「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はピンの伝統的なミッドマレットパターについて考察した。
画像: パターを「スコッツデールB63」に替えて復調した佐久間朱莉(写真/大澤進二)

パターを「スコッツデールB63」に替えて復調した佐久間朱莉(写真/大澤進二)

形があいまいなところによさがある

みんゴル(以下、み):佐久間朱莉選手がパターをピンの「スコッツデールB63」に替えてからパッティングの調子が戻り、立て続けに2勝、3勝目をマークしました。それ以来、B60系が気になっています。昨今のツアーではオデッセイ「TRTL」などネオマレットが主流となっていますが、いまあえてミッドマレットを使うメリットについて改めて教えてください。

宮城:B60系といえばかつて岡本綾子さんが「B60」で長く活躍し、弟子の森田理香子選手なんかも真似をして使っていましたが、ぼくも昔から好きな形です。

み:宮城さんはどこを気に入って使っていたのですか?

宮城:言い方は良くないですがこれといって特徴がないところです。B60系は最近のネオマレットのように大きくもないし、ブレードタイプのように敏感すぎません。

み:佐久間選手は「スコッツデールB63」を使い始めて自分のストロークができるようになったと話していました。

宮城:一番目のポイントは重さだと思います。最近のパターはウェイトのネジがついたりしてどんどん重くなっています。彼女が以前使っていた「スコッツデールDS72」もカタログスペックでヘッド重量が360グラムあります。これに対して佐久間選手の「スコッツデールB63」はヘッド重量が350グラムしかありません。これはブレードタイプの「スコッツデール アンサー」とほぼ同じ重さです。

み:宮城さんがいつも仰っているようにヘッドが軽いおかげで始動がスムーズになった?

宮城:ネックもショートスラントなので、ヘッドをオープンクローズに動かすイメージも出しやすいはずです。もうひとつのポイントは形状です。

み:B60系のBがアルファベットのBに由来していることは知っていましたが、昔からなぜこの形なんだろうと疑問でした。アドレスでラインに対して真っすぐ構えるならもっと直線的なデザインの方が合わせやすいのでは。

宮城:B60系は形があいまいなところによさがあるんです。ゴルフは道具を凝視する唯一のスポーツです。長方形のように縦横のラインが完璧に揃っているとアドレスやテークバックで神経質になってしまいます。また、ヘッドが完全に左右対称だと構えたときにヒール側が大きく見えてしまいます。そのためにトウ側が少し大きい左右非対称のデザインになっています。

み:そういえばかまぼこ形のオデッセイの5番やロッシーも左右非対称ですね。

宮城:人間の顔も同じですが、完全に左右対称の顔は見ていて気持ち悪く感じるはずです。アシンメトリー(非対称)といえばテーラーメイドの「TPA-18」が有名ですが、クラシックパターには重さといい形といい、良いパターがたくさんあるので中古屋さんで探して試してみるのもおすすめです。


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