とにかく曲がらないドライバー
森井あやめ選手は、フェアウェイキープ率4位(76.48%)、パーオン率25位(68.83%)が示す通り、曲がらないドライバーと正確なショット力を武器に戦うプレースタイルが特徴です。今大会でもパー3を除く全ホールでドライバーを握り、4日間でフェアウェイを外したのはわずか5回(全体2位)。パーオン率も全体3位(77.77%)と、自身の持ち味を極限まで発揮しました。
初日を「67」で回り、首位と1打差の3位タイで滑り出すと、2日目は2つ伸ばして2位タイ。3日目も3つ伸ばし、首位の桑木志帆選手と2打差の2位タイと、自身初となる優勝争いの渦中で最終日を迎えました。
最終日は前半に4つスコアを伸ばし、後半15番のバーディでついに桑木選手を捉えます。しかし、勝負どころの16番、17番で痛恨の連続ボギーを叩いて一歩後退。それでも最終18番では、左奥に切られたピンへ果敢に絡めてバーディチャンスを演出し、スタンドを大きく沸かせました。プレーオフ進出を懸けた起死回生のパットは惜しくもショートし、涙を呑む結果に。試合後、自身のSNSでも「気持ちの弱さが出てしまいました」と悔しさを滲ませていました。

今季最高位の2位でフィニッシュして180.00ptsを獲得。メルセデス・ランキングでは、63位から42位にジャンプアップ(撮影/姉崎正)
タッグを組んだ田渕豊キャディは、「3日目から鈴木愛選手、佐久間朱莉選手といった実績ある上位陣と同組になったことで、試合の中で貪欲に学びながら進化していました」と振り返ります。特にパッティングのテンポや、ターゲットを見ながらボールの転がりを鮮明に描く素振り、スライスラインをしっかりつかまえて打つ技術など、足りなかったピースを吸収していく姿に頼もしさを感じたと言います。初の優勝争いの重圧下でパットを打ち切れなかった悔しさを糧に、次のチャンスをものにする日は決して遠くないはずです。
アプローチをするようにドライバーを振る
スウィングを分析してみると、手首のコックを極力抑え、フェースの開閉を使わずにテークバックしていることが分かります。大きな体重移動や過度な捻転差といった、いわゆる「飛ばしの要素」はあまり取り入れていません。そのため身体への負担が少なく、一定のリズムとテンポを保ちさえすれば、プレッシャー下でも崩れにくい再現性の高いスウィングです。

手首のコックを使わずにノーコック気味にテークバックする
スウィング軸をセンターにキープしたまま切り返すと、手元やクラブが終始「身体の正面」から外れていないことが確認できます。まるでグリーン周りからアプローチショットを打つようなこの動きこそ、スクエアな軌道と安定したフェース向きを保ち続ける最大のポイントです。
ハーフスウィングの振り幅で身体の正面にクラブを保つドリルは多くのアマチュアも実践しますが、フルスウィングのドライバーショットでここまで忠実に体現できている選手は極めて稀です。森井選手はアイアンやユーティリティでも全く同様に「アプローチのように」打つため、高いパーオン率を誇るのも頷けます。

体の正面から手元が外れないのでフェース向きを上手く管理できている
昨年の同大会と比較すると、平均飛距離は237.50ヤードと約7ヤード伸びています(2025年:230.125ヤード)。方向性を一切犠牲にすることなく、インパクト効率を着実に磨き上げてきた証と言えるでしょう。
この順位によりメルセデス・ランキングは42位(478.86ポイント)にジャンプアップし、初のシード権獲得は目前となっています。確かな手応えを掴んだ遅咲きのヒロインが初優勝の美酒を味わう瞬間は、もうすぐそこまで来ています。
写真/姉崎正
