5)17番(186・3)18番(403・4)
初日〇ー△△ーー〇ーー〇ーーーー〇〇〇ー

朝練習で見えてきた、テンポ良く切り替わる怒涛のルーティン

画像: ドライビングレンジへ向かう前は練習器具を使用したパター練習を入念にしていた菅楓華

ドライビングレンジへ向かう前は練習器具を使用したパター練習を入念にしていた菅楓華

初日の朝の練習場。ティーオフの約1時間前、8時54分にグリーンに姿を現した菅は、パターマットの両脇にティーを立てて2つのゲートを作り、その間を通す練習から開始。さらに「コ」の字型の練習器具も駆使して、基本を徹底的に確認していた。

驚かされたのは、その「切り替えの早さ」だ。

画像: ドライビングレンジでは、ウェッジの片手打ちから練習を開始(左)。打つ前に低い位置に上げて確認する姿が見られた(右)

ドライビングレンジでは、ウェッジの片手打ちから練習を開始(左)。打つ前に低い位置に上げて確認する姿が見られた(右)

9時からアプローチを2カ所(花道とラフ)とバンカー練習を素早くこなし、ドライビングレンジに移動。その間わずか10分。そしてウェッジを握ると右手、左手の片手打ちから両手打ちへと移行し、番手を次々と変えていく。途中のアイアンだけやや数球が多かったり、齋藤優希キャディとの会話やボールの後ろにしゃがんで何かを確認する姿が見られたが、それ以外は本当にテンポ良く打ち込んでおり、ドライバーを打ち終えると一度ウェッジに戻ったことも特徴的だった。

画像: 青ペンで線を書きこむ菅

青ペンで線を書きこむ菅

そして9時40分頃にパッティンググリーンへ戻ると、7カ所ぐらい場所を移動しながら35球程度打った後、ボールに青い線を書き込んだ。

「青で書くと覚えやすい、記憶に残りやすいというのを聞いていて。それから色として青が好きというのも理由です」(菅・以下同)

そしてまた、数球ずつとにかく細かく場所を変えながら練習を繰り返し、9時54分頃スタートホールへと向かった。

「いろんなラインで練習するようにしています。試合当日のいつものルーティンと思っています」

真剣勝負の中に見せる和やかな笑顔と、ピンチを救った「嫌な間」

画像: 初日は1番からスタートし、バーディ発進を決めた

初日は1番からスタートし、バーディ発進を決めた

初日は10時に1番ホールからティーオフ。齋藤キャディが何やらドローボールの軌道のようなジェスチャーを示し、放たれたティーショットには「ナイスショット!」の声援が飛んだ。菅は笑顔を見せ、見事バーディ発進を決めた。2番ホールでは、歩いてくる先輩の桑木志帆に対し、「ナイスバーディです」と穏やかに声をかけるなど、周囲への配慮も忘れずにプレーしていく。

画像: 基本的には隣同士で歩いているが、話をしている時間は意外と少ない(右)。ただ、強めの風が吹いていた3番など、番手の相談はヤーデージブックを確認しながら念入りに行っていた(左)


基本的には隣同士で歩いているが、話をしている時間は意外と少ない(右)。ただ、強めの風が吹いていた3番など、番手の相談はヤーデージブックを確認しながら念入りに行っていた(左)

しかし風の影響もあったのか、3番、4番と連続ボギーを叩いてしまう。すると、続く5番では、一人で2打目まで歩いていく菅の姿があり、やや緊張感が漂うようにも感じられた。けれどさすがの実力でピン手前からのやや長めのパットを寄せ、「ナイストライ!」という大きな声援を受けることに。このホールはグリーン周りをギャラリーが囲えるようなレイアウトとなっているため、声援が周囲に響きわたったことで、空気感が変わったように見えた。

画像: 7番のティーグラウンドで待機する様子。なにやら手のひらを見せ合って笑っていた

7番のティーグラウンドで待機する様子。なにやら手のひらを見せ合って笑っていた

さらに6番や7番のティーグラウンドでは、前の組のプレーを待つ時間があり、齋藤キャディや同組の選手たちと談笑。この時間が切り替えにつながったのか、7番でバーディを取り返して、イーブンパーへと戻していた。

「ちょっと待っている時間が長くて嫌な間だなと思ったんですけど、でもそれが逆に良かったのかな。いい休憩になったかなと思います」

気分転換の新兵器「白いパター」がもたらした後半の巻き返し

画像: 先週の「スタンレーレディスホンダ」の2日目から投入しているという特注パター

先週の「スタンレーレディスホンダ」の2日目から投入しているという特注パター

彼女の手元でひと際目を引いていたのが、ヘッドが真っ白い、特注のPINGのパターだ。

ツアーレップによると、「形は『アンサー』という典型的なブレードで、アルミ製のインサートが入っている」とのこと。

前週の「スタンレーレディスホンダ」の初日終了後に「パターが入らない」という話から、「気分転換に変えてみよう」という気持ちで実戦投入された。

この特徴的な色については、「本来、ブレードで細いタイプのパターって、ちょっと難しく思われがちなんです。けれど、あの白いヘッドだと膨張して見えるので、ちょっと優しく見えるっていう利点がありますね」と担当者は語る。

画像: 初日は6つのバーディを決めた

初日は6つのバーディを決めた

菅自身も「1番は気分転換に変えてみようかなっていうのがあって。ちょっと最近ボールの転がりが悪かったので」と変更の理由を語り、「据わりがいいので、構えやすい特徴が少しあるかなと思います」とその効果を実感。イーブンパーで折り返した後半は、15番からの3連続バーディを含む4バーディノーボギーとして、通算4アンダーの7位タイでフィニッシュした。

「後半はうまく立ち直れて、アンダーで回れてちょっとホッとしています。ボギーを打ちそうなところでしっかりパッティングが決まってくれた。それで流れが切れずにいけました」

「久しぶりに初日いいラウンドができたので、しっかり明日以降も伸ばして頑張りたいなと思います。やっぱりパター勝負かなと思います」

そう意気込んだ2日目は、10番(533ヤード・パー5)をパー発進でスタートして行った菅楓華。

練習のテンポ、プレー中の笑顔と真剣な眼差し、そして気分転換を理由にしたパターの変更。21歳という若さにして、すでに明らかになっている彼女の実力の裏側には、こうした“切り替えの達人”とも呼べる、天性のバランス感覚があるのかもしれない。


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