10月15日に開幕した国内女子ツアー「富士通レディース」。初日を終え、新鮮なコンビネーションで挑む選手たちの姿が目を引く。開幕前の練習日、後半戦に入り調子を上げている六車日那乃の隣には、今季2人の初優勝をアシストした牧野みゆきキャディの姿があった。さらに佐藤心結や吉澤柚月ら注目選手たちも、これまでと異なるパートナーとともに今大会に臨んでいる。ツアー終盤戦、初日を終えた彼女たちの新たなタッグはどのような化学反応を起こしているのだろうか。
画像: 今大会で初めてタッグを組んでいる六車日那乃と牧野みゆきキャディ

今大会で初めてタッグを組んでいる六車日那乃と牧野みゆきキャディ

復調の六車日那乃、”優勝請負人”牧野キャディとの化学反応

画像: 「平らで短いので、自分には合っているコース。最近はいいイメージや感覚が持てている。トップ10を目指しつつ自分のできることを集中してやり続けたい」と話す六車に対し、「いいものを持っているし、トータルで上手いから『自信を持って!』って(笑)。期待してます」と背中を押した牧野キャディ

「平らで短いので、自分には合っているコース。最近はいいイメージや感覚が持てている。トップ10を目指しつつ自分のできることを集中してやり続けたい」と話す六車に対し、「いいものを持っているし、トータルで上手いから『自信を持って!』って(笑)。期待してます」と背中を押した牧野キャディ

今大会のフィールドで注目を集める組み合わせの一つが、六車日那乃と牧野みゆきキャディの初タッグである。

六車といえば、今季の前半戦では予選落ちが続く場面も見られ、本来の実力を発揮しきれず苦しい時期を過ごしていた。しかし、夏の終わりとともに彼女のゴルフに確かな変化が表れる。8月の「ニトリレディス」以降は5試合連続で予選を通過。

「(先週は)予選落ちしてしまったけど、最近はいいイメージや感覚を持てています」と話すように、一歩ずつ自信を取り戻してきた。残り試合が少ないなかで挑む今大会は、彼女にとって重要な一戦に位置付けられる。

その六車の隣に立ちバッグを担ぐのが、今季何度も名前を耳にしてきた牧野みゆきキャディだ。

画像: 牧野キャディは、今季初優勝を飾った倉林紅と吉澤柚月を支えていた

牧野キャディは、今季初優勝を飾った倉林紅と吉澤柚月を支えていた

記憶に新しいのは、7月に開催された「資生堂・JAL レディスオープン」だ。ここで牧野キャディは倉林紅のバッグを担ぎ、的確なアドバイスで彼女のツアー初優勝を強力にサポートした。さらにその勢いは止まらず、翌8月の「北海道 meiji カップ」では吉澤柚月の初優勝にも大きく貢献。わずか1カ月余りの間に、異なる2人の選手の「初優勝」をアシストするという、まさに”優勝請負人”とも呼ぶべき手腕を発揮している。

開幕前の練習場では、この勢いのある牧野キャディと組む新鮮さが2人の表情から感じられた。牧野キャディは六車の状態について、「ショートゲームが上手いし、ショットもいい球を打っていたので、あとはパターが入ってくれたらいいなと思っています。それでスコアが爆発するんじゃないかな。今週期待してます!」と高いポテンシャルに太鼓判を押していた。

これに対し六車も、女性同士ならではの話しやすさを感じている様子で、「より話しやすいですし、いいところを伝えてくれたり、やりやすさを考えて声掛けをしてくださっていることを感じます。パー5では『行くときは行って』、『刻む時は、状況によってはここに刻んでいこうね』など、練習ラウンドから戦略を話せたので、いい時間でした」と力強いサポートを実感していた。

課題のパターと、ホールアウト後の黙々とした調整

画像: 六車が牧野キャディとともに取り組んでいたパター練習器具

六車が牧野キャディとともに取り組んでいたパター練習器具

練習ラウンドを終えた2人が力を入れていたのは、パッティング練習だ。牧野キャディが明かしてくれた「試行錯誤した」という練習では、スティック状の器具を使用しており、声を揃えて“オリジナル(笑)!”と教えてくれた。

「『低く低くストローク』ができる練習器具です」(六車)

「『先週もチャンスはあったけど、それが入らなかった』と聞いたので、『決めなきゃダメだね!』と話し合っていろいろな練習器具から探したものです。転がりがよくなったので、本番で成果が出てくれるといいですよね!」(牧野キャディ)

すでに今季2人の優勝を間近でアシストしてきた牧野キャディは、上位争いのカギについて「やっぱりパターで流れを掴むしかないと思います」と断言。

「最終日は前半にいかにバーディを獲って、そこから『ワーッ』といけるかだと私は思います。そこで獲れないと1日が終わってしまう。伸ばしてくる選手たちは序盤から来るので」とパッティングによる勢いの重要性を強調し、「まずは今週は予選をとりあえず頑張って、最終日にいいところにいられるようにしたいですね」と冷静に戦略を見据えていた。

画像: 初日。ホールアウトの練習では、2人で調整した後、一球ずつセットしながら一人で黙々と練習を続けていた

初日。ホールアウトの練習では、2人で調整した後、一球ずつセットしながら一人で黙々と練習を続けていた

パターを課題に掲げる六車と、パターでの流れを重要視する牧野キャディ。2人の見解が一致して挑んだ初日は、3バーディ・1ボギーの通算2アンダー。上位を狙える23位タイという上々のスタートを切った。ホールアウト後も、2人で話し合った後に六車が一人黙々とパット練習を続ける姿があり、このタッグのさらなる可能性を感じさせた。

佐藤心結、吉澤柚月らも新たな相棒と。新鮮なタッグが導く結末は

画像: 吉澤柚月と北村明子キャディ(上)、佐藤心結と加々見パブロ東キャディ(下)

吉澤柚月と北村明子キャディ(上)、佐藤心結と加々見パブロ東キャディ(下)

今大会の面白さは、このペアだけにとどまらない。

先日の国内公式戦「日本女子オープン」で堂々の3位に入った佐藤心結。彼女の横でよく見かけるのは北村明子キャディであるが、今大会では8月に初優勝を挙げたばかりの吉澤柚月とタッグを組んでいる。一方で、その佐藤心結自身は加々見パブロ東キャディとコンビを組むなど、実力者たちの間でもキャディのシャッフルが行われている。

【初日のスコア】
佐藤心結:5バーディ1ボギー1ダブルボギー(通算2アンダー、23位タイ)
吉澤柚月:3バーディ1ボギー(通算2アンダー、23位タイ)

長いシーズンを戦い抜き終盤戦に入るなかでも、選手たちは常に成長のきっかけを探している。新しいパートナーの視点やマネジメントを取り入れることは、自身のゴルフに未知の化学反応をもたらす可能性を秘めている。六車、佐藤、吉澤がともに2アンダーとまずまずの滑り出しを見せた今大会。残りの3日間、選手たちのプレーはもちろん、隣に寄り添うキャディとのコンビネーションに注目したい。

撮影/有原裕晶


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