
細野勇策(撮影/姉崎正)
こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回は国内男子ツアー「日本オープン」で、羽川豊氏以来のレフティ優勝を成し遂げた細野勇策選手(以下、細野選手)の後方からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。
今大会の細野選手はフェアウェイキープ率が73.214%で4位タイ、パーオン率が77.778%で1位、パーキープ率が86.111%で7位タイ、平均パット数が1.6429で2位と、ティーショットからパッティングにいたるまで、総合的に安定したプレーが光りました。
そんな細野選手のスウィングの特徴から、今回は以下の2点を取り上げます。
➀胸の回転と両手の位置が深いトップ
➁胸の側屈と回転が多いインパクトは、キャメロン・ヤングにそっくり⁉︎
では、詳しく解説していきます。
胸の回転と両手の位置が深いトップ
まずはアドレスとトップを後方から比較してみましょう。細野選手はアドレスの前傾をやや浅めに構えるのが特徴的です。「Chest Bend」は、胸の前屈と伸展を表します(プラスになるほど胸は前屈、マイナスになるほど胸は伸展。以下、胸の前屈)。
細野選手のアドレスでの胸の前屈は、プラス19°です。スポーツボックスAIが独自で調査した、アドレスでの胸の前屈の海外男子ツアーレンジは、プラス34°〜プラス45°ですので、プラス19°の細野選手はアドレスでの胸の前屈が浅く、やや棒立ち気味に構えるタイプであることがわかります。

後方アングルからのアドレスとトップの比較/棒立ち気味のアドレスから、ややフラットなトップが特徴的だ
この胸の前屈が浅めのアドレスを取ると、トップの位置はフラットになりやすい傾向があります。トップの位置で注目したいのは両手の位置と胸の回転です。「Hand Thrust」は、両手がアドレスの位置から前後にどれだけ移動したか? の距離を表します(マイナスは背中側に、プラスはボール側に、アドレスの位置を0とします。以下、両手の深さ)。
細野選手の両手の深さのデータは、トップでマイナス55.8cmです。この両手の深さは海外男子ツアーレンジのマイナス32cm~マイナス50.8cmと比べると、細野選手はトップでの両手の位置が非常に深いタイプであることがわかります。
そして「Chest Turn」は、胸が左右にどれだけ回転したか? の角度を表します(マイナスはバックスウィング方向、プラスはフォロースルー方向。両足首のラインと平行の状態を0°とします)。
この胸の回転が浅く、両手の位置だけが深いトップの場合は、体の正面から両手が外れてしまうので、いわゆる「手で作ったトップ」になりやすいのですが、細野選手のトップの胸の回転はマイナス99°で、充分な胸の回転もあります。もし「両手の位置は深いけど飛距離が出ない」とお悩みの方は、細野選手のように「胸の回転も深いトップ」を取れるようにすると良いでしょう。
胸の側屈と回転が多いインパクトは、キャメロン・ヤングにそっくり⁉︎
そして、インパクトを見てみましょう。細野選手のインパクトで特徴的なのは、胸の側屈と回転がともに多い点です。「Chest Side Bend」は、胸の側屈角度を表します(マイナスは前方の肩が下がり、プラスは後方の肩が下がる。細野選手はレフティなので、プラスは左に下がる。※右打ちのヤングは逆に右に下がる)。
細野選手のインパクトでの胸の側屈はプラス45°で、海外男子ツアーレンジの28°~36°と比較すると、側屈が非常に多いことがわかります。これはトップに比べてインパクトのほうが頭の位置が低いこととも関連していますね。

インパクト。胸の側屈と回転ともに非常に多い。
また、インパクトでの胸の回転もプラス47°と、海外男子ツアーレンジの26°~34°と比較すると非常に多いことがわかります。
胸の側屈はインパクトにかけて多くなるほど、スウィング軌道はインサイドアウトになります。元々トップがフラットな細野選手が胸の側屈を増やすと、通常はさらにインサイドアウト軌道になりますが、細野選手は胸の回転も増やすことで、過度なインサイドアウト軌道を防ぎ、なおかつアドレスより前傾を深く保ったインパクトを実現しています。

ヤング(左)と細野選手(右)の比較/両者とも胸の側屈と回転がともに非常に多い
細野選手はキャメロン・ヤングをスウィングのお手本としているそうですが、インパクトでの胸の側屈と回転の多さは、まさにヤングによく似ていますね!
今回は、細野勇策選手の後方からのドライバースウィングを解説させていただきました。初優勝から日本タイトル同年優勝は、同じレフティのレジェンド・羽川豊氏が1981年「日本オープン」と「日本シリーズ」で達成して以来45年ぶりの快挙で、来年のマスターズと、全英オープンの出場権を手にした細野選手。このまま国内男子ツアー初の年間王者なるか⁉︎ シーズン終盤戦に注目しましょう!
