東急セブンハンドレッドクラブ(6717ヤード・パー72)で開催中の国内女子ツアー「富士通レディース」の大会2日目。佐藤心結が11番、12番での連続バーディを含む5バーディ、ノーボギーの快進撃を見せ、暫定7位タイへと浮上した。先々週のツアー公式戦「日本女子オープン」でも、難コンディションのなか3日目に「65」という好スコアを叩き出し上位に急浮上した佐藤。こうした爆発的な結果の裏には、彼女の客観的で冷静な自己分析があった。
画像: 「富士通レディース」2日目を、5バーディノーボギーで回り、23位タイから7位タイへ浮上した

「富士通レディース」2日目を、5バーディノーボギーで回り、23位タイから7位タイへ浮上した

グリーンの状態を見極めた冷静なギア変更

画像: スパイダーのセンターシャフトで今大会に挑んでいる佐藤

スパイダーのセンターシャフトで今大会に挑んでいる佐藤

この日の躍進を支えた最大の要因は、冴え渡ったパッティングである。

「今週はずっとパターのフィーリングがいいなと思っています。昨日のほうがロングパットがはいってくれていて、今日はショットで作ったチャンスが決め切れない部分もありましたが、そのなかでも5つのバーディが取れた。難しいパーパットもしっかり決め切れました」

彼女が語った通り、好調のパターが5バーディノーボギーという好プレーにつながり、2日目を通算7アンダーの8位タイで終えることができた。

その内容を振り返ると、4メートルというしびれるパーパットがあった。そこでもピンチを凌ぐ粘り強さを発揮したというが、実はこのグリーン上でのプレーの裏には佐藤の冷静な判断に基づくパターの変更があった。

先々週に行われた国内公式戦「日本女子オープン」の3日目。彼女は前半に「29」という怒涛のラッシュを見せ、公式戦における9ホール(パー35)の最少ストローク記録を更新した結果、3位という好成績を収めたばかり。ここでは11フィートというグリーンに合わせて、エースパターのインサートを「アルミ製」に変えていた。

しかし、先週の「スタンレーレディスホンダ」では、グリーンが12フィートあったため、「転がりが良すぎて初速が出すぎていた」と分析。2日目に即座に樹脂製のインサート、そしてセンターシャフトのパターへ戻す決断を下した。今週もそのパターで挑んでいる。

状況に合わせてインサートをこまめに変更する。この緻密な調整が、佐藤のここ最近の上位争いを支えていたのである。

グリーンコンディションの変化
日本女子オープン:【全日】スティンプ11
スタンレーレディスホンダ:【1日目】スティンプ11・4分の3、【2日目】スティンプ12、【3日目】スティンプ12
富士通レディース:【1日目】スティンプ11・4分の3、【2日目】スティンプ11・4分の3

心身のコンディションを整えるオンとオフの切り替え

彼女の調整は、ギア関連だけにとどまらない。

「反省する時間を取る」日もあるが、今大会の初日を終えた後は、「早く休みたい」と早めに就寝した。

「『こうしたい、ああしたい』と反省して夜遅くなってしまうこともありますが、やっぱり体をしっかり休めた状態で、次の日に『ベストコンディションで挑みたい』という感じが最近は強くて。前に比べると、『少し休む時間を確保したい』と思うようになっています。(特に)昨日は冷静に。『悔しい部分もあったけど、結果アンダーだったからいいよね』と、サラッと終われました。今日もそんな感じで早く寝て、ゆっくり休みたいです」(佐藤・以下同)

残る悔しさを感じながらも、客観的に自身を見つめ、翌日に備える。これもまた佐藤の強さの裏にある戦略ともいえるだろう。

己の現在地を把握した決断と、次なる目標への挑戦

今大会を含めて今季の国内女子ツアーは残り5試合。シード権の獲得を目指した目標設定はもちろんのこと、女子プロたちは日本開催となるLPGAツアー「TOTOジャパンクラシック」への出場権を見据えて戦っている。

佐藤もまた、その一人。彼女の冷静な判断力は、キャリアを左右する大きな選択においても発揮されていた。

「米国ツアーのなかで唯一の日本開催ということで、一年のなかで楽しみにしている大会の一つです。特に今年は(高校生活を過ごした)茨城開催ということもあり、『出たい』という気持ちは強いです。でも、狙いすぎて力が入りすぎてしまうのはよくないので、あんまり考えないようにしたいとは思っています。周りの選手たちの成績が関係してきますが、それよりは自分の結果で決めたいですし、結構いい位置にいるので『優勝を意識してもいいのかな』とも思っている。そこに向けて全力でやりたいです」

米国ツアーへの挑戦については、佐藤は今年の予選会(Qシリーズ)への出場を回避するという決断を下した。

「来年もし『アメリカでやりたい』と思っているとしたら、『TOTOに出場して優勝する』というのが絶対条件。でも仮に優勝したとしても来年は行かないかもしれない……わからないです。(昨年受けて)もちろん今年も『受けたい』という気持ちではいましたが、調子が追い付かず自分の準備的にもちょっと間に合わないかなと思って。これだと中途半端になってしまうかなと思ったので、一回区切りをつけて今年の挑戦はやめました。なので『来年出たい』というよりかは、再来年に向けて考えたいかなという気持ち。まずは今週を頑張って『TOTOに出場したい』ですし、世界のトッププレーヤーたちが集まる舞台に自分も立って、一緒に戦えるように頑張りたいです」

このような冷静な判断には、理由がある。

「もちろん周りの方の意見がたくさんあると思います。でも自分の選択を信じたいですし、そのためにもやっぱり冷静に、地に足を付けて考えたいと思っているんです。やっぱりこういう判断ってすごく大事だと思うので。常日頃から考えているわけではないけれど、自分自身と向き合った結果の判断です」

自身の感覚を研ぎ澄ませ、状況に応じて最適な変化を選び取る佐藤心結。冷静な判断力で進化を続ける彼女なら、プレッシャーのかかる決勝ラウンドでも、首位タイとの4打差、そして勢いのある追い上げを見せる選手たちとの混戦を抜け出す、力強いプレーを見せてくれるだろう。


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