国内女子ツアー「富士通レディース」の最終ラウンドが、千葉県・東急セブンハンドレッドクラブ(6717ヤード・パー72)で行われた。通算12アンダー、首位タイから出た鈴木愛が、勝負のバックナインでスコアを伸ばし通算15アンダーで逃げ切り勝利。緊迫した優勝争いのなかで持ち前の勝負強さを発揮し、昨季の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」以来のツアー通算23勝目を達成した。
画像: ツアー通算23勝目を挙げた鈴木愛。「実感はない。最終日とは思えないほど、起きたときから落ち着いていました」

ツアー通算23勝目を挙げた鈴木愛。「実感はない。最終日とは思えないほど、起きたときから落ち着いていました」

怒涛のバックナイン、6人の大混戦から抜け出す連続バーディ

画像: キーポイントとしていた13番をパー、14番をバーディとし、15番で連続バーディを沈めて優勝に大きく近づいた

キーポイントとしていた13番をパー、14番をバーディとし、15番で連続バーディを沈めて優勝に大きく近づいた

前半は我慢の展開が続いた。

7番でバーディを取ったものの8番をボギーとし、前半終了時点では鈴木を含め、蛭田みな美、堀琴音、菅沼菜々、吉田鈴、イ・ミニョンの計6人が首位タイ(通算12アンダー)に並ぶ大混戦となった。

後半に入ると持ち前の力が目を覚ます。

最初の10番でバーディ発進を決めると、勝負どころの14番で残り148ヤードを8Iで打ちピン手前4メートルにつけてバーディを奪取。力強いガッツポーズを見せた。続く15番ではPWで打った残り118ヤードがピン横4メートルに。気迫の連続バーディを決め、膝にぐっと力を入れギャリーに手を挙げた。切れ味鋭いショットと強気のパットが噛み合い、通算15アンダーへ伸ばすと、後続に一気に2打差をつけて、大きく優勝へと近づいた。

「 (申ジエの『日本女子オープン』でのツアー30勝を見て)大事な一打でギアをさらに入れてくる。その姿を見て私も『このパットを何が何でも決める』とギアを入れて打てたのが良かったです。(特に)14番は、最近左に外すミスが多くて、このホールもピンポジションが左に切ってあったので、『左に行きそう』と思っていました。でもそこで自信を持って、勝負をかけました。それが結果につながってくれたことが嬉しかったです」(鈴木・以下同)

「今年を0勝で終わりたくない」逃げ切り優勝への覚悟

画像: 18番のティーショット前では、ボギーでも優勝という状態になった

18番のティーショット前では、ボギーでも優勝という状態になった

この思いの強さで手にした勝利には鈴木の執念があった。3日目終了後にはこう語っている。

「『今年を0勝で終わりたくない』というのはあります。今まで勝てなかった年のほうがたぶん少ないので。一つでも勝って終わりたいという思いがあります。(今までは)まくって優勝はほとんどなくて、逃げ切りのほうが多く、明日はのびのびプレーできると思います。(首位タイに並ぶイ・ミニョンについては)ショットがめちゃくちゃ上手いので、あんまりビタビタ来られるのは嫌だなぁ~と思いますが、パットが得意なので、外からドンドン入れてやろうと思います(笑)」

一時、1位タイに6名が並ぶという混戦でも、必勝パターンの「逃げ切り」を見事に体現した。

安堵のジャンプと歓喜のハグ、そして会見の笑顔

画像: 自身で手掛けた「own is =“自分らしく”」がコンセプトのオリジナルアパレルブランドを着用し、優勝を掴みとった

自身で手掛けた「own is =“自分らしく”」がコンセプトのオリジナルアパレルブランドを着用し、優勝を掴みとった

難関の最終18番。ひとつ前の組で回っていた菅沼菜々がバーディを奪取したものの、この時点でも2打のアドバンテージがあった鈴木。ティーショットをやや右寄りのフェアウェイに運ぶと「オーーーー!」と大きく口を開けて安堵し、ぴょんぴょん飛び跳ねた。

ボギーでも優勝が決まるなか、2打目は奥のラフへ。アプローチはピンを過ぎたがきっちりパーパットを沈めた。満面の笑みで右手のガッツポーズを小刻みに振り、両手を低めに挙げてギャラリーへ手を振る。

その一方で、優勝会見語ったのは、冷静な心境だった。

「メジャー大会の時は気が少し張っているのか、頭が真っ白になったりしたんです。けど今回は、その時とは違った落ち着きのある優勝でした。スタッフの方から『もっと喜んでいいんだよ』って声をかけられたくらいで。本当にまだ実感がなくて、『終わったのかな?』という感じです」

「先週のゴルフを見て『優勝できる』と思う人はいないと思う。自分でもよく落ち着いてできたなと思います。そんなところから上手く調整できたなと思うし、かみ合ってくれたなと思います」

今までのなかで一番冷静につかんだ優勝は、今季から手掛けているという自身のウェアを着用して初めて手に入れたものだ。そこにはモチベーションを保つための“自分らしく”という気持ちが詰まっている。

「これだけは絶対に譲れないという色味やデザインが一着の中に必ずあるんです」

ウェアに込めた「絶対に譲れない」こだわりは、彼女のプレースタイルそのものだ。大混戦の優勝争いでも己のゴルフを貫き、重圧のかかる場面でも決して“自分らしさ”を失わなかった。この確固たる芯の強さ、譲れない部分を持っているからこそ、鈴木愛は幾多の激闘を制し、勝ち続けることができるのだろう。

写真/岡沢裕行


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