国内女子ツアー「富士通レディース」が10月15日、東急セブンハンドレッドクラブ(6717ヤード・パー72)で開幕。初日は蛭田みな美と高橋しずくが通算7アンダーで首位タイに立った。蛭田は前週の「スタンレーレディスホンダ」では4位タイに入り、今季の開幕から比べると着実に自信を深めている彼女。これまでは慎重な姿勢を貫いてきた姿が印象に残るが、今大会ではついに「優勝」という力強い言葉が飛び出した。
画像: 父・宏さんと戦い続ける蛭田みな美

父・宏さんと戦い続ける蛭田みな美

前週の好成績で得た確かな自信

画像: 入念にラインを読んでいた

入念にラインを読んでいた

蛭田は、7月末の「大東建託・いい部屋ネットレディス」以降、11試合連続で予選通過を果たしている。

さらに先週開催された「スタンレーレディスホンダ」では、安定したプレーを展開して4位タイでフィニッシュ。ここで貴重な65.00ポイントを獲得し、来季のシード権確保に向けて極めて重要な指標となるメルセデス・ランキングを37位に上昇させた。これにより、精神的なゆとりを手に入れたことが、今大会でのびのびとしたプレーを展開できている大きな要因だろう。

初日のラウンドを終えた蛭田は、「最後だけ危なかったんですけど、危なげない1日だったかなと思います」と充実の表情で振り返った。この日の好スコアを大きく支えたのは、彼女がこれまで苦手としていた「スライスライン」の克服である。

「スライスラインがよく入ってくれましたし、入る気もしていました」と語るように次々と見事なパットをカップに沈め、4連続バーディを含む通算7バーディノーボギーという完璧なラウンドだった。

さらに「身体の調子が良くて、(体が)よく回っている」とも語り、ショットの精度やコンディショニングにも確かな手応えを感じている。

戦略はあえて胸の内に。父が貫く「伝えない」サポート

そんな頼もしい変貌を最も近くで見守り、支えているのが、バッグを担ぐ父・宏(ひろし)さんだ。

実は宏さん、事前の練習ラウンドで、アマチュア時代を含め今大会で3勝を挙げている古江彩佳の強さを分析。グリーンが内側に向けて下がっているというコースの特徴を把握し、どこに落とせば有利なラインが残るかという攻略法を密かに見つけていた。

しかし、初日を終えて改めて話を聞くと、実はこの攻略法は、「本人には伝えていなかった」という。

「伝えると守りに入ってしまうから。僕は尻を叩くようなサポートをしているんです」

勝ち筋を持ちながらも、伝えない。慎重な彼女を見守りながら背中を力強く押し続ける父という絶妙な関係性は、長年築き上げられてきた蛭田親子ならではだ。

「予選通過」から「優勝」へ。変化した目標

画像: 「とりあえず打つ」という言葉通り、黙々と練習に励んでいた

「とりあえず打つ」という言葉通り、黙々と練習に励んでいた

ここまでの試合を振り返ると、中盤の「CAT Ladies」の初日にも、「67」として一時首位に立ったことがあった。しかしその頃は、予選落ちが続いた前半戦を思ってからか、「まずは予選通過を目指したい」と控えめな姿勢が印象的だった。

そこから一歩ずつ感覚を取り戻し、着実に目標を達成してきた。そして、公式戦での上位入り、先週の今季の最高位という過程を経て、蛭田が見つめるものは、もっと大きくなった。

「ずっとシードが目標でした。でもとりあえず先週(の結果)でちょっと肩の荷が下りてきたので、『次は優勝かな』って思います。(最終戦については)そうですね、もちろん!」

迷いなく語った新たな目標。その言葉を現実のものとするべく、彼女はすぐさま次なる課題へと意識を切り替えた。

「今日はフックラインを練習して、あとはこの調子を続けていけたら。(練習では)とりあえず打つ。根性論です(笑)!」

蛭田らしいコメントで締めくくった取材の後は、サインを待つファンに応えて、14時ちょっと前からパッティング練習を開始。宏さんから一言二言のアドバイスを受けながら、言葉通り“打ち続けて”、14時半ごろに終了した。

慎重に。けれど確実に成績を上げてきた蛭田。すべてのピースが揃った今、週末のグリーンで歓喜の瞬間を迎える準備は整っている。


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