スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化できる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎氏に、韓国で開催された「BMW女子選手権」において、米女子ツアー初優勝を果たした吉田優利のスウィングを解説してもらった。
画像: 「BMW女子選手権」で米女子ツアー初優勝を飾った吉田優利(写真は26年ソニー日本女子プロゴルフ選手権最終日)

「BMW女子選手権」で米女子ツアー初優勝を飾った吉田優利(写真は26年ソニー日本女子プロゴルフ選手権最終日)

こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回は米女子ツアー「BMW女子選手権」で見事にツアー初優勝を成し遂げた吉田優利選手(以下、吉田選手)の後方からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。

吉田選手のスウィングの特徴は、以下の2点です。

①アウトサイドに上げて、インサイドから下りるループを描くスウィング
②正しいループは、手がインサイド、ヘッドがアウトサイドに上がるテークバック

また中盤から後半では、アマチュアのケースと吉田選手の比較も盛り込んで、スウィングを比較・分析させていただきます。

アウトサイドに上げて、インサイドから下りるループを描くスウィング

まずはテークバック(以下、P2)とダウンスウィング(以下、P6)を比較してみましょう。まず注目したいのは、クラブヘッドと手の位置関係です。

「Club-Hand Gap」(以下、ヘッドと手の前後差)は、後方からのクラブヘッドと両手の前後差を表します(マイナスはヘッドが両手より背中側へ、プラスはヘッドが両手よりボール側へ。クラブヘッドと両手が、スタンスと平行に重なった位置を0cmとします)。

吉田選手のヘッドと手の前後差は、P2でプラス12.6cm、P6でマイナス10.4cmと、P2ではヘッドが手よりアウトサイドに上がり、P6ではヘッドが手よりインサイドに下りるので、クラブがわずかに右回りのループを描いているのがわかります。

画像: 画像①P2とP6の比較/クラブヘッドが右回りのループを描いているのがわかる

画像①P2とP6の比較/クラブヘッドが右回りのループを描いているのがわかる

このヘッドがアウトサイドに上がって、インサイドからクラブが下りるループは、スウィング軌道をインサイドアウトにする効果があります。吉田選手と言えばドローボールが持ち球ですが、このわずかにループを描くスウィング軌道でドローボールを打つのを容易にしています。

正しいループは、手がインサイド、ヘッドがアウトサイドに上がるテークバック

続いて、アマチュアのケースと吉田選手を3Dアバターで比較してみましょう。ここで注目したいのは、両者のテークバックでの「手の動きの違い」です。

「Hand Thrust」(以下、両手の位置)は、両手がアドレスの位置から前後にどれだけ移動したか? の距離を表します(マイナスは背中側へ、プラスはボール側へ。アドレスの位置を0cmとします)。

画像②左のアマチュアは、P2での両手の位置がプラス12.9cmで、手がアウトサイドに離れているのに対して、画像右の吉田選手はP2でマイナス3.7cmと、手はわずかにインサイドに上がっています。

画像: 画像②P2のアマチュアと吉田選手の3Dアバター比較/手とクラブの上がり方が正反対なのがわかる

画像②P2のアマチュアと吉田選手の3Dアバター比較/手とクラブの上がり方が正反対なのがわかる

この画像②左のアマチュアのように、テークバックで手をアウトサイドに上げてしまうケースは、吉田選手のように「ヘッドをアウトサイドに上げたい」、または「テークバックでヘッドをインに上げたくない」意識がある人に意外に多いエラーです。実は手をアウトサイドに上げると、手首の縦コックを入れない限り、ヘッドはむしろインサイドに上がりやすくなります。

先ほどの「ヘッドと手の前後差」のデータを比較しても、手がわずかにインサイドに上がっている吉田選手はプラス12.6cmに対して、手がアウトサイドに上がるアマチュアの方はマイナス1.2cmと、かえってヘッドは手よりもインサイドに上がっているのがわかります。ですので、吉田選手のように「手はインサイド、ヘッドはアウトサイド」の位置関係が正しいループスウィングのテークバックですので、手がアウトサイドに上がる傾向がある方は参考にしてみて下さい。

テークバックの違いは、「P6」から「P7(インパクト)」にも影響する

そして先ほどの3Dアバター比較から、もう1点アマチュアと吉田選手の違いを解説します。それは「P6」から「P7(インパクト)」で違いが表れます。画像③左のアマチュアのダウンスウィングは「ヘッドと手の前後差」のデータこそ悪くないのですが、「両手の位置」はテークバックと同じくアウトサイドに離れたままなのに対して、吉田選手は「ヘッドと手の前後差」、「両手の位置」ともに緑色のLPGAツアーレンジに収まっています。

画像: 画像③P6のアマチュアと吉田選手の3Dアバター比較/ヘッドと手の前後差は似ているが、手元の位置が全く異なる

画像③P6のアマチュアと吉田選手の3Dアバター比較/ヘッドと手の前後差は似ているが、手元の位置が全く異なる

画像②③左のアマチュアは、テークバックで手がアウトサイドに離れた分、ダウンスウィングも手はアウトサイドに離れたままです。こうなるとインパクトでも手が大きく浮いてしまうので、インパクトライが極端にアップライトになり、トウダウンのトウヒット、あるいは手がアウトサイドに離れた影響によるヒールシャンクなど、特に「打点のばらつき」に影響しますが、画像③右の吉田選手はスウィング中に手が体からアウトサイドに離れることなく、常に手と体との距離感を保っているので、手が浮くことなくインパクトライも安定します。

画像③左のアマチュアのケースは、例えばトラックマン等での弾道測定器のデータで、「クラブパスやフェースアングルは悪くないけど、どうも打点が安定しない」という方に当てはまることが多いです。吉田選手のようにスウィング中の「両手の位置を適正に保ったループスウィング」を心がけてみて下さい。

今回は吉田優利選手の後方からのドライバースウィングを解説させていただきました。吉田選手と同じく、桂川有人選手もDPワールドツアーで2勝目を挙げるなど、男女ともに日本勢の活躍が光りましたね!

写真/岡沢裕行


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